親の夫婦関係が子どもに与える影響とは<子どもを守る「7つのルール」と「魔法の5時間」>

「夫婦関係の質が子どもの心や健康に影響する」

そう耳にして、なんとなくそうなんだろうな、と感じる人は多いのではないでしょうか。

実際、親の不仲で苦しんだことが今の生きづらさに関係しているのでは、と心当たりがある人もいると思います。

て、ここでは親の不仲がどのような影響を子どもに与えうるかを探りつつ、夫婦関係の対立から子どもを守る方法、や夫婦関係の改善の糸口をお伝えしていきます。

この記事の目次

親の夫婦関係が子どもに与える影響の研究

夫婦関係がどのように子どもに影響するのかは国内外でたくさんの研究がされています。

以下にネガティブな夫婦関係が子どもに与えるネガティブな影響についての研究結果を抜粋します。

  • 夫婦関係の悪化により母親が抑うつ状態になると、子どもの抑うつを促進する。
  • 夫婦関係が険悪な家庭で育った就学前の子どもは、ストレスホルモン値が非常に高い状態を示す。
  • 日常的に両親の暴力や暴言を見聞きしてきた子どもたちは、脳の視覚野の一部が萎縮。身体的な暴力を見てきた人は萎縮率が3.2%だったのに対して、言葉の暴力は19.8%と6倍も高い。
  • 親の夫婦関係が子どもの結婚願望に影響する。
  • 夫婦の不仲は子どもの攻撃的・反社会的な問題行動や不安や引きこもりなどの抑うつ・神経症的問題行動に影響する。
  • 夫婦間の喧嘩や意見の不一致に接することは、子どもを不安にし、感情の安定性を脅かす。

なぜ親の夫婦関係が子どもに影響するのか

研究結果からも親の夫婦関係が子どもに影響することは証明されていますが、それではなぜ親の夫婦関係が子どもに影響するのでしょうか。

理由を探ってみたいと思います。

子どもの安心・安全が脅かされる

小さい子どもにとって親は絶対的な存在で、家庭は生きる世界そのものです。

そんな絶対的な存在である親が不仲なことで、家庭は親が発するネガティブな感情で渦巻いているでしょう。

ネガティブな感情は子どもに直接的に向いてなくても、子どもは感覚的に受け取っています。

家の中がピリピリ痛い。

重苦しい。

息が詰まる。

そうなると、子どもにとって家庭は安心・安全な場所ではなくなります。

小さい子は成長過程において自分の家庭を通して世界を知っていきます。

すると世界は安心・安全ではないところという強い思い込みが心の根っこにインプットされ、心の基礎的な部分がいつも不安定に揺れ動きやすくなります。

自己肯定感が低くなる

親の不仲により安心・安全が脅かされるのは、「愛されていないからだ」「自分に価値がないからだ」と子どもが強く思い込んでしまうことにより、子どもの自己肯定感が下がっていきます。

自己肯定感が低いと、自分に自信が持てず、なんとなく自分は存在してはいけない人間のように感じるようになります。

そして子どもにとって両親は絶対的な存在です。

その両親が不仲なこと・幸せそうに見えないことが、自分が悪いからだ、自分の努力が足りないからだと勘違いしてしまい、罪悪感を抱くようになってしまいます。

すると親の顔色を伺いながら、夫婦仲を取り持とうとしたり、ネガティブな雰囲気を払しょくしようとおどけて見せたり、親の気をそらすために病気になったり問題を起こしたりするようになります。

