アダルトチルドレンの人生は混乱しがちです。
心理的に未解決な部分が大きければ大きいほど、仕事、人間関係、お金、健康など様々な面で問題が起きやすくなるでしょう。
そしてその要因の一つは人間関係における立ち位置・人に対する接し方のクセにあります。
1.人間関係の立ち位置(対等、支配、服従の傾向性)
初めての人と会う時、あなたはどんな立ち位置でその人に接するでしょうか?
立ち位置といっても様々な側面がありますが、「対等・支配・服従」という視点からすると大きく三つに分けられます。
■対等な立ち位置
お互いの年齢や性別、立場が違ったとしても「人間としては対等」であるという立ち位置
■服従優位の立ち位置
「自分の方が下で、相手の方が上」だという立ち位置
■支配優位の立ち位置
「自分の方が上で、相手の方が下」だという立ち位置
これを図にすると下記のようになります。
*左側を「服従の傾向の強さ」、右側を「支配の傾向の強さ」。そして中心を「対等」とする。
「対等な立ち位置」が理想のように思われるかもしれません。
しかし現実的には上司と部下、サービス提供者と客、先輩・後輩といった関係の中で、役割を果たすためには健全な範囲での「服従優位の立ち位置」「支配優位の立ち位置」も必要だと思います。
ただこれが行き過ぎてしまうと、いろいろな弊害を生みます。
そしてアダルトチルドレンは「過剰な服従優位」もしくは「過剰な支配優位」のどちらかに振れやすいのです。
2.「過剰な服従優位」「過剰な支配優位」がもたらす弊害
「過剰な服従優位」もしくは「過剰な支配優位」の立ち位置にハマってしまった場合、様々な弊害が現れやすくなってしまいます。
「過剰な服従優位」の立ち位置にハマった場合
・相手のいいなりになってしまい、都合良く使われてしまう。
・相手の悪いところをちゃんと認めらず、何か問題が起こればすぐに自分の方が足りない、悪いと考えてしまう。
・自己否定と疲労が強く、ますます何かに依存的になってしまう。 など
「過剰な支配優位」の立ち位置にハマった場合
・相手に対して傲慢・攻撃的になり、問題のある言動を起こしてしまいやすい。
・相手を非難・攻撃することばかり目が向くことで、自分自身の課題に目が向かず、問題の解決が遅れる
・人間関係の破綻、いじめ・パワハラなどの問題が表れ、自分の立場が危うくなる など
3.「過剰な服従優位」「過剰な支配優位」が弊害を生みやすい人間関係のパターン
「対等、支配、服従」の傾向性から見た人間関係のパターン
人と接する時の「対等、支配、服従」の傾向性。
ここから生まれる人間関係のパターンは三つに整理することが出来ます。
■パターンA 対等な関係
お互いの年齢や性別、立場が違ったとしても「人間としてお互いは対等」という関係
■パターンB 軽微もしくは健全な「支配-服従」関係
上司と部下、サービス提供者と客、先輩・後輩といった関係の中で、役割を果たすためには健全な範囲で支配ー服従関係も必要です。
また対等とまで言えなくても、多少バランスを崩した人間関係も現実的には多く、それもありだと思います。
■パターンC 過剰な「支配-服従」関係
度を超えた支配-服従関係
現実の人間関係の中でA~Cのパターンは変化することもあります。
またパターンB・Cは立場が入れ替わることもあります。
例えば友達やパートナーとの間でも
「〇〇に行きたい」
「〇〇をしたい」
といった相手からの要望や主張があった時。
自分が乗り気でなくても「今回はいいか」と時にはお互いがそれぞれ「折れる」ことで人間関係を保つこともありますね。
『過剰な「支配-服従」関係』が固定化した状態は問題が起こりやすい
友人やパートナー、職場など身近な人間関係において
『過剰な「支配-服従」関係』
が固定化されると問題が起こりやすくなります。
両者の間に一方通行的な指示・命令や極度の依存状態が出来て、暴力的な言動が生じやすくなるからです。
そしていじめやDV、虐待やパワハラなどにつながりやすくなってしまうのです。
「過剰な服従優位」もしくは「過剰な支配優位」のどちらかに振れやすいアダルトチルドレンは、この状態に陥りやすくなります。
4.なぜアダルトチルドレンは 「過剰な服従優位」「過剰な支配優位」にはまりやすいのか
人に接する時の「普通」が「過剰な服従優位」「過剰な支配優位」だと思っている
人間関係とはどんなものか。
小さな子どもが無意識のうちに学ぶのは親の在り方です。
もし両親や親が周りの人接する姿勢が
「過剰な服従優位」
「過剰な支配優位」
であれば子どもはそれが普通として捉えてしまうのです。
「対等な接し方」は言葉では理解できても、感覚的には実感が持てないケースは結構あります。
人間関係でトラブルが起きた時の対処方法が「過剰な服従」「過剰な支配」だと思っている。
親が人間関係のこじれた場面やトラブルに直面した時、「過剰な服従」姿勢ばかりでその場をしのいだり。
逆に力に任せて「過剰な支配」姿勢その場をやり過ごしていたとします。
そうすると子どもは無意識のうちに、人間関係でのトラブルの対処策は「そういうものだと」考えてしまい、親と同じことをしてしまいます。
癒されない心の傷が大きく、痛みを避けるためにどちらかに振れやすい
心に癒されない痛みを多く抱えていると、無意識の内に「心の痛み」につながるものを避けようとしていまいます。
そのため痛みを回避するために「過剰な服従」に向かう。
もしくは逆に痛みを感じないように「過剰な支配」のどちらかに極端に触れてしまいやすくなるのです。
5.どうすれば「過剰な服従優位」「過剰な支配優位」から離れられるか
①自分の状態・クセに気付く
まずは自分が問題を引き起こしやすい状態・クセを持っていることに気付くことです。
特に「過剰な支配優位」になりやすい人は、自身の問題を見るのが苦手なことが多い。
そのため本当に痛い目に会って初めて向き合うことも少なくありません。
②なぜそのクセを持っているのかその原因を探る
人はそれぞれ生まれ持った性質があります。
それに加え、どんな環境で育ったかが、その人の性質に大きな影響を及ぼしています。
両親の在り方や他人への接し方、子供時代にどんな体験をしてきかたなどを改めて見直してみる。
そうすることで、クセの原因が見つかることも多い。
③原因となっている観念、体験などを見直す
「自分は弱い。だから相手から攻撃されないように振る舞わないといけない。」
「自分には価値がない。だから価値があるように見せないといけない。」
といった観念が原因となっていることがあります。
まずはこういった観念を自分が持っていることに気づくこと。
そして今の自分にとって本当に必要なのか見つめていくことで、不要な観念を手放していけるのです。
まとめ
親子間で起きる虐待の問題。
いじめやパワハラといった問題。
いづれも”過剰な「支配-服従関係」”という観点から見ることができます。
そしてアダルトチルドレンは被害者にも、加害者にもなりやすい潜在的なリスクを持っているのです。
そのためアダルトチルドレンの回復は単に個人の問題を解決に向かわせるだけでありません。
虐待やいじめ、パワハラの予防・防止などを通じて社会全体の安定にもつながっていくのです。