グルテンフリー生活を始めてから1年半が経過しました。
以前の記事ではグルテンフリーを始めてから1年経過後のレポートのような形で書きました。
私の周りでも、グルテンフリーを始めている方、グルテンフリーに興味を持つ方が増えてきました。そこで改めてグルテンフリーについてより専門的に学ぶことができないかと思い、クリニックの医師にインタビュー形式で話を聞いてきましたので、その様子を今回は書いていきたいと思います。
協力していただいたのは医師のレイチェル(高木麗先生)です。
今回は新たな試みとしてインタビューの様子を同時にわたしのYouTubeチャンネル(自分らしく生きるかんちゃんねる)でも配信しています。下記の文章の内容は動画よりもより詳しい内容内容となっていますので、動画と文章の両方でお楽しみいただければ嬉しいです。
YouTube動画では前編と後編の2回に分けて配信しています。
グルテンフリーを日常生活に取り入れるメリットは?
そもそも「グルテン」というのは何なのか?というと、主に小麦に含まれる「タンパク質」の一種「グルテニンとグリアジン」というものが水と合わさった時に粘着性のある物質に変化したものです。
粘着性のある「グルテン」が消化管で吸収される時に身体に不都合が起こってくることが最近になって分かってきました。
最近ではテニスのジョゴビッチ選手やハリウッド女優の方たちがグルテンフリー取り入れていることで「体調が良くなった、パフォーマンスが上がった」と書籍やネットニュース、SNSを通じて話題になりました。
グルテンフリーをきっかけに日常的に生じていた不調が改善していたということで話題になっているようです。
グルテンはその粘着性から消化管を通り腸で吸収される際にとても負担がかかっています。そのためグルテンが原因で腸での消化がうまくできないという方にグルテン不耐症、過敏症と診断されている方がいらっしゃいます。グルテンが消化管を傷つけてしまっていて必要な栄養素がうまく取り込めなくなってしまっているという病気もあります。
グルテンが与える影響
小麦を使った食品を摂取する時、グルテンは腸で細かく分解され、血液中に入っていきます。この物質が血液中から脳へ向かう「血液脳関門」に入り中毒性のような作用をすることがあります。そのため、「すぐに食べたくなってしまう。すぐに摂りたくなってしまう」というような依存性があると言われています。
禁断症状のようなものがでてくるのです。
グルテンフリーを始めるにあたって目安は?
まずは「1ヶ月」グルテンフリーを続けてみることで変化を感じられやすいと思います。
そのくらいの期間続けることによってやっと「禁断症状」のようなものも薄れてくるのではないでしょうか。
グルテンフリーを実行するにあたり気を付けた方がいいこと
グルテンが含まれるものの代表格は小麦です。
小麦の主な成分は炭水化物、つまり糖質になります。普段、お米を食べないという方は小麦を食べないことによって他の炭水化物を採らなければ、やはり栄養不足になる可能性はあります。
小麦に含まれる糖質、脂質、ビタミンB群等は他の食事から賄えるので、グルテンフリーをする場合は代用のものを摂取するのが良いでしょう。日本ではお米が良いのかなと思います。
精神的なものに与える影響は?
