「どうしてこの子はこんな風なんだろう?」
子育てしながら、そう悩んだことはありませんか。
子どもの性質や性格を方向付ける要素はいくつかあります。
前回は子どもの人生の初めを関わる非常に大切な要素「バーストラウマ」についてお伝えしましたが、今回はバーストラウマをベースとして乳幼児期~成人にかけて大きくなっていくトラウマ「インナーチャイルド」についてお話ししたいと思います。
前回の記事「子どものこころを理解しよう~バーストラウマ~ 」は以下になります。
[blogcard url=”https://www.ichigojyutsu.com/parent-child-relationship/birthtrauma/”]
インナーチャイルドって何?
インナーチャイルドとは、インナー(内側の)・チャイルド(子ども)という意味で、内なる子ども、などと訳されます。
インナーチャイルドという言葉は心理学(交流分析)から生まれたようです。
インナーチャイルドの定義は一つではありません。
自分の中の子どもの部分、子どもの頃の記憶、遠い昔の幼心、というようなものから、傷ついた子ども心、というようなものもあります。
この記事では、インナーチャイルドは、乳幼児期から成人するまでの間についた心の傷、と定義してお話ししたいと思います。
インナーチャイルドはバーストラウマがベースになる
「バーストラウマ」のコラムではバーストラウマは胎児期から新生児期までについた心の傷と定義しましたが、インナーチャイルドは新生児期後、成人するまでの間についた心の傷となります。
バーストラウマは胎児期から出生後までの一連の流れの中でついた心の傷、というイメージですが、インナーチャイルドは一つ一つの体験に対しての心の傷、というイメージです。
どちらも同じく心の傷ではありますが、バーストラウマはインナーチャイルドのベースになります。
胎児期、出生時、出生後に死の恐怖や疎外感を経験しバーストラウマになると、「自分は生まれてきてはいけなかったのではないか」「生きていてはいけないのではないか?」などという自分自身を否定する情報を心の奥底に持つようになります。
自分を否定する情報が心の奥底にあるので、ものごとの見方も否定的なものになりがちです。
否定的にとらえがちになると、些細なことでも心の傷が増えていき、インナーチャイルド(乳幼児期から成人するまでの間の心の傷)になっていきます。
つまり、バーストラウマが大きければ、インナーチャイルドも大きくなりやすい傾向にあります。
何がインナーチャイルドになるの?
乳児期から成人するまでの間の、満たされなかった想いや傷ついた想いが心の傷となって、インナーチャイルドとなっていきます。
インナーチャイルドを形成する主な体験は以下になります。
1.家庭内暴力を受けたこと。
2.いじめを受けたこと。
3.求める形で親からの愛情を得られなかったこと。
4.兄弟姉妹の存在により、親の愛情が減ったと感じたこと。
5.親などの状況により、家庭が安心していられる場所ではなかったこと。
6.自分のペースより、早く成長を求められたこと。
7.納得のいかない形での親との別離。
8.恒常的に否定されたこと。
9.「ダメ」という言葉を頻繁に使われたこと。
10.学力=存在価値と刷り込まれたこと。
11.存在価値を否定されるような教育を受けたこと。
いじめを受けたなど同じような出来事からでも人によって形成されるインナーチャイルドの大きさが違ったり、「苺が食べたかったのにバナナが出てきた」というような大人から見るとほんの些細なことでもインナーチャイルドになったりします。
というのも、インナーチャイルドの形成には、その時その体験を子ども自身がどう感じたのか、という子どもの主観が大きく関わっているからです。
一つの経験に対し、すごく傷ついたり、満たされなかった想いが強かった場合、大きなインナーチャイルドが形成されやすいです。
そして成長するまでに無数の大小のインナーチャイルドが絡まって積み重なって層のようになっていき、変化させるのが非常に難しくなります。
インナーチャイルドはどう子どもに影響するの?
