私たちは日常生活・職場生活の中で、方向性を見出して生活しています。喜びいっぱいに段階を進めることが出来れば素晴らしいことです。しかし実際は上手くいかないことの方が、多いようです。
上手くいかない理由は、様々と考えられます。しかし今回は多くの内容に触れるよりも前に、これまで積み上げてきたことに焦点をあてて進めていきます。
テーマは「成功・達成のための5ステップ~今どこにいるのか~」といたしました。窮地に立たされている人にとっては、打開策を見出すきっかけとして使っていただきたいです。また順調に出来ている人は、さらなる成功や飛躍が出来るように、これから強化していかねばならないところのあぶり出しに利用していただけたらと感じています。
1、うまくいかないスパイラル
そもそも、なぜ上手くいかないのでしょうか。それは「がんばって、頑張って、ガンバって」力が入りすぎることにより、視野が狭くなり、周囲の情報を掴むことが出来なくなるとのケースがあるようです。
どなたでも一度は経験のある「ビギナーズラック」という現象は、ものごとを深く知り、情報を集め、精査した上で起こる現象ではなく、初心者だからこそ得る幸運です。さらに心の状態を見つめてみると、リラックス状態であるといえるでしょう。
私たちの日常生活や職場生活のなかで、常にリラックス状態を作り出すことは難しいことです。なぜなら私たちは「多くの経験と知識と情報をもとに精査し、さらに短時間で行動を繰り返し、最良の結果を収めていかねばならない」といった意識が強くなるからです。
このように負のスパイラルに巻き込まれてしまうと、抜け出すことは容易ではありません。その場所から離脱するなどの強硬手段もありますが、何とかそこで踏みとどまってやり遂げたい、と願っている人も多くいることでしょう。
拙著もこのスパイラルに捕まり、ズルズルと陥ってしまった一人として、新しいものを探求しつづけていました。今回はその打開策の中からひとつをお届けしようと思います。
2、成功・達成の5ステップ
これからご紹介する内容は、日常生活や職場内で活用できる考え方の一例です。すでに何らかの形で動いている方々もいるかと思いますので“念のため覗いてみる”程度の感覚で読み進めてみてもいいと思います。
するとこれまで様々な経験や体験をしてきた皆さんにとって、何かしら気になる点が出てくることでしょう。その時には「ものは試し」と実行してみてください。これまでにない解決の糸口が見いだせます。
そして、気を付けなければならないのが「慣れ」です。慣れてきたときに、思いがけない落とし穴へと落ちてしまう。それは自分自身の力が落ちてきたわけではありません。少なくなってきたからではありません。出来てしまうからこそ陥る落とし穴なのです。
多くのことに手を伸ばしすぎて自分の力が分散されてしまっているから、うまく事が運ばないのです。「いま、ここ」とのことを意識して、分散させてしまった自らの力を不足しているところに注いでいきましょう。必ず壁を乗り越えられるはずです。
以下、5ステップを提示していきます。すでに知っている言葉が並びますが、あえてポイントとなる言葉について辞書を引きました。改めて意味を知り「どこに意識を向けていったらよいのか」も含めて見つめていきましょう。
2-1、目的を明確にする
【目的】…行動を始めるに際して、最終的な成果として期待し、その実現に向かって努力しようとする事柄。
(『新明解国技辞典第6版』三省堂)
先ず目的目標を明確にすることです。改めて辞書にある言葉の意味を踏まえると、明確に設定できていないのではないか、と疑問を持つこともあります。さらに目的設定で意識しなければならないことは「何のためのするのか。誰のためにするのか」というところも見落としてはいけません。
極端な例として、自分だけが幸福になればいい、自分だけが成功すればいい、との意識の目的設定では、誤った方向に進んでしまいます。よく聴く“3日坊主”は、目的設定にズレがでていることを現象化しているのかもしれません。
成功達成への目的設定には、人のためにと一心に念じること、さらに他者から受けた恩に報いるような心で設定することが大切なのです。
自分自身で設定している目的を、再度見直してみてはいかがでしょうか。
2-2、準備を完全にする
【準備】…いざという時に備えて(起こりうる条件を予想して)同じ状況で軽く試みたり必要なものをそろえておい たりすること。
(同前)
目的目標を定めたら、次に準備です。必要なものを揃えておくことは、上記の言葉の意味からも理解できます。職場内に置き換えてみると、設備や資本がこちらに該当します。
また大切なことは、表面上の備品に限りません。仕事を完遂するためには、チームやグループの意識統一が重要なカギを握っているのです。もしも反対意見を持った人がいて、そのまま放っておいたりすると、チームワークはその部分から崩れていくので注意せねばなりません。
2-3、順序を守る
