先日、車で20分ほどのところにある歯医者さんへ行く用事がありました。
半年前に集中的に根管治療して最終チェックのためでした。
あいにくの雨で、しかも先日から車を修理に出していて、バスで遠回りしながら行かなきゃいけません。
バスの乗車時間が20分少々。
バス停まで、そしてバス降りてから歯医者さんまで、徒歩の時間が合わせて20分くらい。
冬の雨の中それなりに歩くことになります。
車もまだすぐには戻ってこないし、人気の先生で予約を動かすとまた当分先になるので、1月下旬の寒い中、雨に濡れながら行きました。
「やっぱりクルマって便利だな。ありがたいな。」
ときに「金食い虫…」と思うクルマですが、
このときは感謝が湧いたのでした。
1.なぜ感謝が大切なの?
「それがある」時は、あって当然。当たり前。
「なくなる」と感謝を感じる。
失って初めて知る、
便利さ、健康、人の恩、お金、安定、安心、平和、‥等。
「ある」がしばらく続くと当たり前になってありがたみがなくなってしまう。
危機が訪れて初めて、安心や平和のありがたみに気づく。
人と離れて初めて、恩を受けていたことを知る。
…
感謝の念が薄れてしまうのは人間の性なのでしょうか。
そして、
だからこそでしょうか。
「感謝しなさい」「感謝は大事だよ」
感謝の重要性がよく説かれます。
でも、なぜでしょうか?
- 道徳的観点?そうあるべきだからでしょうか?
- そうあった方がいいからでしょうか?
- 感謝を感じるほうが自然だからでしょうか?
- だとしたら、なぜ感謝しようと思いつつ忘れてしまうんでしょうか?
色々疑問はわきますが、
これだけ「感謝」の重要性が説かれるからには、なにかいいことがあるはずです。
そこで、まず感謝のメリットを考えてみましょう。
2.感謝 3つのメリット
1.安心する
感謝のないとき。
その心理は「あって当たり前。無いと不満。」という状態でしょう。
これは、一見悪くない考えに思えるかもしれません。
「思考は現実化する」や「引き寄せの法則」に馴染みのある人は、この「あって当たり前」という思いが、「在る状態」を現実化してくれる感じがするかもしれません。
しかしこの心理、実は「無いと不満」が裏で支えていて、失う可能性が怖いから考えないようにしている、欠乏の意識が見え隠れしている状態であることが多いのです。
この心理状態では、いつ失うか、おちおちしていられず安心できません。
一方、感謝の湧いているときは、その心理は「あって有り難い。」という状態です。
例えば、先日は傘があったお陰でびしょ濡れにならずに済みました。ありがたい。
この心理は、自分を「受け取る者」という立場に置いてくれます。
「受け取る者」の立ち場を取る、ということは潜在的に「自分は受け取るに値する」を意味します。
この積み重ねが豊かさを運んできます。
豊かさが運ばれてくるので安心が生まれ、またさらに感謝が生まれます。
好循環のサイクルがおきます。
2.能力や手持ちの札が有効活用できる
自分の能力や現在手にしているものに感謝がないと、人はそれをぞんざいに扱う傾向があります。
そして、在るものに目を向けず不足に目がいきます。
不平不満が増え、せっかく手にしているものをどう活用するかに意識が向かなくなります。
これは損失でしょう。
一方感謝がある時は、自然にそこにある種の好意が生まれ、それを大切に思うようになります。
足りないところではなくそこに有るものに目がいきます。
コップに半分水が入っているところをイメージして、感謝の有る無しで知覚の変化を感じられる人もいるでしょう。
能力であれば例えば、読み書きができることに感謝をすれば、読み物を楽しんだり、思いを伝えるために書くことが、やりやすくなるでしょう。
仕事ならば、これまでに身につけたスキルに感謝できると、そのスキルを受け取り直してこれからの作業に自覚的に活かせるようになります。
3.人の縁が広がる
一般的に「感謝しない人」は緊張感をまとい、「感謝する人」はリラックスしています。
そのことは、1.2.からも安心がない、不平不満が多いことから想像つくと思います。
また「感謝」によって、対象との心理的距離が変わります。
感謝の分だけ対象へのつながり、好意が生まれ、分離感が薄れます。
感謝のない分だけ対象へのつながりが薄れ、分離感が生じます。
対象が人であれば、
相手への感謝に応じて、好意が生まれて相手との縁は太くなります。
その逆も然り。感謝が減ればつながりが薄れ、疎遠になるでしょう。
まぁ、理屈を持ち出さなくても、日頃から感謝している人は「感じがいい」ので、人に愛されることは容易に想像つきますね。
3.感謝が湧くものの見方
その重要性は既にあちこちで説かれているし、こんないいことがある「感謝」なので、すぐにでも「感謝しよう」と思うわけですが、案外難しかったりもします。
これは、「感謝」はどちらかというと自然に生まれたり、湧いたりするものなので、「体にいいからウォーキングしよう」のような調子で、「メリットあるから、感謝しよう」とはならないからです。
感謝は、「よし、感謝を感じるぞ」とコミットするようなものではありません笑。
では苦手な人はどうすればいいのか?
