ミツバチが地球から消えると人間も消える!?

今、世界でミツバチの絶滅が懸念されています。

これを聞いてあなたはどう思われましたか?

「ハチミツが食べられなくなる」

あるいは、「ハチミツはそんなに好きじゃないから自分には関係ない」でしょうか。

いえいえ、その程度で済むなら、どれほどいいか。(ハチはそう思わないでしょうが・・)

この問題は、誰一人として、関係ないなんて言えません。

なぜなら、ミツバチが絶滅すると、食糧生産が壊滅的な打撃を受ける上、地球の生態系が破壊され、人類の生存そのものが危うくなるというのですから。

「ミツバチが絶滅すると、人類は数年で後を追うだろう」とアインシュタインが言ったという説があります。

どうやら、アインシュタインの発言ということには根拠がなく眉唾ですが、その内容は否定できないことのようです。

すぐ目の前に迫っているかもしれない危機の実態と、その原因、わたしたちがなすべきことについてまとめてみることにします。

この記事の目次

1. 映画「みつばちと地球とわたし〜ひとつぶの命に秘められた大きな環のおはなし〜」

実は、わたしも以前はこの問題を軽く考えていた一人です。

何年か前から、ミツバチが大量死したり、集団失踪したりするという記事をネットで目にするようになりました。

養蜂家の方を気の毒に思いつつも、数ある環境問題の一つぐらいの認識でした。

ところが、最近、昨年の夏に公開された映画「みつばちと地球とわたし〜ひとつぶの命に秘められた大きな環のおはなし〜」の存在を知りました。

その映画で語られているのは、冒頭述べたような驚くような内容だったのです。

映画の中で養蜂家の船橋さんという方が、ミツバチが絶滅するまで学者が計算すると20年、でも、養蜂家の人たちは口々に「あと10年ないんじゃないか」と言っているそうです。

現場の人たちの実感は、そこまで差し迫っているということです。

 

2. ミツバチに依存している人類

ミツバチに依存している人類

映画によると、野菜や果物など世界の食糧作物の70%がミツバチによる受粉によって生産されているそうです。

ハチミツというと、レンゲやアカシヤ、クローバーなどが代表的ですね。

また、植物の受粉には、昆虫だけでなく、風、鳥、蝶、コウモリなども関わっているとも理科の時間に習いました。

だから、そんなに多くのパーセンテージの、食糧となる植物の受粉に影響しているとは想像もしていませんでした。

本当にそんなに高い比率なのかなと感じたので、ネットで調べてみました。すると、

世界のほとんどの国の食料の90%をまかなっている100種類以上の作物種のうち、70%以上がミツバチを経由して受粉しているという。
国連食糧農業機関(FAO)

国連環境計画のサイトには上記のような言葉がありました。他にも、ナショナルジオグラフィック日本版のサイトやオーストラリア科学院が支援した動画でも、同じ趣旨のことを言っていました。

どうやらこれは間違いなく事実であるようです。

国連環境計画(2016.3.15)
[食料を作るには虫や動物がいなくちゃ! | UNEP日本語情報サイト]

ナショナルジオグラフィック日本版(2015年5月号)
[90億人の食 希望のミツバチ | ナショナルジオグラフィック日本版サイト]

オーストラリア科学院監修の動画(字幕あり)
[The Death Of Bees Explained – Parasites, Poison and Humans – YouTube]

しかも、日本だけでなく、世界規模の事象なんだということも明白になりました。

ちなみに、ある自然系のブログでは、ミツバチが絶滅したら起こりうる10のこととして、以下の項目を挙げています。

現実的に考えて、ミツバチの絶滅がどれほど広範囲に私たちの生活に影響を及ぼすのか、とても参考になります。

  1. ハチミツがなくなる
  2. 多くの野菜やフルーツが育たなくなる
  3. 人の手で受粉しなくてはならなくなる
  4. 乳製品が消える
  5. コットンが育たなくなる
  6. 人間の主要タンパク源は豚肉・鶏肉に
  7. 食べ物の値段が高騰する
  8. 栄養不良が大きな問題になる
  9. 世界経済が破綻する
  10. 世界中で飢饉が起こる