【順序】…一連の物事において、始め(そのまえ)に何が、その次には何が位置するかという、あとさきの関係
(同前)
準備が整いましたら、順序を考えます。どのような順序で処理を進めていけばよいのかは前後の処理事項によっても異なります。先の準備において、人材・金銭・物品が完全な状態で揃ったとしても、順序を考えていかなくては秩序が乱れて成果にはつながりません。さらに準備品に不足が起こり、余計な手間が掛ってしまうことを忘れてはならないのです。
2-4、方法を確認する
【方法】…目的を果たすための(計画的に考えた)やり方
(同前)
いよいよ行動に移ります。そこで必要なことは方法です。目的を明確化し、準備を整え、順序を完全にしたところで、方法を確認します。このとき陥りやすいことは、方法ばかりに意識が向きすぎて、目的を忘れてしまうことが多い点です。
ここまで積み重ねてきたことも、方法を間違えてしまうと誤った方向に進んでしまうものですから目的を今一度確認し、実行に移していくことが重要となります。しっかりとした決意を持って進めてまいりましょう。
2-5、始末を完全にする
【始末】…あとに面倒がおきない(他人に迷惑をかけない)ようものごとの決まりをつけること
(同前)
最後は、ものごとを実行に移した後の締めくくりです。始末することは、後始末ともいわれます。この後始末には、人との関係性をより親密にする効果があるのです。さらに次回のスタートをスムーズに行うための準備としての捉え方があると忘れてはいけません。
そして自らの行動に終止符を付けることは、想いを後に引きずらないだけでなく、相手にも好感の持たれる行動となるのです。しっかりと後始末をする習慣を身につけ、次々とやってくる案件に対し、喜んで迎えていきましょう。
2-6、チェックシートについて
5ステップの流れと細分化したいくつかの項目について、自分自身がどの程度の認識と信念があるか省みて、日ごろの行動の一部にしてみてはいかがでしょうか。
セルフチェックは5段階評価(1不足~3まあまあ~5充分)。自己診断を主眼としていますので、6か月に1度の間隔で繰り返しチェックをし、自らの心境の向上を楽しみながら日常の努力を重ねてください。そうすることでお金を掛けずに「心」の変化だけで、多大な効果が得られることに気がつくことでしょう。
※以下のシートは、自分自身の心境を磨くきっかけを見つけるために考案したオリジナルチェックシートです。他所の転用は禁止といたします。よろしくお願いいたします。
2-1目的を明確にする…「 」
2-2準備を完全にする
①両親を大切にしていますか。…「 」
②夫婦仲良くされていますか。…「 」
③目的に向かって歩み全員の心が一致していますか。…「 」
④目的に対して、燃えるような希望と情熱を持っていますか。…「 」
2-3順序を守る
①高齢が先、若年は後。先人に意見を聴き、そのうえで決行していますか。…「 」
②払うべき金は時をおかずに、惜しみなく支払っていますか。…「 」
③自然に順応した、規則正しい生活できていますか。…「 」
2-4方法を確認する
①チーム内の意識統一がなされ、ひとりで呼吸するようになっていますか。…「 」
②こまめな検討是正が行われ、足並みがそろっていますか。…「 」
③喜んで、進んで行動に移していますか。…「 」
④初志(仕方・考え方)を曲げずに、まっすぐに進んでいますか。…「 」
2-5始末を完全にする
①結果がわかる前に、緊張を緩めていませんか。…「 」
②礼状や挨拶、報告などの区切りを先延ばしにしていませんか。…「 」
(「成功・達成のための5ステップチェックシート」汪夕龍2017年6月)
3、やってみることから始めましょう。
何事につけても、裏付けをとることを忘れないことです。多くの情報の中で生活をしている私たちは、気が付かないうちに情報の波にさらわれていることがあります。
右か左か前か後か上か下か…気が付いたら周りが全く見えない状態に陥ってしまうと、何を信じて進めばいいのかわからなくなってしまいます。そのような時は、まず自分を信じてやってみることです。
「これで間違いがない」「大丈夫、出来る」との想いは、行動しなければ培われません。これまで自分の目で見て、耳で聴いてきたことを、身体でやってみることが大切なのです。このことを繰り返すことによって「間違いない」「これで大丈夫」ということがわかってくるのです。そして揺るぐことない信念へと変化していきます。
手探りでもいいので、やってみてほしい。ひとつ行動を起こせば、何かに気が付く。修正して行動すれば、また新しいステージへと登ることが出来る。そうした積み重ねが明日の、未来の自分を構成していくのです。
そして、その時に感じた喜びを家族や友人、会社の同僚などと共有してほしい。誰かに話すことによって、あなたの貴重な体験は大きな力となって周囲に伝わるのです。
先ずは試しに、チェックシートを使用することで見えてきた不足箇所の強化に努めてはいかがでしょうか。