新型コロナウイルス感染症の不安から心を守る5つの方法-一人一人の行動が医療崩壊を防ぐー

 

ある日突然やってきた見えない敵、新型コロナウイルス感染症。

緊急事態宣言や自粛要請といった今まで経験したことがないことが起き、私たちの生活は一変してしまいました。

いつ終わるとも知れないこの状況を不安に思う方も多いと思います。

 

実際に新型コロナウイルス感染症に対する相談を受け付けている窓口では、連日、電話がひっきりなしになり続け、休む暇などないという状況が続いているといいます。

 

もちろん現在ある症状に対してどう対応したらよいのかという相談が多いのですが、特に症状はないものの不安にかられ電話してくる人も少なくないようです。

自宅で様子をみるよう指示された人の中には、「死ねというのか」と怒り出す人もいたそうです。

 

それ以外にも、職場からPCR検査をしてコロナではないと証明してもらえと言われてやってくる人への対応に時間を取られたり(当然、PCR検査だけではコロナではないという証明などできません)、医療従事者やその家族が感染症のもとになるとしていわれなき差別を受けたりするなど実際の診療以外のことが原因となって、最前線で働く医療従事者の時間的・精神的な負担が大きくなっています。

 

そして、実際の診療の現場はというと必要な医療資源が足りず、ガウンやフェイスシールドなどを自作して補ったり、本来だったら使い捨てのものを消毒しながら再利用したり、未知の敵に対する治療や予防に対する情報収集を行ったりしながら、危険と隣り合わせの状況での長時間の労働を余儀なくされています。

 

この現状が続けば、「医療崩壊」という言葉が差し迫ったものとして現実味を帯びてきているように感じます。

 

この現状から考えてもわかるように、日本の医療崩壊を防ぐためには、不安から行動するのではなく、冷静で落ち着いた行動をする人を一人でも増やすということが重要です。

そのためには、一人一人が自分自身の不安と向き合うことが必要になってきます。

我々が自分自身の不安を減らし冷静に行動することが、最前線で働く人たちの負担を軽減することにつながります。

 

では、実際、不安を減らすために私たちは何をしたらよいのでしょうか。

 

この記事の目次

1. まずは、不安があることを認識する

今は、未知の感染症に加え、経済活動の停止といった普通でない状態にあります。

まずは、自分の中に「不安がある」ということを認識しましょう。

 

不安というものは想像の中で勝手に膨らみ、人に伝播しやすいという性質があります。

不安があまり大きくなってしまうと自分では対処できなくなってしまうだけではなく、近くの人にもその不安の種を植えつけます。

 

実際、不安は汗を介して伝わるという実験結果もあります。

自分のためだけではなく、自分の身近な人のためにも、不安は軽いうちに自分自身でケアすることが大切です。

 

具体的には、軽く体を動かしたり、深くゆっくり呼吸をしたりするのがよいでしょう。

深呼吸は、副交感神経を刺激してリラックスした状態を作ってくれます。

この2つを心がけることで、ぐっすりとよく眠れるようになり、心身ともにリセットしやすくなります。

 

2.情報に触れる時間や量をコントロールする

今は、新型コロナウイルス感染症に関する情報があふれています。

テレビをつければ、日本や世界の感染者数の状況や予防法、専門家の見解、政府や知事の発表、加えて経済活動への影響などの情報が一日中流れています。

 

私たちが昔からよくテレビで見ていた有名人の感染の情報で、この感染症を身近な怖いものと感じたり、映し出される一変した都市の様子で否応なく、今までとは違う世界になったことを実感したりします。

 

ここ数ヶ月間、それらの情報にずっと触れていたとすると不安が大きくなっていたとしても不思議ではありません。

 

ある程度は情報を得ることも必要だと思いますので、完全に情報を絶つことを勧めるわけではありませんが、情報から離れる時間を意識的に持つということは重要です。

自分から必要な情報を取りに行く場合はまだいいかもしれませんが、テレビなどを無意識のうちにずっと見ているというのは考えものです。

ネガティブな情報によって生じた不安がたまって、気がついたら自分自身では対処できないほど膨らんでいたということになりかねません。

 