[ミツバチは人類にとってとても大切な役目を果たしていた。ミツバチが絶滅したら起こりうる10のこと : カラパイア]

 

映画の話に戻りましょう。

ミツバチが受粉を媒介するのは、食糧になる植物にとどまりません。森の木々もミツバチの恩恵を受けているのだそうです。

調べたら、針葉樹は風媒花が多いのに対し、広葉樹は大型の花を持ち虫を媒介とする虫媒花が多いそうです。

ミツバチがいなくなると豊かな森が損なわれます。すると、森が蓄えて供給するきれいな水も失われます。

雨は山に蓄えられることなくすぐに川に注ぎ、しばしば濁流となって流域を荒廃させるでしょう。

反対に雨の少ない時期には川は渇水し、魚が生息する環境も深刻な影響を受けそうです。

当然、川が注いでいる海にも影響するはずです。

要は地球の命を支えている、水の循環が傷ついてしまうということです。

そうなるとありとあらゆる生命に影響が及ぶことになりかねないのです。

このような環境となった地球で、はたして私たちが生き延びられるものでしょうか?

 

3. ミツバチ減少の実態と原因

ミツバチ減少の実態と原因

このようにミツバチの減少はとても怖い話ですが、目を背けても何の解決にもなりません。

このような現象はいったいいつ頃から、そして、なにが原因で起きているのでしょう。

(1) ミツバチ減少の実態

実は、ミツバチの減少は、昨日今日始まったことではありません。養蜂家たちの間では、1990年代にすでに冬期における働きバチの数の深刻な減少が報告されるようになったそうです。

そして、世界的にミツバチの減少が深刻化した2006年に、この現象は蜂群崩壊症候群(CCD)と名づけられます。wikipediaによると、CCDは米国、ヨーロッパ、日本、インド、ブラジルなど世界各地で観察されているとあります。

具体的には、巣で原因不明のミツバチの大量死が起きたり、ある日突然、ミツバチが巣からこつぜんと消えてしまう現象が起きたりするのだそうです。

映画に登場する愛知の養蜂家の方は、以前は20箱以上あったミツバチの巣箱が1箱に、沖縄の養蜂家の方は、父の代には80箱あった巣箱が今は20箱にまで減少したといいます。

もっと大きい規模ですと、先ほどのオーストラリア科学院がサポートした動画によれば、世界中の養蜂家の飼育する蜂が30%〜90%減少したほか(地域によってということでしょうか?)、米国では、1988年に500万箱あった巣箱が、2015年には250万箱に減少したと述べています。

一方、日本の行政、農林水産省はどう考えているのかと思い、調べてみました。

農林水産省による平成28年7月の「蜜蜂被害事例調査」によると、少なくとも2年前まで、わが国ではCCDの事例は報告されて「いない」とあります。

また、飼育されるミツバチの群数をみても、近年も横ばい傾向にあり、映画に登場する養蜂家の方の認識とずいぶん隔たりがあるように感じました。


http://www.maff.go.jp/j/press/syouan/nouyaku/pdf/160707-02.pdf

もっとも農作物の受粉に適しているセイヨウミツバチは、海外からかなりの量を輸入しているようで、東京税関の資料を見ると2012〜2017年までの5年間でハチの輸入量は約4割増加しています。http://www.customs.go.jp/tokyo/content/toku3002.pdf

 

ミツバチの減少を輸入で補っているということなのでしょうか。

いったいこのギャップは、どこから来るのでしょうか?

