人が何かをしようとする時、当然そのことをする目的なり、理由なりがあるわけですから、それが目標となります。ところが、昨今では、その理由や目的から意識が薄れて曖昧になり、物事を継続して取り組む姿勢そのものが全くなくなっているという人も少なくないようです。
今回は、自分自身が持っている“目標”について、じっくり見つめなおす機会にしてみてはいかがでしょう。
はじめに
物質的に豊かになってきた時代の中で、人々の物事に対する集中力や積極性といったものは希薄になり、ひとつひとつじっくり取り組むことができなくなってきているのではないでしょうか。
それはもしかしたら、経済発展の速度が急激すぎるがために、時代の流れに乗ることができず、行動を起こすことが難しくなってきている側面があるからかもしれません。
しかし、人生の喜びは、ひとつひとつのことを成し遂げていくところにありますし、また、そうしたところから信念もついてくると考えられるので、そのためにも、はっきりとした目標を持つことが大切であるとの見方ができます。
目標がはっきりしていなければ、長続きはせずに成功や成就といった結果を掴むことは難しいでしょう。さらに、目的や理由がないことで「やり甲斐」も「生き甲斐」もないと捉えることができます。
「やり甲斐」や「生き甲斐」とは、目標をもって過ごしているかどうかで変わってくるでしょう。目標の大小に関わらず、進むべき方向をしっかりと見据えて、目標を持つことが大切です。
そして、目標を持つことができたら、時間をかけて具体的なものにしていくことです。すると、日々の生活に“張り”が生まれるだけでなく「やり甲斐」も「生き甲斐」も出てきて、毎日を生き生きと過ごすことも可能となるでしょう。
1、目標を確立させるための概要
人が何かをするには、それだけの目的なり理由が必ずあるものです。家庭内において、子供が両親に反抗的な態度をとっている場面を想像してみてください。
親の立場からすると、何の理由もないように見えたとしても、子供の立場からすると必ず理由があるものです。
また、大人の場合でも、何の理由もなく物事をしている人もいるようですが、そのように見えても結局は、気が動転している等の理由があったりします。ですから、私たちが何か行動する時には、それなりの理由と目的があるといえるのです。
目標という言葉を別の言葉で表現するならば「行動するに際して、そこまで到達しよう、もしくはさせようと決めたこと」と表すことができます。“行動するに際して”というと、先述した目的や理由が大切な点になりますが、どこか漠然としたものが残るような感覚があります。
その漠然としたところには、“誰のために”とした、相手を見据えた意識がはっきりしていないために、目標そのものが曖昧になってしまう可能性があります。ここで、目標の区分をつけて、より明確な目標を打ち立てていきましょう。
目標の区分には、「自己目標」「小目標」「中目標」「大目標」の4つに分けて区分することができると考えられます。そのひとつひとつの区分について内容を見ていくと以下の通りになるでしょう。
「自己目標」…自分のために行動し、はたらくこと
「小目標」……自分の家族や友人のためになる行動すること
「中目標」……会社・学校・市町村などの地域のためになる行動をすること
「大目標」……国家や世界、人類のために広く普遍的な行動をすること
一言に“目標”といっても、以上のような4種類に区分することによって、自分自身が打ち立てた目標がどこに区分されるのか考えてみてはどうでしょう。じっくり考え見つめることで、より具体的な目標設定が出来ることでしょう。
そして、打ち立てた目標自体が、区分した垣根を互いに交錯しあい、重なり合うように見えるようになります。一見混乱しているように思えるかもしれませんが、目標を立てた人が「自覚」をもって、行動することによって“だれのために”といったものが明確になっていきます。
2、めったなことではグラつかない目標の立て方
人の悪い癖のひとつに、行動する前から「私にはできません」とか、「私にそんなことを言われても無理です」というようなことを発言する人がいます。
全てがこれに当てはまるかと問われればそうではない場合もありますが、物事をやる前から“できない”と決めてかかるがために、いつまでたっても進歩することがない人に着目すると、後々に自分自身を苦しめていることがあります。
どんなことにも進んで取り組み、何でも経験して、積み重ねることで“絶対”との信念を確立することになりますが、目標がグラついていてはどのようなことに対しても前向きには取り組めないものです。
ここでは「グラつかない目標の立て方」を、段階を踏まえながら考えていきます。段階を踏まえながら考えを深め、自分自身の生活に活かしてみてはいかがでしょう。
1)まず、反省を的確に行うこと
反省というと、自分の今までの発言や行動・あり方について可否を考えることをいいますが、良い悪いの“可否”を考えるのではなく「やったか」「やらなかったか」のふたつについて考えることが大切になります。