コミットではなく、感謝が湧くものの捉え方をすることをお勧めでします。
ひとつ、シンプルなやり方をご紹介しましょう。
それは、なににおいても
「全部自力でやったとしたら」をイメージしてみることです。
例えば先日の歯医者さん、
「自力で行く」を考えてみると、冬の日の雨の中、一時間ちかくとぼとぼ歩いていくことになります。それを200円ちょっとでバスで座っていくことができました。感謝です。
さらに「自力で治療」はどうでしょう。歯の根管治療を自分でやろうとすると、CTで現状確認し、元のかぶせていたセラミックの歯を特殊なカッターで切って、取り外し、抜いた神経の一部に詰めてあった詰め物を一旦取り除き、未処置の部分を見つけ、その両方を丁寧に奥まで消毒し、…って自力でできるわけがありません(笑)。感謝です。
畑を開墾し、苗を植え、収穫し、自分で運んでこなくても、近所のお店に行けばキャベツが置いてあります。フランスまでいかなくてもシャンパンが置いてあります。感謝です。
街には沢山の人がそれぞれの思いや欲望を抱えて、様々なライフスタイルで住んでいますが、治安は保たれ、上下水道は完備され、清潔な町並みが維持され、快適に過ごせています。
これもシミュレーションゲームならともかく、リアルに自力でやるとなると相当大変そうです。
このように「自力でやること」を想定してみましょう。
自然に感謝が湧いてきませんか?
4.「受け取る」エクササイズ
もうひとつ、感謝に役立つエクササイズをご紹介しましょう。
これまで見てきたように、「受け取る」と感謝が生まれます。
そこで「受け取る」練習をしましょう。
1.ゆったりとくつろいで座ります。
2.ゆっくりと深い呼吸をします。
3.呼吸に意識を向け続け、まずは吸う際に、肺に空気が入っていくことを感じて味わいます。
4.肺が満たされて、空気で満杯になるのを味わいます。
5.少し苦しさを感じたら、ゆっくりと呼気に転じ、肺から空気が抜けていくのを味わいます。
6.吐き終わったのを感じたら、ゆっくりと今度は吸気に転じ、3に戻ります。
7.3から6を繰り返します。
8.3〜5分続けて、「呼吸」という心地よい循環が自分のために行われているのを味わいます。心地よさを味わいます。
9.次に、心臓の鼓動を感じます。肉体が動的平衡の中にあり、自然に整えられていること、消化が行われていること、疲労や怪我・病が癒えつつあることをイメージし味わいます。
10.最後に3回深呼吸をして終了です。
5.そうは言っても感謝できないとき
「感謝したい」
頭ではわかっているのにできない、感謝したくないときがあります。
その主な原因は、
- 感謝する以上に自分が犠牲をはらっている
- 満たされない思いが溜まっている
- 恨みを感じている
が考えられます。
この場合まず、今抱えている思いや感情を認めて感じてあげることが先決です。
思いや感情を感じるヒントはこちらの過去記事をご覧ください。
▼感情の起伏が激しくて、苦しい。どうしたらいいですか?
https://www.ichigojyutsu.com/myself/emotion-management/
または、インナーチャイルドやトラウマが起因していることも往々にしてあります。
捉え方を変えたり、受け取るエクササイズだけでうまくいかない場合は、こうした心の要因に目を向けることが役立ちます。
いずれも専門家に依れば早い改善が見込めるので、必要に応じてご相談ください。
6.最後に
以前は私自身、感謝できない人でした。
当時はいつも必死、自分のことで精一杯だった気がします。
頭ではわかってるけど感謝できない(したくない)ので、堂々巡りしていた気がします。
ここに挙げたのは、いずれもそこから抜け出すのに実際に役立ったものです。
感謝を覚えてからは「全部自分でやらなきゃ」という切迫感が消えました。
わたしたちはお互いに頼り頼られていることがわかりました。
今では、「感謝」は単なる道徳でも、うまく生きるための処世術でもない。
それは、ありのままを見る視点、リアルに世界を捉えるのに役立つ視点だと思うようになりました。
記事を読んで、少し感謝がしやすくなって、少しリラックスが広がったら嬉しいです。