映画に登場する養蜂家さんをみていると、本当に環境や地球のために一生懸命に話をされています(そう見えます)。

そもそも、わざわざお金や労力、時間をかけて映画を作ってまで、嘘を広めようとするメリットが見当たりません。

先のオーストラリア科学院監修の動画に出てきましたが、ミツバチに害を及ぼすと推測される農薬、殺虫剤の市場は数千億円の規模に達するようで、日本の有名な大手化学会社もこれらを製造しています。

こう言ってはなんですが、今のこの国は、政治家や役所の言っていることが、本当に国民のためなのか、一部の企業や権力者に近い人のためなのか、信用できない国になってしまったと感じます。

本当は国全体の状況をきちんと調査するのに、予算も人材もノウハウも持っている行政への期待は大きいのですが。。

それでも、自分たちの問題ですから、できる限りの情報を集めて、自分の頭で考えて判断するしかないように思います。

(2) 原因

このようなミツバチの大量死の原因がなんなのか、これだけ大きな問題でありながら、実ははっきりとはわかっていません。

以下に見るように、様々な原因が推測されていますが、単一の原因ではなく、様々な要素が複合的に影響していると考えられているようです。

蜜蜂の減少の主な要因としては、米国農務省(USDA)によれば、「寄生虫や害虫」、「病原体」、「貧栄養」、「農薬への暴露」の4つが挙げられており、これらが複合的に影響する傾向があるとされています。

また、欧州食 品安全機関(EFSA)においても、蜜蜂の被害の要因として、「農業の集約化 と農薬の使用」、「貧栄養」、「病原体や害虫」、「環境の変化」等が挙げられており、単一の要因は特定されておらず、いくつかの要因が複合的に影響しているとされています。

農林水産省「蜜蜂被害事例調査」

(3) 対策

原因がはっきりしない以上、対策にも決定打はないのですが、問題の深刻度からいって、それと推測されるものにとにかく手を打つという対処しかないようです。

具体的には、海外では殺虫剤の使用制限やミツバチの生息環境を守ることなどが行われています。

映画に登場する養蜂家の船橋康貴さんが提唱する、わたしたちにできる4つのことは以下のとおりです。

4つのできること

  1. 自然に感謝する
  2. 薬品の使用を減らす 家庭用の除草剤も対象
  3. 花や緑を植える
  4. 買い物に注意 人や環境にやさしい商品(原材料に化学物質の少ないもの)を選ぶ

まずは起きていることを知り、自分にできることをしていくということが大切だと思います。

初めの一歩を踏み出さないと何もはじまりませんから。

 

4. まとめ

映画「みつばちと地球とわたし〜ひとつぶの命に秘められた大きな環のおはなし〜」を知ったことにより、地球環境破壊の深刻さについて改めて考える機会となりました。

しかしながら、人類の活動による地球生命圏へのダメージはこれにとどまらないと考えています。

昨年の夏、日本を襲った異常な高温、進路や勢力の点で例をみない台風、集中豪雨などの気象変動、大阪で発生した地震や予想される南海トラフや関東での大地震。

これらはある一つの原因のもと、さまざまな現れ方として起きているのではないかと個人的に考えています。

引き続き、これらの事象を引き起こしている原因とその対処方法について考えてみたいと思います。

以上

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この記事を書いた人

京都市出身。
京都大学法学部卒業。
大学卒業後、現在のメガバンクに入社、26年間勤務。

ビジネスの現場で産業調査や大企業の事業再生、富裕層取引等を担当、多くの企業経営者、富裕層顧客と接する中で、世の中の流れ、リーダーシップ、お金の本質等について考察を深める。

少年期より「人はなんのために生きるのか」「人はどこから来てどこへ行くのか」を自らに問いかけてきた。バブル世代でいったんは世の中の価値観に染まるが、会社オンリーの人生に生きる意味を見失って挫折を味わう。

魂が震える生き方を追求する中でエネルギーヒーリングに出会い、自身や周りの体験から、自己成長の最高のツールという確信に至り、独立起業を果たし、誰もが物心共に幸せになれる方法として「悟りを目指す生き方」を伝えている。

豊富な社会経験、懐の深さから、経営者、投資家、コンサルタント、カウンセラー、コーチ、医師、作家、セミナー講師、会社員、主婦など、多くのクライアントから支持されている。

著書「先行きの不安から自由になる『お金と心の法則』」(フォレスト出版)

HP:https://fillz.biz

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