物事の成功や失敗といわれる結果は、私たち人間の領域で判断できるものではありません。結果的に失敗してしまったとしたら、二度、三度、…と繰り返せばいいのです。練習を繰り返し、経験を積み、何度も行動している間に成功という結果が目の前にやってくるものです。
成功した喜びは、苦しみが多かっただけ大きいものです。そうして感じた喜びこそが、信念や自信につながり、さらに大きな喜びに発展すると同時に、グラつくことなない方向性や目標を掴むことに繋がるのです。
また、「やる」「やらない」という選択に迫られた時の“タイミング”も大変重要なポイントです。そうした“タイミング”の見方についても考えてみると、「決断したタイミングが遅すぎた」というケースがあります。
タイミングを掴むことができずに「早すぎる」「遅すぎる」という点も“結果的に”との見方ができますので、視点を変えて考えてみると「なぜ、遅すぎ(早すぎ)て、しまったのでしょうか?」といった疑問が浮かんできます。
ひとつ考えられることは、自分自身の“苦手意識”が働いたのではないでしょうか。私たちは苦手な物事には「早く済ませてしまいたい」という“焦る気持ち”や、「できればやりたくない」というような“逃げだしたい気持ち”が働くものですから、タイミングを逃してしまうような現象が起こります。
こうした“苦手意識”は、自分自身にある“壁”です。しかし、決して乗り越えられない大きな壁ではなく、乗り越えることができる壁として認識し、向かい合うところから始めることが大切になります。
ですから、なぜ自分は壁にぶち当たったのか、自分のどこがいけなかったのかを省みる時間を持ち、そして、自分の苦手な部分を的確にすることが、次へのステップに欠かせないものになるでしょう。
2)計画と具体的な目標設定
自分の欠点を解析できたら、それを改めるためにどうするかを考えてみましょう。それには、計画をたてることが大切です。物事を行うために、あらかじめその方法・手順などを考えることを計画といいますが、計画がないといつまでもダラダラとして、締まりがなくなり、区切りがつきません。
何事においても、区切りをつけるということは、自分自身の決意の現れとして捉えることができますし、行動するにしても動きやすくなることでしょう。また、目標設定については、「少し難しいな…」と思えるくらいのものを設定することをお勧めしますが、動き始めようとした時は“これくらいならできる”といった易しいものを設定することによって動きやすくなりますので、「靴を揃える」などの日常的なことから目標設定を具体的に立ててみましょう。
難しい目標に対しては、やりがいが生まれてくるでしょうし、易しいものは自信をもって行動できると思います。しかし、概して易しいと思うものほど、あとで難しくなるという場合があります。そうした時には、目標設定の見直しを行いながら繰り返し、繰り返しの行動が求められるでしょう。
ここで大切なことは、漠然としたものではなく、具体的に“何を、どうするのか”ということを決めて動き出すことですので、自分の欠点と向き合いながら目標設定をしてみてはいかがでしょう。
3)一貫して続けよう
反省と計画、そして具体的な目標が定まったら、あとはそれを途中で投げ出すことなく、諦めずに行動していくことが大切になります。
行動していく途中で、必ずといっていいほど嫌になることがあります。また、自分自身に自信をなくしてしまうこともあるでしょう。しかし、そうした場面を乗り越えていかなくては、自分自身が掲げた目標に近づくことが難しくなります。苦しい時こそ“グッと”踏ん張って、行動していきましょう。
それでも“苦しい”と感じてしまったのであれば、2)計画と具体的な目標設定の中で触れたように、「“これくらいなら出来る”」といった行動までハードルを下げ、目標設定を変更してみてはいかがでしょう。立ち止まることなく、半歩でも前に進むことができるように、行動していくことに意識を向けていきましょう。
最後に
私たちは日常生活・職場生活の中で、ある一定の方向性を見出して生活しています。一定の方向性とは、今回触れてきた“目標”という言葉に置き換えることができるでしょう。具体的に考えてみると、“今日をどのように生きるのか”といったことや、“これからどのように行動するのか”との考えや想いに直結し、行動となって現れてくるといった流れになります。
また、順調に行動できている人にとっては、当たり前とも言える“目標設定”という言葉についてですが、窮地に立たされている人は設定していなかったのかと問われれば、答えは“No”と言えるでしょう。何故ならば、行動するということは“目標をもっている”からです。
では、なぜ窮地に立たされることになったのかでしょうか。それは「視野が狭くなり、周囲の情報を掴むことができなくなった」ことがひとつの原因として取り上げることができます。さらに考えを深めていくと“目標設定がグラついてきたから”との根本原因に繋がります。
“はっきりした目標を”日々確認することは、打開策を見出すきっかけにもなりますし、さらなる成功や飛躍のきっかけをもたらしくれるものになります。今回を契機に自分自身が持っている“目標”を再確認してみてはいかがでしょう。