今回は映画「チャーリーとチョコレート工場」を観れば『インナーチャイルド』がよく分かる。ということについて書きます。
映画「チャーリーとチョコレート工場」は2005年に公開されたジョニー・デップ主演、ティム・バートン監督の映画です。
わたしは12年ぶりにこの映画をAmazonで観ました。
久々に映画を観ていると公開された当時の記憶とは大きく異なる印象。そして、ある意味での衝撃を受けましたので書こうと思います。
当時は様々なメディアでも注目され「話題の映画」ということで映画を観に行った記憶があります。
いま思い出されるのは、
惹きつけられるけれど「なんだかよく分からない映画だな~」という印象だけで特に何か得るものがあったということも無く、よく分からない気味の悪い世界観だけが残っていました。
わたしの主観ですが、公開から12年が経過して改めて鑑賞した「チャーリーとチョコレート工場」の印象について書きます。
いまのわたしが改めて映画を観て感じたのは
「インナーチャイルドとエゴ」そして許容と癒しが主体に描かれ、それらが複雑に絡み合いながらも非常にシンプルに表現されているということです。
映画、ドラマ、演劇、小説、アニメ等々、いずれもその中に展開される物語に感じることは観る人、受け取る人によって異なります。
あなたは「チャーリーとチョコレート工場」の中に何を見つけるでしょうか?
インナーチャイルドとは?
八神詠子さんの記事にインナーチャイルドについての分かりやすい説明が書かれています。
「理想の母親像に押しつぶされそうな方へ~理想の母親とインナーチャイルドの関係~」
インナーチャイルドとは幼少期から成人するまでの間についた、心の傷、満たされなかった想いのことを指します。
(上記の記事より抜粋)
わたしはインナーチャイルドの専門ではないので詳しい説明を書くことはできませんが、子どもの頃についた心の傷や満たされない想いは「トラウマ」となり、多くの人は大人になっても持っているということです。
心の傷として潜在意識の奥深くに隠れている人もいれば、様々な影響となって顕在化している人もいるかもしれません。
チョコレート工場を運営するウィリーウォンカのインナーチャイルドについたトラウマは、本人も気がつかない内に顕在化され、世界に一つの奇妙なチョコレート工場を作り上げる。そんな映画のストーリーをご紹介します。
ある日、ウィリーウォンカは工場から世界中に出荷されるチョコレートに金色のチケットを5枚だけ入れました。「ゴールデンチケットを当てた子供は、家族の一人を同伴して工場を見学する権利が与えられ、さらにそのうちの一人には想像を絶する素晴らしい副賞がつく」という告知を出します。
このウィリーウォンカからの告知を聞いた世界中の人々はチケットの争奪を巡り熱狂し、大騒ぎとなります。
工場への招待券となるゴールデンチケットを運良く引き当てた5人の子供は、
- 食いしん坊の肥満少年オーガスタス
- お金持ちのわがまま少女ベルーカ
- ガムをいつも噛んで勝利にこだわる少女バイオレット
- ゲーム好きで反抗的、理論的な考え方をする少年マイク
- 貧しい家で祖父母と両親と暮らす家族思いの少年チャーリー
この5人の子供たちと付き添いの親・祖父が、今まで誰も踏み入れたことが無い完全非公開のチャーリーのチョコレート工場の中へと招かれていく物語です。
インナーチャイルドが創り出すチョコレート工場
映画の中では大きく3つの存在が明確に区分けされて描かれているように感じました。
①トラウマ(暗めの照明でグレーが基調)
②エゴ(人工的な色彩で線が明確)
③インナーチャイルド(原色系の鮮明な色彩)
これらの視点を区分けして映画を観ていくと、映画の輪郭がハッキリとしてきて物語が断然面白くなってきます。
チョコレート工場の運営者であるウィリーウォンカは映画のメインで強烈なキャラクターであるにも関わらず暗い存在として描かれ「アダルトチルドレン」の印象を強く受けます。
アダルトチルドレンとは、幼少期の体験が成人になっても心理的外傷(トラウマ)となって残っている人のことです。
破滅的、完璧主義、対人関係が不得意というアダルトチルドレンに見られる主な特徴をウィリーウォンカのキャラクター設定には顕著に描き出されています。
さらにウィリーウォンカのインナーチャイルドのトラウマから創出されたのがチョコレート工場です。
ウィリーウォンカのインナーチャイルドが創り出したチョコレート工場の中は原色系の明るい色彩で描かれています。
暗い照明のウィリーウォンカと極端に明るい色彩のチョコレート工場の対比が印象的です。
そして物語はインナーチャイルドのトラウマの影響を受けた強い想いが現実となり、ウィリーウォンカが奇抜な工場を創り上げていく過程がフラッシュバックしながら描かれます。
エゴが工場から排出される
ゴールデンチケットを引き当てた子供たちは、それぞれに強烈なエゴを持った存在として描かれています。映画のキャラクター設定ですので分かりやすく極端には描かれていますが、一般的にも存在しているようなスタンダードなエゴでもあります。
例えば、「ゲーム好きで反抗的、理論的な考え方をする少年マイク」
マイクは暴力的なゲームが好きで、理論的な考え方の持ち主です。自分の考えが正しく、人の意見や話を聞くこと、受け入れることを好みません。自分の好きなように生きているつもりですが、自分自身が作り出した世界観に縛られてしまい、自分自身で世界観を小さくしています。自分の世界の中で人生を充実させています。
エゴが強い子供たちに共通しているのは、
- 人の話を聞かない、受け入れない。
- 自分がやりたいと思ったことを実行する。
- 自分以外の考え方や発想を受け入れられない。
- 観念が強い。
- 親に甘えている。
といったところでしょうか。
映画の世界では「変な子供たちだな~」と思いますが、実際には自分自身の中にも共通する(エゴ的な)要素をたくさん見つけることができます。
この子供たちの強いエゴにウィリーウォンカは敏感に反応します。そしてその反応はそのまま計画的な復讐としてフィードバックされ、エゴが強く出た子供たちはエゴが強調されたような形で工場から排出されることになってしまうのです。
インナーチャイルドと現実
インナーチャイルドが受けたトラウマが現実に大きな影響を与えることでウィリーウォンカとチョコレート工場というファンタジーの世界が構築されています。インナーチャイルドが現実の世界に分かりやすく影響を与えていることが視覚的にとらえられる映画です。
「映画の中の世界であって、実際にはそんなことないでしょう。」と思われるかもしれませんが、チョコレート工場のように分かりやすい形で現実化していなくても、多くの人は本人では気づくことができない顕在意識の世界で同じようなことが起こっている可能性があります。
人によっては、インナーチャイルドのトラウマが強いエネルギー源となって経済的、社会的に成功する。という人もいます。
しかし、映画でも描かれているようにインナーチャイルドのトラウマから作り出される成功は「幸せな成功」とは程遠い可能性も高くなります。
映画のエンディングでは今まで受け入れることができなかったトラウマを受け入れることでインナーチャイルドが癒され、今までとは違った新しい「幸せの形」をウィリーウォンカは手に入れます。
「インナーチャイルド」という言葉は聞いているが、詳しくはよく分からない。
そんな方はこの映画を観ることで「インナーチャイルド」に対する理解が進むかもしれません。また、映画を通してご自身のインナーチャイルドが反応する部分が分かるかもしれません。