そのように子ども時代についた人の顔色を伺うクセは、子どもの人生のベースになり、親以外の人間関係においても発揮され続け、子どもの心を消耗させていきます。

親は子どもにとって人間としてのお手本

子どもは、身近な人の言葉、動作、行動を見て真似して、同じようにふるまって成長していきます。

子どもが自然に立って歩くようになるのも、身近な人が立って歩いているのを観察して真似るからです。

オオカミに育てられた子どもは、四つん這いになってはい回ることしかしなかったようです。

それをモデリングと言います。

親は子どもにとって一番身近な存在。

子どもは親の感情的なふるまい、親同士がお互いをどう扱うのかを見て聞いて感じて、これが普通なんだと無意識にインプットしていきます。

子どもには優しくしているから大丈夫、ではありません。

夫(または妻)に対するネガティブな態度をも子どもは学んでいるのです。

そして無意識に学んだ親のネガティブな態度は子どものこの先の人間関係を複雑なものにしていきます。

夫婦間の対立から子どもを守る7つのルール

では夫婦の不仲から子どもを守るためには何を心掛けたらよいのでしょうか。

アメリカのPshycentralというウェブサイトに紹介されていた、夫婦間の対立から子どもを守る7つのルールをご紹介します。

①夫(または妻)の悪口を言わない

子どもは両親を二人共を愛しています。

一方の親がもう片方の悪口を子どもに聞かせることで、子どもの心は引き裂かれ、心が不安定になってしまいます。

②夫婦間の問題について子どもに相談しない

夫婦間の問題について子どもに相談することで、誰が誰の面倒をみなければならないのかと子どもの心は混乱します。

そして子どもは子どもらしく生きることをやめ、親の世話役になってしまいます。

③子どもが夫(または妻)と楽しんでいることについて、子どもに罪悪感を抱かせるようなことを言わない

「お母さんがお父さんとのことでこんなに苦しんでるのに、あなたはお父さんと遊びに行ってきたわけ?ひどいわね。」

そんな風に子どもに罪悪感を抱かせるようなことを言ってしまうと、子どもは一方の親をより愛すれば、もう片方の親への愛は減ってしまう、という世界観に生きることになります。

そして親を幸せにする責任が自分にはあると思い込み、自分自身を縛るようになってしまいます。

④子どもの前で子育てに関する言い争いをしない

子どもの前で子どもをどう育てるかの言い争いをすることで、子どもは言い争いが起こったのは自分のせいで、その言い争いを終わらせるのは自分の責任だと感じるようになります。

⑤「これはお父さん(またはお母さん)に言ってはダメだからね」などと夫(または妻)から秘密を守るようにと子どもに強制しない

これをすることで、子どもは何が正しくて何が間違っているのかわからなくなり、親を尊敬できなくなります。

また子どもは秘密にしておけばなんでもOKと思い込むようになります。

⑥子どもの前で人生がうまくいかないことを夫(または妻)のせいにするやめる

人生がうまくいかないことを夫(または妻)のせいにすることで、子どもは落ち込んだ時やストレスフルな時には他者を責めればいいんだと思い込むようになります。

そして幸せになるために、自分自身を変えたり学んだりすることをしなくなります。

また子どもは自分も責められているように感じて、親が幸せでないのは自分の責任だと感じるようになります。

⑦子どもの前で、または子どもに聞こえるような場所で、夫(または妻)を中傷したり、傷つけるような表現をしない。

これは言葉による虐待です。

自分がストレスや無力感から気分がよくなりさえすれば他者を引き裂いてもいい、と子どもに教えることになります。

引用元:https://blogs.psychcentral.com/relationships/2014/02/7-rules-to-protect-your-children-from-marital-conflict/

夫婦関係を円満にするヒント「魔法の5時間」

子どもを夫婦間の問題から守るルールをお伝えしましたが、ベストはルールを設定しなくても子どもに影響を与えないくらい、夫婦関係を改善していくことでしょう。

ワシントン大学の心理学教授であり、結婚と家族問題の権威であるジョン・ゴッドマン博士は、結婚生活がうまくいっている夫婦や離婚に至った夫婦を数多く観察し、円満な夫婦関係には何が必要かを研究しました。

彼が提案したのは、一週間のうち夫婦関係改善のために「魔法の5時間」を使うことです。

「魔法の5時間」

  1. 毎朝、出勤前の時間に、予定の確認をする。(平日の朝2分×5日)
  2. 帰宅後、外でどんなことあったのか、お互いに耳を傾ける。愚痴でもOK。(平日帰宅後20分×5日)
  3. 毎日、夫(または妻)に対し感謝する部分を見つけ、それを言葉に表す。(毎日5分×7日)
  4. 一緒にいる時、キス、抱擁、体の触れ合いなど、愛情を示すスキンシップをする。(毎日5分×7日)
  5. 週に1回、デートしたり、2人のゆっくりした時間をつくる。(2時間×1回)