3.オンラインのコミュニケーションで人とつながる

自粛要請がなされ、人と会う機会がめっきり減ったという人も多いと思います。

人と会わなくなったことで寂しさを感じている人もいるでしょう。

もしかすると、人やペットとのふれあいで増える幸せホルモン「オキシトシン」が減っているかもしれません。

 

この寂しさを埋める手段として、ZoomやFacetimeのようなオンラインでのコミュニケーションツールに注目が集まっています。

いまや、Zoomミーティングだけではなく、Zoom飲み会など積極的にオンラインでのコミュニケーションをとっている人も多いようです。

 

たとえ画面越しであったとしても、同じ情報を共有したり、共感したりすることで安心感につながります。

孤独にならないように工夫してコミュニケーションをとるようにしましょう。

 

4.自分自身の本質や望みを確認する

緊急事態宣言、自粛要請という今まで経験のない状況の中で、私たちはまさに今、自分自身の生き方を問われています。

不安に飲み込まれ、電話をかけまくるといったような不安に突き動かされるような行動をとるのか、それとも、自分自身をみつめ、自分の感情をケアし、落ち着いてこの状況を乗り超えていくのか、その選択権は自分自身にあります。

 

世の中が混乱している今は、自分の生き方を見直すチャンスです。

 

落ち着いてこの状況を乗り越えていきたいのであれば、自分が本当は何を望んでいるのかを自身と対話するとよいでしょう。

 

何をどの程度ストレスと感じるのかは人それぞれです。

同じ状況であってもストレスと感じる人もいれば、そうでない人もいます。

他の人にはストレス解消として最適だったとしても、自分にとってもそうだとは限りません。

自分の本音に沿った生き方が一番ストレスの少ないものです。

この機会に自分自身と対話して、自分が望んでいるものを探ってみてもよいかもしれません。

 

5.自分に制限をかけすぎない

現在はすでに外出自粛や三密を避けるなど感染拡大防止のために、今までよりも制限や抑圧が強い状況です。

その上に更にルールを課してしまっては、精神的なストレスが大きくなります。

 

必要以上に厳しいルールや制限を設けず、いろいろな自分にOKを出していきましょう。

「。。。すべき」という発想が出たら、要注意。

自分に制限を課している証拠です。

簡単そうに感じるかもしれませんが、いざ実行しようとするとまじめな人ほど難しいものです。

 

まとめ

新型コロナウイルス感染症へ対処するには、免疫力を高めることが大切です。

免疫力は、ストレスと関連しています。

医療従事者の負担を軽くするという観点だけではなく、自分自身を防御するといった意味でも、不安に対処し、ストレスを軽くすることは重要です。

 

不安を無いものとして抑圧するのではなく、常に不安があると思って軽いうちからケアすること、自分の本音に素直になってストレスを軽減することが、この時代を乗り切るカギになるかもしれません。

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この記事を書いた人

研修医期間終了後、神経内科医として主に急性期病院にて13年間勤務。
3年間の回復期病棟での勤務を経て、平成24年より在宅医療に従事。2018年5月ヘテロクリニック開設。

多くの患者さんにかかわる中で、より健康であるためには、病気にだけフォーカスをあてるのでは不十分なのではないかと実感し、医療の分野以外にも学んでいる。

高齢になっても若々しく元気な方たちの特徴から、自分らしく生きることが重要性を感じ、そのためのツールとして脳と心についての情報をフェイスブックページやホームページを通じて発信している。

日本内科学会 内科認定医、日本神経学会 神経内科専門医、医学博士、認定産業医、日本臨床栄養協会 サプリメントアドバイザー、感情カウンセラー協会認定 感情カウンセラー、リズ・ブルボーのからだの声を聞きなさいスクール カウンセラーコース終了、NLPプラクティショナー、著書に『クスリに頼らない免疫力向上計画』(みらいパブリッシング)、『脳の取扱説明書』(みらいパブリッシング)

HP:https://hetero-clinic.com/
HP:https://www.harmonista.org/
HP:https://harmonista.jp/

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