グルテンには依存性がありますので、グルテンフリーに慣れるまでには小麦を使った食品を食べないことで「いらいら」することがあるかもしれません。
また、グルテンフリーを継続することが難しいとなったとき、グルテンを摂取することを止めていた分、その反動がでやすい可能性があります。
要は止めていた反動分だけ「食べたくなってしまう」というようなことが起きやすいかもしれません。
まずはご自身で計画をしてみて、体を慣らしていくのが良いのかなと思います。
グルテンは脳に与える影響もあるので、慢性的な頭痛など原因がよくわからない不調がグルテンの影響の可能性もあるのではないかと最近では言われ始めています。
特に原因不明の不調を起こしている方「何となくお腹が痛い、いらいらする、体調がすぐれない」という方がグルテンフリーを実践することで体調が良くなったということも聞いています。
グルテンの不耐症、過敏症というものがありますが、実はグルテンに関するアレルギーの検査は難しいとわれています。
グルテンに関するアレルギーの検査
一般的なアレルギーの検査は血液検査で分かりますし、即時的な症状に現れて分かるということもあります。
しかしグルテンの場合はそういったことがないので、「何となく不調が現れる」という方が多く、グルテンによる症状なのか「分かりづらい」のです。
セリアック病など人によっては「腸が敏感」でダメージを受けているという方もいますので、グルテンから与えられる影響というのは人によって異なるということはありますが、実は多くの方がグルテンで何らかの影響を受けているのではないかとは言われ始めています。
まだ、グルテンに関しては分かっていないところがあるのも実情です。
小麦粉を使ったものを食べたくなってしまう時の対処法
「小麦」を食べたいと思った時、まずは「代用品」で対処してみましょう。
米粉を使ったもので調理してみるのも一つの方法です。
また、小麦粉を使ったものを食べないことによって「いらいらする」ということが起こったとき、見て欲しいのは小麦粉を食べないことで「いらいら」しているのか?それとも別のことでイライラしているのを食事でごまかそうとしているのかということです。
自分の中からでてきている「感情」というものに気づき、対応する方法は当クリニックでもあります(感情カウンセリング)ので、そういったものを活用するのもいいかもしれません。
ここまでは、グルテンフリーの「グルテン」に焦点を当ててお話を聞いてきました。
ここからはグルテンを作り出す「小麦」そのものについて聞いていきます。
現代の日本の小麦はどういうモノなのか?
いま、日本に出回っている小麦は海外からのものが90%以上と言われています。
日本に小麦が登場したのは随分と前からで、弥生時代の遺跡からも小麦が発見されています。
日本はお米が主流というイメージがあるかもしれませんが、実は弥生時代には既に日本には伝わっていたのです。
流通という点では戦後からになりますが、弥生時代から小麦が生産され、使われていたようです。中国や朝鮮半島から伝わってきた小麦は鎌倉時代、室町時代の書物や文献では小麦を使った食べ物のようなものが、一部の身分の高い人たちは食していたようです。食べ方は「点心」や「おかゆ」のような食べ方をしていたようです。
今の時代の小麦の取り方とは違ったものと思われます。
日本で流通している小麦
日本で流通している小麦の90%以上は海外から輸入されている小麦です。
海外から輸入されている現在の日本の小麦は、昔ながらの小麦とは大きく異なるものになってしまっています。
その原因は品種改良、遺伝子組み換え、農薬の影響という3点があります。
先ほどはグルテンが与える悪影響を中心に話をしてきましたが、いま出回っている小麦のグルテンと昔からある小麦のグルテンを比べるとグルテンの含有率が大きく異なっています。
そのため現代の小麦はグルテンによるダメージがより大きくなっているという可能性もあります。
食糧難の時代、より多くの人に安定して食を供給できるようにするために小麦に改良が加えられるようになりました。
具体的には麦の穂は伸びてくると重くなって倒れてくるため育ちにくく生産性が落ちるものがあります。そのため、麦自体が倒れにくくなるようにより茎が強い品種と掛け合わせることによって生産性をあげるといった工夫がされました。
結果的には良い特性のものだけが育っていくという人工的な作られ方をしていきました。
小麦に限らず、野菜・果物でも同じです。果物なら甘くて、大きさが均一。というように生産者にとって良い要素だけを取り入れるようになってきています。
本来、自然界というのは様々なものが存在するのが普通なのですが、良いモノだけを掛け合わせて残していく、生産するという発想がでてきたのです。
その後、遺伝子組み換えという考え方が出てきます。これは本来自然界では起こり得ないことを起こすということです。
例えば、害虫に強くするために本来の小麦にはない、まったく違った遺伝子を組み込ませるということができるようになっています。
遺伝子組み換えによって起こる弊害は、本来その植物では起こり得ないことを無理矢理に起こさせるので、その植物が本来作らないようなたんぱく質を作ることにあります。あるたんぱく質の欲しい機能を働かせるためにプロモーターをいうものも遺伝子に組み込ませるのですが、このプロモーターが目的以外の遺伝子も起動させてしまい身体に有害な物質を作り出している可能性があります。
それが、私たちが摂取したときに身体のどこかに悪影響を及ぼしているかもしれません。
しかし、その辺りのことは実のところ分かっていないことも多いです。ただ、動物実験をすることによって「病気が増えている」という報告もあります。
遺伝子組み換えは主に米国で発展し、世界に流通していきました。近年では「がん」特に白血病が増えていっている原因ともいわれていますが、遺伝子組み換えによる影響は長い期間の調査が必要なため現時点では分からないことも多々あるような状況です。
ただ、長い期間をかけて判明した調査結果が分かった頃には人間の身体の側が蝕まれているという可能性もあります。
特に日本は戦後米国からパンと牛乳が入ってきて、学校給食で供給されました。食糧難を防ぐことに役立ちましたが、今は戦後のような食糧難は解消されているにも関わらず、その流れが今もそのまま引き継がれているということが問題になっています。
農薬の影響
遺伝子組み換えによって農薬に強い小麦が出現し、生産性をあげるために農薬の散布量が増えている問題もありますが、これ以外に日本への輸送の段階でもポストハーベストと言われる農薬が問題となっています。輸送時にコンテナ内で腐ったり、害虫がつかないように散布されるのです。その農薬はかなり危険性の高いものが使われているという現状があります。
催奇形性や生殖機能を落とす作用があると報告されているものが使われています。
現代の小麦自体がどんなものなのか?
