AI(人工知能)時代がやってくる、とあちこちで耳にするようになりました。
インターネットの普及、一人一台スマホ、など、急激に変化していく世の中で、今まで当たり前にあった仕事がなくなり、今まで予想もしなかった仕事が生まれています。
AI(人工知能)の普及が進むと、その変化はますます急激になっていくと考えられます。
そんな変化の時代を生きることになる子どもにとって、変化に対応できる力を身に着けることはとても大切になってくるのではないでしょうか。
そこで今回、変化への対応力の基礎となる3つの要素と、その3つの要素を育む2つの子育て法を提案したいと思います。
AI時代到来
AIとは、Artificial Intelligenceの略で、人工知能と訳されます。
AIとは(Wikipediaより)
人間の知的能力をコンピュータ上で実現する、様々な技術・ソフトウェア・コンピューターシステム。
応用例は自然言語処理(機械翻訳・かな漢字変換・構文解析等)[3]、専門家の推論・判断を模倣するエキスパートシステム、画像データを解析して特定のパターンを検出・抽出したりする画像認識等がある。
過去の人工知能は、膨大な知識やルールなどを人間が全て教える必要があり、現実社会で通用するレベルにはなかなか近づけませんでした。
しかし近年、大量のデータから自分で物事を分類するルールを見つけ出す「ディープラーニング」という技術のおかげで、人工知能の能力が飛躍的に進化し、実用の可能性が大きく広がりました。
ディープラーニングを導入したAIが、囲碁や将棋のトップ棋士や、ポーカーの世界トップクラスのプレイヤーを破ったことは記憶に新しいかもしれません。
市場変化の予測まで織り込まれた自動株取引、コールセンターの自動対応、ロボットタクシーや受付ロボット、製造や物流の高度な自動化など、これまで人間が対応せざるを得なかった様々な場においてAIの活用が進み始めています。
10年後、今の仕事の65%がなくなるだろうという予想もあるほどです。
AI時代を生きるために
今までなかったものが普通になる、普通だったものがなくなる、今までもそんな変化は緩やかに起きてきましたが、これからの変化はもっと急激なペースで起きてくると予想されます。
いい成績をとり、いい大学に入り、いい仕事に就き、一生安泰、というような人生設計はもはや時代遅れだ、と感じる人も多いのではないでしょうか。
いい成績、いい大学までは、これからも今までとはそう変わらないかもしれません。
しかし一生安泰ないい仕事、というカテゴリーは、どんどん不明瞭になってきているようにも思います。
一生安泰な仕事、と思われていた医師の仕事でさえ、AI化の波は押し寄せています。
最近ではがんの画像診断などを中心に、AIが人間の医師の成績を上回ったという研究結果が次々と発表されているそうです。
将来の医師の仕事はAIをうまく使いこなす技術者としての仕事になっていくのかもしれません。
そんな変化の激しい時代を生きるために必要なのは、いかに変化に対応していくか、つまり変化への対応力ではないでしょうか。
変化への対応力とは
変化への対応力とはどういうものでしょう。
ここではスキーをイメージしてお話ししたいと思います。
今までの時代は、ある程度整備された斜面、つまりスキー場の斜面をゆるゆると滑るようなものだったとしましょう。
スキー場にあるゲレンデ案内を見れば、どこにどういう斜面があるかある程度分かる。
整備されてる斜面なので、転んでも怪我しにくい。
しかしAI化が進むであろうこれからの変化の激しい時代は、整備された斜面だけでなく、コブ斜面、新雪の斜面、急斜面、緩斜面、木々が生えてる斜面など、色々な斜面を猛スピードで滑るイメージです。
変化への対応力とは、いろいろ変化に富んだ斜面をスピード感をもって滑っていける力、と例えられるのではないでしょうか。
変化への対応力の基礎となる3つ要素
変化への対応力、といってもざっくりしすぎているかもしれません。
変化への対応力にはどんな要素があるのか、私が考える3つの要素を下に記します。
① 失敗から学んですぐ活かせる
最初からすべての斜面をうまく滑ることは不可能かもしれません。
でも、失敗から素早く学び、滑りに活かせれば、対応できる斜面の種類は確実に増えていきます。
そのためには失敗に落ち込む時間を、失敗から学び活かす時間に変えていくことが必要です。
失敗を恐れていても、なかなか滑りは上達しないでしょう。
また失敗がまだ小さいうちに気づき、滑りを変化させることができれば、大けがをするほどの転倒にはつながりにくいです。
② 自分軸がある
スキーでどんな斜面にも対応するためには、軸が整っていることが必要です。
