はじめに
いろいろなところで交わされる「約束を守ること」は、小さな子供でもできることと思っている人が多いと思います。しかし、私たちの周りには、大人になっても簡単に約束を破る人が存在しています。
また、そうした約束は、何度も、何度も破られてしまううちに、破られた方はとても悲しい気持ちになるだけではなく、苛立ちを感じずにはいられない状況にすらなるようです。私たちの日常には、直前になって「ごめんっ!急用ができちゃったから‼︎」と話す人や、「忘れてたよ。他の予定入れちゃったから、また今度ね!」と話す人もいますが、どうでしょうか。
本当に急な用事であれば、前もって断りの連絡を入れることも可能でしょうし、断る前に“相談”を持ちかけてもいいのではないか?とも考えられますが、相手が忘れていれば事前の相談をすることも叶わないかもしれません。
さらに、約束を守らない行為に対して、「別に気にしてないから〜」と破られた側が話してしまうことにも驚かされます。しかし、本当に気にしていないのでしょうか。内心、約束が果たされるものと期待をして、楽しみにしている場合もあることを考えると、破られた人は、深く傷つき、悲しみを感じているのではないかとも考えられます。
今回は、「どうして約束を破ることができるの?」と悩んでいる人に向けて、約束を破る人の心の状態と特徴を考えるともに、今後どのように付き合っていけばいいのかを紹介できればと思います。
1、そもそも、約束を守るのは何のため?
おそらく多くの人が、「約束を破るなんて、ありえないっ!」と考えるかもしれません。こうした考え方は、幼少期の頃から人として生活を送るためのルールとして、家庭や学校で教えられてきたことでしょう。新社会人向けのセミナーにおいても、「約束とは、人と人とが信頼関係を結び、その信頼関係を深めるために必要なコミュニケーションです」と紹介する講師もいるほど、約束には意味があるといえます。
社会生活を送る私たちにとって、こうした約束ごとがなくなってしまうと、とても不自由で、生きにくい環境になるといっても過言ではないでしょう。また、円滑な人間関係を構築していくためにも、どんなに小さな約束であっても守っていく方がいいと考えられます。なぜなら、約束を守れない人とは、人間関係を深めようとは思えなくなるような影響があるからです。
“仕事はできるけど約束を守れない人”と、“仕事はできないけど約束はきちんと守る人”がいたとしたら、より良い人間関係を築きやすいのは後者ではないでしょうか。
2、約束を守れない人って、どんな人なのだろう?
まずは、約束を守れない人について、考えてみることにしましょう。
1)ついつい忘れてしまう
約束を破る人の多くに、「忘れちゃった!」と話す人がいます。その人たちの背景には、他のことにも気を留めることなく多忙であったことや、大変な日常を送っているからと、理由はいろいろとあげることができそうです。
また、約束をかわした時に、他のことを考えていたり、用事をこなしていたりと、約束の予定や内容を書き留めることができずに、忘れていることもあるでしょう。
2)自分本位の考え方を主張してしまう
約束を交わした時は、約束を果たすつもりだったものの、実のところは、その場の雰囲気や勢いによるもので、いざ当日になってみると、「気が重いな…」と感じ、気が変わるようなことがあるようです。また、天候や気候に左右される約束であれば、余計に気分もすぐれなくなるので、尚更でしょう。
約束を破る人の中には、「気分が乗らないから…」という理由で、相手との約束を反故にすることもあるようです。また、複数人で約束をしている場合には、「一人くらい行かなくてもいいよね」と思う場合もあるようです。
ちょっとした買い出しであったり、他の日でも問題ないような約束であれば、「別に今度でよくない?」とアレコレ理由をつけて、自分のいきたくないという気持ちを押し出し、約束を果たさずに済むような方向に持ち込んでいきます。
そのため、このタイプの場合は、約束を破るというより、気づけば、約束そのものがなくなるといった形で、よくあることになるのかもしれません。
3)人との繋がりを軽視してしまう
私たちは、多くの人との関係をもって、助け合いながら生活をしています。こうした感覚がある人であれば約束を破るという行為に及ぶことは少ないでしょう。仮に、約束を守ることができない状況になったとしても、「申し訳ないことをした」と、少なからず罪悪感を感じる人もいますが、そうでない人もいます。
それは、「約束を破ることが、人との繋がりに影響する」という感覚がない場合です。こういった感覚がない人においては、人間不信な状態に陥っている可能性も考えられます。もし、約束を破ることで、相手がどれほど傷つき、悲しむか想像することができない程になっているのであれば、心が冷え切ってしまっている可能性があるので仕方がないと見ることができるかもしれません。
いずれにせよ、約束を果たさないことによる影響が見えていない人ということが伺えるでしょう。
4)人をみて態度を変えてしまう
「この人の言うことは聞いておかなければならない」と意識して丁寧な対応をする一方で、「この人は何をしても怒らないし、放っておいても大丈夫」と区別して、相手に応じて態度を変え、約束が果たされないケースもあります。おそらく、自分のルールが存在し、損得勘定など、何らかの判断基準で動いていると考えられるものです。
自分にとって有益な人との約束は是が非でも必ず守り、そうでない人との約束を破ることには罪悪感すら感じていません。約束を守る人からみると、誠意がない様にみえますが、例えば、一般的に、家族との約束を後回しにしやすいことがあることなども考えると、意外によく起きている現象なのかもしれません。
3、約束を守らない人の共通点って?