引用元:https://greatergood.berkeley.edu/article/item/5_hours_to_a_better_relationship

アメリカ人っぽい提案ですが、日本人の私たちも取り入れられる部分はありそうです。

どうせうまくいくはずがない、と自分も相手も信頼できない時は

結婚し始めは色々トライできても、子どもが生まれ長年夫婦を続けていると、「どうせこの関係は変わりっこない」とあきらめる気持ちが大きくなっていくかもしれません。

「魔法の5時間、そりゃやるとよさそうだけど、どうせ私たちには無理・・・」などと、行動することをためらうかもしれません。

前述したジョン・ゴットマン博士は、「信頼」という概念を、「ウィンーウィンの関係(お互いに利益を得る関係)を協力して作り上げる傾向であり、ロスーロスの関係(お互いに不利益を被る状態のような関係)の連鎖から抜け出す能力」と定義しています。

もし自分も夫(または妻)も信頼できないような状態なら、その夫婦関係はロスーロスの関係になっています。

少なくとも出会った頃はウィン―ウィンの関係だったはずなのに、なぜ?

それは、あなた自身が、あなたの親の夫婦関係の影響を受けている可能性が大きいでしょう。

  • あなたの小さいころ、あなたの親の夫婦関係はどうだったでしょうか。
  • ウィン―ウィンな関係だったでしょうか。
  • 親の夫婦関係の狭間で、ネガティブな想いを感じたことはなかったでしょうか。
  • また、その時、どんな感情を感じていたでしょうか。
  • 両親の夫婦関係をモデリングしているとしたら、どんな部分が思い当たるでしょうか。

そう振り返ることで、今の自分の夫婦関係を変えていくきっかけになるかもしれません。

そのように自分の過去も含めて今の夫婦関係を見直すことは、実はあなた自身の本当の幸せにつながっていきます。

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まとめ

夫婦間の対立から子どもを守る7つのルールを見つけて読んだ時、私はびっくりしました。

まさに7つのルールでやめなさいと書かれていることすべて、母親からされ続けてきたからです。

自分の過去を振り返り、過去を癒し、今の夫婦関係を積極的に変えていくことをしなかったら、今でも親の夫婦関係の呪縛から逃れられなかったと思います。

今でも隙あらば、母親は父親の悪口を言ってきます。

以前はお母さんはお父さんに苦しめられているから、愚痴をちゃんと聞いてあげて助けてあげないとと思い込んでいましたが、今の私は「私はお父さんも好きだから、お父さんの悪口を言われると悲しい」と母親に伝えています。

私と母の関係性についてはこちらに書いてあります。

[blogcard url=”https://www.ichigojyutsu.com/parent-child-relationship/kyouizon/”]

家庭の平和は、子どもの心の平和につながっています。

子どものためによかれといくら時間やエネルギー、お金や愛情をかけても、肝心の夫婦関係がおろそかになっていては、ザルに水をそそぐようなものかもしれません。

まずあなたの家庭から、平和になっていきませんか。

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この記事を書いた人

母と子の心が通い合う日常をサポートする自由人

自らの健康を獲得するために薬剤師になり、古今東西の自然療法も網羅的に勉強した経験から、心の状態を整えることの重要性を学び、それを実践している。
その過程において幼少期から確執のあった両親との関係改善が進むことで、何をやっても満たされない気持ちがなくなり、今ここにある幸せを味わえるようになる。
この体験を多くの人にシェアすることをライフワークとしている。

提供しているもの:バーストラウマとインナーチャイルドを取り扱うヒーリング、感情カウンセリング

2003年に沖縄移住。家族3人暮らし。

HP:https://yagamieiko.com

BLOG:https://ameblo.jp/healing8

Instagram:https://www.instagram.com/yagamieiko/?hl=ja

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