思春期の子供は精神的にも肉体的にも大きく変化します。
そのため、家庭での接し方に悩むこともしばしば。
思春期は子供が大人になる準備の期間としてとても重要です。
その大切な時を子供が安心して過ごせる家庭作りのエッセンスをお伝えします。
1.子供が安心して思春期を過ごせる家庭を作るために
①成績は自己責任だと自覚させる
中学生・高校生を持つ親にとって一番気になるのが学校の成績です。
この時期は「受験」という一大イベントを控えている子供がほとんどですから成績を心配して当然のことだと思います。
子供がテレビばかり見ていたり、ゲームばかりしていたりするのを見るとついつい「勉強はしているの?」と聞きたくなってしまいますよね。
しかし、子供は親から勉強のことをアレコレ言われるのをとても嫌がります。
子供自身も受験のプレッシャーやストレスがある上に親からガミガミ言われたのではたまったものではありませんね。
小学生までは親が子供の勉強を手伝ってあげるのは親子間のコミュニケーションにもなって良いのですが、中学生以上になったら勉強は子供自身に責任を取らせるのが良いと思います。
我が家の長男も勉強は好きな方ではありませんが、器用なタイプのようで小学生までは勉強をしなくてもそれなりに良い成績を取っていました。
しかし、中学生になった途端に成績がガタガタ落ち始めました。
それはそうですよね。全然勉強していなかったのですから(笑)
長男はゲームが大好きでずっとゲームをし続けてしまうので、最初は「時間制限をしなさい」とか「勉強の合間にゲームしなさい」とか小言を言ってしまっていました。
しかし、ある時に「自分で決めなさい」と突き放したら、急に自由になったことが返って不安になったのか、ゲームをする時間を自分で調節するようになりました。
それで急に成績が上がったわけではありませんが、その時に勉強もゲームも自己責任という意識が芽生え始めたようでした。
当時の彼の成績目標は「良くもなく悪くもなく、普通の成績を取る」だったのですが、自分でゲームの時間を調整するようになってから5段階評価で全ての教科で3を取っていました。
ちなみに何故、彼が普通の成績を取りたかったかというと、成績が悪いと先生や親からガミガミ言われるし、成績が良いと更に期待されてしまうからだそうです(笑)
ここで重要なのは、子供が決めた成績目標に周りの大人が口を出さないことです。
どんな成績であっても子供にとっては自分自身で目標達成できた成功体験になりますから、しっかり褒めてあげると良いと思います。
長女に関しては更にツワモノでした。
彼女が高校1年生の時に「全く勉強しなかったら成績がどうなるか実験する」と宣言してきました。
そして本当に一切勉強をしませんでした。
当時の彼女は勉強をする意味が見出せず、嫌々勉強をしていました。
そこで中途半端にするのを止めてみようと思ったようです。
当然、成績は学年でほぼビリになりました。
先生達からも心配されましたが本人は「勉強しないと決めています」とハッキリ言っていました。
担任の先生から母親の私のところにも電話がありましたが「本人が勉強しないと言っているので私も容認するしかありません」と答えました。
しかし、次の学期で長女の成績はトップ近くまで上がりました。
ガムシャラに勉強した様には見えなかったので、どうして成績が上がったのか聞くと「簡単だよ。授業を聴いて、習ったことをそのまま復習しただけ」と言うのです。
つまり、余計なことはしないで、やるべきことをやったら成績が上がったというシンプルな答えでした。
長男にしても、長女にしても、本人達がやりたいようにやった結果、望んだ成績が得られました。
誰かに強制されたわけではなく自己責任で勉強する楽しさも知ったようです。
②友人関係を否定しない
子供が10代半ばになると親の目の届かないところで色々な友達と付き合うようになります。
特にボーイフレンドやガールフレンドができると心配する親御さんも多いかもしれません。
長女も高校に入ってすぐに同じクラスの男の子とデートするようになりました。
その男の子が少し問題のある子で先生達からは嫌われていたようです。
当時、長女も学校生活に馴染めずに悩んでいました。
そんな時にお互いの気持ちを分かりあえる関係として彼と付き合うようになったようです。
幸い、長女は私には彼の話をよくしてくれていました。