約束を守らない人には、どのような特徴が見られるでしょうか。もしかしたら、心当たりのある、ある人との特徴と重なるかもしれません。
1)連絡がつかない
今日の約束を忘れているのか…、寝ているのか…、居留守なのか…と、いろいろと考えをめぐらせてしまいますが、約束を破る人の特徴として自分からの連絡はあまりないようです。それは、「相手が心配するかもしれない」と考えたり、「事前に連絡して確認しておこう」という考えが働かないからといえるかもしれません。
2)悪気がない
「約束を守らないことは悪いことなの?」であったり、「理由があれば、約束は破ってもいいでしょ、仕方ないじゃん!」という考えを持っていれば、悪気はないといえるでしょう。
たとえ謝罪してきたとしても、言葉に気持ちがのらないために、何となく謝られたと言う印象を受けるかと思います。こうした場合、約束を守れない人に対して、「悪い人ではないけれど、何となく感覚のズレを感じる…何だろう?」と違和感を覚えるかもしれません。
3)性格的にルーズ
朝は起きることができない、電車やバスは時間ギリギリ、何をするにも余裕がなくなるくらいギリギリでルーズな日常生活を繰り返している人の中には、人との約束もルーズになって、約束を破ることも日常になる人もいるようです。
約束の時間になっても姿が見えないので連絡をすれば、「寝ていた」とか、「忘れていた」などと対応される場合は、性格的にルーズであることが多いのかもしれません。
4)謝ることができない
約束が果たされなかった時に、「目覚ましがならなかった」、「スケジュールが間違っていた」、「聞いていなかった」という言い訳が第一声に出てくる人の多くは、自分ではない他のものの影響を受けて、約束を守れなかったと主張するようです。
そのため、約束が果たされなかったのは、自分が悪いのではないとの考えから、約束を交わした相手に対して、謝ることができないのかもしれません。
4、約束が守れない人への対処法
日常的に、約束を破る人との関係に困っている人に向けて、いくつかの対処方法を紹介していきます。
1)細めに連絡をする
相手とのコミュニケーションは、約束を交わしたその時だけでなく、その後も何度か確認の連絡をとっておくことが大切です。こうした動きをとることで、忘れっぽい人が約束を忘れることは少なくなります。
さらに、交わした約束がとても大切であることを何度も伝えることで、約束を守るという意識づけにもなりますし、お互いにとって“必ず守る”という心構えが次第に構築されていきます。忘れっぽい人や自分本位で果たさない人たちの対策となることでしょう。
2)早めの時間を設定する
約束の時間を守ることができず、いつも約束の時間に遅れてくるようであれば、早めの時間を伝えておくことも有効です。とくに、団体で行動する旅行の時やバス移動の時には、時間厳守でいきたいものでしょう。そうした時に、早めの時間に設定しておくことで、時間ギリギリまで待たされる不安感を回避するとともに、イレギュラーなリスク回避にもなります。
約束を守れるような環境を整えて、約束を守りやすくすることで、約束を破られないようにするのです。
3)自分の気持ちを伝える
約束を破った人に対して、破られた時に自分の気持ちを率直に伝えたことはありますか?伝えることができれば、自分にとって良いことなのですが、なかなか難しいことかと思います。
子供に諭すようなイメージで、「自分がされたらどう思いますか?」と問いかけながら、お互いに理解が進むことができれば理想的です。
しかし、人間関係を悪化させてしまう可能性を見ると、なかなか踏み出すことのできない難しい内容でもあるので、実行する時には細心の注意が必要になるでしょう。
さいごに
約束を交わした二人の関係性がより良くなっていくはずの“約束”ですが、何度も、何度も約束を破るという人が少なからずいるようです。
指摘をしたり、忘れないように何度も連絡したり、自分の気持ちを素直に伝えたりしてきたけども、改善の姿を見ることができないこともあるでしょう。
このような時には、仕事上で関わることが必要な場合を除き、その人との距離をおくようにしてみてもいいかと思います。こうした行動をすることで、次第に連絡は途切れ、約束を守れない人からも何の動きもないまま、関係をフェードアウトしていくことができるようになるでしょう。
もし、仕事上で関わりのある関係であれば、期日に関わることのない作業を担当してもらい、重要な案件は頼まないようにするなどの対処が必要となるでしょう。
それでは、ここで、一度考えてみましょう。約束を破る人は相手のことをどう思っているのでしょう。大切に思う人に対して約束を破れるのでしょうか?その人は、約束を破られてもなお、一緒にいたいと思える相手ですか?
ここで大切なことは、《約束を破ってもいい人=大切にされていない、どうでもいい人》という見方もできてしまうところです。すでに、関係を続けていくことに疑問を感じているのであれば、今この瞬間から「都合の良い人」であることを止めてみても良いかもしれません。
我慢を重ねて無理を重ねることなく、自分を大事に、人間関係や約束を大切にしてくれるような人を見つけに出かけてはみませんか。