インナーチャイルドは成長とともに心の奥底に積み重なっていき、成人する頃にはインナーチャイルドは大きくなることをやめ、固定化します。
そして一生にわたって影響を与え続けます。
感情との関係
インナーチャイルドは感情と深く関わっています。
インナーチャイルドが大きければ、それだけ感情は波立ちやすい傾向にあります。
また、泣いていると親に嫌な顔をされるなど、親が子どもが感情を出すことに否定的だった場合、普段は感情は抑圧されて静かに見えるものの、ふとした拍子に手が付けられなくなるほどの感情の爆発が起きることもあります。
イライラしたり、やたらと落ち込んだりなど、感情の切り替えがうまくいかず長引くのも、インナーチャイルドの影響が大きいです。
人間関係
インナーチャイルドが大きいと、自分に対しても人に対しても否定的な見方をすることが多く、素直に自分の想いを口にすることができにくくなります。
するとシンプルでストレートな人間関係が築きにくくなります。
すねる・落ち込む・文句を言う・わがままを言う・キレる・威圧的になる、など、大人にとって問題に思える行動が増え、人間関係を複雑にしていきます。
また、人に嫌われないように、見捨てられないようにと、必要以上に人目を伺い、自分自身を押し殺していくような性質にもつながりやすいです。
自分自身との関係
自分自身に否定的な見方をしがちになるため、自分に自信が持てなくなっていきます。
何がやりたいのかよくわからない、好きなことがわからない、など自分のことがよくわからなくなっていくこともよくあります。
どうせ自分には無理だ、無駄だ、などと人生に対しあきらめがちになることも起こりがちです。
その他
自己否定感が強く、心からの安心感・信頼感を感じにくくなるので、幸せな人生を歩むことが難しくなります。
幸せな人生の条件はそろっていたとしても、本人の気持ち的にはネガティブなところがよく見えてしまうのです。
インナーチャイルドは人間関係だけでなく、お金や健康の問題となって現れることもよくあります。
子どものインナーチャイルドを大きくしない子育てとは
子どもの人生の始めから深く関わるのが親なので、インナーチャイルドは親との間の体験を通して形成されることが多いです。
なので、子どものインナーチャイルドを大きくしないためには、親がインナーチャイルドのことを意識しながら子育てすることはとても大切です。
子どもの求める形で愛情を与える子育て
子どもがのびのび安心できる子育て
ありのままの子どもを認め、サポートする子育て
インナーチャイルドを大きくしない理想の子育てはいくらでも語れますが、それを実践するときにかなりの難しさを感じる方がほとんどかもしれません。
なぜなら親自身がインナーチャイルドの影響を受けているからです。
親自身の感情や人間関係、自分自身との関係、健康やお金の問題・・・
穏やかに平和に子どもと接することを妨げるのがインナーチャイルドなのです。
子どものインナーチャイルドを大きくしない子育てには、親が自分のインナーチャイルドと向き合い解消することが不可欠と言えるかもしれません。
親自身が自分のインナーチャイルドを癒すには
インナーチャイルドの癒し方は色々ありますが、初歩的な一歩としては、自分にはどんなインナーチャイルドがあるのか気づいていくことです。
子育ては自分のインナーチャイルドに気づかせてくれる絶好のチャンス。
なぜなら、子育ては自分の子ども時代を彷彿させやすいからです。
特に子育て中に感じた感情の揺れはインナーチャイルドを炙り出すいいきっかけになってくれます。
具体的な方法は以下の記事を参考にしてみてください。
[blogcard url=”https://www.yagamieiko.com/mind-emotion/emotion-innerchild/”]
インナーチャイルドは複雑に絡み合っている場合が多いので、自分だけでやろうとすると子育て期間は終わってしまうリスクがあります。
短期間に安全に癒していくには専門家のサポートを受けるのがよいでしょう。
まとめ
バーストラウマやインナーチャイルドが少なければ、子どもはもっと、自由で豊かで楽しい存在なのかもしれません。
この子の性質だから仕方がない、と思っている部分は、もしかしたらインナーチャイルドの影響を受けているだけかもしれません。
同じように、親自身、私は昔からこんな性格だから直しようがない、と考えている部分もインナーチャイルドが関わっているだけかもしれないのです。
子どものインナーチャイルドを通して自分のインナーチャイルドの理解を深める
自分のインナーチャイルドを通して子どものインナーチャイルドの理解を深める
子育てをそんな風に捉えることで、誰も我慢せず、親も子どもも、みんなが幸せに生きれる人生につながっていくのではないでしょうか。
子どものこころを理解することは、自分のこころを理解することにつながっています。
こころの理解を深め、スッキリ楽しく子育てをする方が増えていきますことを願ってます。