そのため、彼が両親から愛されずに育ち、インナーチャイルドが大きいことも知っていました。
父親から日常的に殴られて左耳が聴こえなくなったことや、父親から自分の身を守るためにボクシングを習っていることも聞きました。
ある日、長女が体調が悪いので学校を休みたいと言いました。
私は直感的に学校を休んで彼の家に行くのが分かりましたが、「学校を休むのは構わないけど、自分の行動に責任を持ちなさいよ」とだけ言って仕事に出かけました。
その日の夕方、担任の先生から電話がかかってきました。
彼の父親が息子を監視するために自宅に仕掛けたビデオカメラに長女が映っていたため学校に通報されたのです。
「お母さん、娘さんが誰と付き合っているか知っていますか?うちのクラスで問題のある生徒です。このままでは娘さんがダメになってしまいます。今すぐ別れさせてください」
長女から彼の話を聞いていたので全部知っていましたが、先生からそう言われても私から長女に彼と別れなさいとは言いませんでした。
その後、担任の先生、長女、夫そして私で4者面談になりました。
最初、先生は彼と長女のことを非難していましたが、私達両親は全面的に2人の擁護に徹しました。
先生もそんな私達の様子を見て態度を緩め、2人を理解しようとしてくれるようになりました。
その後、長女は自分から彼と別れました。
当時の長女には彼が必要な理由があったのだと思います。
それが満たされた時に自分からきちんとお別れすることができました。
それから、長女はクラス行事にも積極的に参加するようになり学校生活に馴染んでいきました。
思春期の子供は親から見たら間違っていることや、失敗と思えることをします。
可愛い我が子が辛い目に遭わないように思わず助けたくなりますが、見守るのも親の大きな役割の一つだと思います。
友人関係は子供が失敗から学ぶ経験を積み重ねられる貴重な関係です。
どんな友達と付き合うようになっても、まずは否定せずに見守る姿勢を持ちたいものです。
③性の話にオープンになる
私が思春期の頃は、性に関する知識は友達から得るもので、親と性の話をするなんて考えられませんでした。
しかし、うちの子供達とは普通に性の話をします。
子供達の方から自然に話すようになったのですが、きっかけはたぶん、長男が中学生の時に私の知り合いの家庭教師の先生に勉強の相談に乗ってもらった時だと思います。
私も交えながら3人で勉強や進路の話をしていたのですが、先生が長男に「他に聞きたいことはある?」と聞くと、長男が「お母さんに言いたいことがある」と言い出しました。
何かと思ったら、「お母さんに黙ってパソコンでエロビデオを観てます。ごめんなさい!」と言い出したのです!
私はそれを聞いて大爆笑してしまいました。
長男は私のパソコンでエロビデオを観ていたことが後ろめたかったようですが、私からしたら中学生ならエッチなことに興味があるのが当然だと思っていたので息子の告白がただ可笑しくて笑ってしまいました(笑)
どうもその時から親に性の話をしても大丈夫と安心したようです。
同席していた家庭教師の先生からも「すごい信頼関係ですね」と言われました(笑)
「性にオープンな国は平和」と言われるようです。
家庭でも同じことが言えるようで、性をお茶の間の禁止事項にするのではなく、人間の営みとして自然で大切なもとしてオープンに話せる家庭は平和なようです。
先日もパソコンに長男のエロビデオの視聴履歴が残っていて、長女から「視聴履歴を消さないなんて詰めが甘い」とからかわれていました(笑)
長男は照れ笑いをしていましたが、視聴がバレたことよりもパソコンの視聴履歴の消し方を知らなかったことの方が恥ずかしかったようです(笑)
2.嵐の思春期から太平洋の大人の世界へ
思春期は嵐のようです。
精神的にも肉体的にも大きく変化する時期なので全く予測がつきません。
しかし、その嵐の中で親が冷静さを失わず子供を信頼して見守り続けることで、子供も安心して嵐を乗り越えることができます。
そして、その先には無限の可能性に満ちた広大な太平洋のような大人の世界が広がっています。
現在、我が家の2人の子供達はエジプトで高校生活を送っていて、その先のそれぞれの進路を自分達で決めて進み始めています。
もうすぐ嵐の思春期を抜けて太平洋に船出する彼らを少し離れたところから見守りたいと思います。