軸がぶれていると、スキーでは板をコントロールすることが難しくなり、滑りが安定しません。
軸がぶれてる分、力でなんとかしようとしてしまいがちで、疲れやすくなります。
同じように、変化に対応するためには、自分軸が整っている方がより安定します。
自分軸とは、自分とはどういう人間か、何が好きで、何が嫌いで、何がしたくて、何がしたくないのか、を知っていて、かつ大切にしていることです。
自分軸がしっかりしていると、変化に振り回されにくく、変化の中でも自分らしく生きていくことができます。
③ 前向き
スキーでは少しでも腰が引けていると、板が先走りし、コントロールを失い、転んでしまいます。
同じように、変化に対し後ろ向きな姿勢だと、変化を乗っていくことは難しくなります。
でも本当は後ろ向きなのに、頑張って前向きを維持しようとしても、疲弊します。
疲弊が続くと、心や体の病気など、強制的に休まなければならないようなことも起こってきます。
ここで言う前向き、とは、楽しむ力、とも言い換えられます。
色々な斜面を楽しんで滑るように、変化を楽しめれば、変化への対応力はおのずと上がるのではないでしょうか。
変化への対応力のある子どもを育てるには
変化への対応力の基礎となる3つの要素を見てきましたが、子どもの中でそれらの要素を育むには、どんな子育てをしていったらよいのでしょうか。
ここでは2つの子育てポイントをお伝えします。
① 子どもの選択を尊重する
まだ小さいからと言って、親が子どものことを勝手に決めてしまうことは案外多いのではないでしょうか。
親がよかれと思う方向に子どもの選択を誘導するのもよくあることかもしれません。
・女の子がヒラヒラの洋服を欲しがっても、「シンプルな動きやすい服の方がいいわよ」
・子どもが習い事をやめたがっても、「今やめるとやめなきゃよかったって後悔するわよ」
などのケースはよく起こりがちかもしれません。
よかれと思う方向というのは、子どもが失敗して痛い想いをしないように、という親心がベースとなっていることも多いでしょう。
自分が子どもの頃失敗して嫌だったから子どもには失敗してほしくない、という気持ちもあるでしょう。
そういうときは、自分と子どもは違う存在なのに、自分と子どもの境界があいまいになっています。
でも、子どもは自分で選択したことで失敗を経験しないと、そこから学んで次に活かしていくということができにくくなります。
親の影響を受けた選択はどこか他人事で、自分の責任にはなりにくいからです。
また自分で選択することが少なく、親の意見に従うことが多いと、自分軸が育ちにくくなります。
本当は何が好きなのか、何がしたいのか、よくわからない大人になっていきます。
もちろん、子どもの選択をOKすることができないときもあるでしょう。
そこで、選択を尊重する、です。
尊重とは、頭ごなしにダメだ、と決めつけるのではなく、なぜ子どもはそれを選択したいのかを理解したうえで、それをOKできない理由を相手に伝わるように話し、コミュニケーションをとることです。
そうすることで、子どものコミュニケーション力も磨かれてくるでしょう。
② 子どもを信頼する
自分の子どもに対し、不安を抱く人はよくいるかもしれません。
「このままでこの子は大丈夫なんだろうか」
でも親が不安に思えば思うほど、子どもは「自分は親が不安に思うようなダメな人間なんだ」と思い込むようになります。
「自分はダメな人間だ」という思い込みは、人生や変化に対する後ろ向きな姿勢を生み出します。
また失敗するたびに、「やっぱりダメな人間だ」と落ち込みやすくなり、失敗から学んで活かすことよりも、失敗を避けることにエネルギーを向けるようになります。
「この子が今、どうであっても、この子は大丈夫」と親が子どもを信頼できると、子どもが自分の人生を信頼できるベースが整います。
失敗しても、それが自分の存在否定にはつながりにくいので必要以上に落ち込むことはありません。
自分の人生を信頼できるていると、どんなときでも前向きで楽しんでいられるようになります。
もちろん変化に対してもです。
まとめ
AI時代到来と聞いて、子どもにプログラミングを習わせよう、とか、創造力を高めるような教育を与えよう、など、人それぞれ色々な発想があるかもしれません。
今回は、変化に対する対応力についてお話ししましたが、変化に対する対応力を高める子育てのポイントとして、今からでも実践できるようなシンプルな方法を提案しました。
シンプルだからこそ難しい、とも言えるかもしれませんが、もし2つのポイントを押さえた子育てができたら、それはどんな高度な教育法にもまさるような、子どもへの生きる力のプレゼントになるのではないかと思います。
あなたの子育ての参考になれば嬉しいです。