今の身体の不調は本当にグルテンが悪さをしているのか?それとも遺伝子組み換えが悪さをしているのか?農薬が悪さをしているのか?
実は今の段階では分かっていない状況です。
小麦が入っている食品というのは非常に多くあります。
外食をすればほとんど入っていますし、スーパーで売られている食品の成分表示を見ると多くのものに小麦粉が使われています。
食品にトロミを出したり、コクを出したりするのにも小麦が使われていて「小麦が使われているのかいっけん分からない」ということもよくあります。
知った上でどう選択するのか?
今の小麦がどういったものか、グルテンの作用を知り、知った上で「どうするのか?」ということが私たちにとって重要な選択になります。
現状を知った上で一つの方法として「小麦を止めてみて」どうなのか?を試してみる価値は十分にあるのではないかと思います。
小麦を止める「グルテンフリー」を実践してみることで、身体が元気になるということであれば、身体にとっては価値のあることではないでしょうか。
より優れた品質のものを作るために
例えば、雑草よりも農薬に強い植物といったようなものがどんどんと出来てきています。
植物自体が農薬に強くなったために「農薬をたくさんかけても大丈夫」ということになり、農薬の使用量も増えていきます。
散布するときもヘリコプターを使ったり、農薬を製造する際には化石燃料(石油)を使ったりと地球環境に負担をかけています。
また、遺伝子組み換えによって本来の植物では無い植物が育っているので地球環境が大きく変化しています。
グルテンフリーが地球環境に影響?
グルテンフリーはいっけん地球環境問題とは関係の無いようなことですが、大きな視点でみると地球にもいい影響があるのかもしれません。
生成過程で地球環境に負荷を与えている小麦のような食品の摂取を避けることで「需要」が無くなれば生産する必要性も無くなるので、地球環境にとってもいい影響があるかもしれません。
また、病気自体も少なくなっていく可能性もあります。
ライフスタイルの変化
現代社会では常に忙しい、食べる時間が無いという方が多いのではないでしょうか。
そのため簡単に食べることができて、手軽なものが求められてきています。その背景には「よりたくさん作られて、安定して供給できる」ということがあります。そういった要望に小麦は対応しやすいのかもしれません。
加工されたお弁当やお菓子といったものを食べ続けることで血糖値、脂質が高くなるということも起きています。
今一度、ご自身のライフスタイルを見つめなおしていただいて、自分がどんな暮らしをしていきたいのか?
そういったことに目を向けながら、食事や生き方の改善ができていくと良いのではないかと思います。
グルテンフリーをまずはやってみる
最近では流行の一つとしてグルテンフリーを実践する方、ファッションとして取り入れるというような方もいらっしゃいますが、どのようなきっかけであっても、実践してみるというのは良いことだと思います。
もしお試しであっても身体の調子が良くなったということを実感できるかもしれません。
自然なものが少なくなっている
小麦に限らず、世の中の食物は自然なものが圧倒的に少なくなっています。
できる限り、自然なものを取り入れるように意識をすると同時に、ご自身がどのような生き方をしたいのか?ということに焦点を当てて生活することで、身体も心もいい状態にするということにつながるのではないでしょうか。
【インタビュー協力】ヘテロクリニック