最近、国際的な情勢不安が話題になっています。
特に東アジア情勢が不安定になり始めたことで、日本と距離的に近いこともあって国際情勢に対する不安を身近な問題として感じるようになりました。
日本国内に目を向けても将来の年金や医療制度に対して大きな不安を覚えている方。
身近な問題として、自分の将来、老後はどうなるのか?と不安に思っておられる方は多いのではないでしょうか。
人は将来の不安を解消するために貯金をしたり、保険に入ったり、様々な自己防衛策を考え「安心できる将来を手に入れたい」と様々なことをしています。
将来の安心に正解は無い
将来の安心を手に入れるための自己防衛策として、様々な金融商品やサービスが出回っていますが、そのすべてにおいて正解はありません。別の表現をすれば「確実性」がないということです。
将来の安心は「確実」に実現できる可能性が高いことによって手に入れることができます。
「不確実」なものほど、安心を手に入れることからは遠のいてしまいます。
将来の安心を手に入れられる確実なものは存在しません。
それは、未来のことは誰にも分からないからです。
例えば、将来「何かあったら困る」ので銀行の普通預金でお金を貯める。という行為を考えてみましょう。
将来のために「現金」という形で貯金をする場合でも確実性はありません。(安心ではありません)
「日本円」という方法で現金を置いておいても、将来的に円の価値が減少すれば貯蓄をしていても保有している貨幣価値は下がっていく可能性があります。
現時点(2017年)ではまだ実施されていませんが、日銀のマイナス金利政策の影響でお金を預けているだけでコスト(費用)の方がかかってしまい、預けているお金が減っていく。そんな可能性もでてきました。
現金がダメなら他の手段として、外貨や株式、投資信託、不動産等で将来に向かって資産を保有する場合は得られるリターンがあるかもしれませんが、同時に「リスク」という不安が付いてきます。
将来のために安心を手に入れようと、何をやったとしても絶対的な正解がないのが今の時代の現状ではないでしょうか。
いま、ある不安を取り除く
そこで、大切にしたいのが「将来の不安」を取り除くために毎日を生きるのではなく、いまを生きているご自身に目を向け大切にするということです。
将来の不安を軽減するために貯金をしたり、投資をしたり、保険に入ったりしている人は「いまを生きている自分」の存在を無視したり、犠牲にしたりしていることが多くあります。
例えば、
老後資金をしっかりと確保しておくために、毎月10万円程度の積み立てを確定拠出型年金や外貨建て保険等を組み合わせて行っている。という方の場合。
積立を続けていけば、将来的には4,000万円程度の資産ができる予定なので、これだけあれば老後も少しは安心できそう。毎月の支出は苦しいけれど老後のためにやめるわけにはいかない。
毎月の給与から将来の不安を解消するための引落があり、残ったお金で生活をやり繰りしています。
金融機関の窓口で新商品が出たという話しを聞くと、将来への安心のためにとさらに追加したくなります。
日々の生活は厳しくても、なんとかやれないことはない。というのが実情です。
当然ながら、お金がすべてではありませんが日々の生活を犠牲にしてまで将来の不安に備えることは本当に「安心」をもたらしてくれるのでしょうか?
考え方は人それぞれです。
先ほどの事例の方のように、将来に向かってお金を貯め続けることで安心が得られる方もいらっしゃいます。
もう一方で、
「いまの人生を思いっきり楽しんで、かつ将来も不安なく暮らす」そんな両方の果実を取るような人生もあります。
どちらか一つ。ではなく「どちらも」
人は2つ以上のものを目の前に提示された時、「どちらか1つ」を選択しなければならないと考えてしまいがちです。「どちらも」取るという選択肢は無意識に除外してしまいます。
将来への不安を解消するためであれば。
「いまを楽しみながら、老後も安心して暮らす」という選択肢が考えられます。
日本人の特長の一つは「自己犠牲」が好きなことです。
「いまの自分が犠牲になることで、将来の自分はハッピー」であるはず。という思いから、今の自分の生活を犠牲にしてでも、将来の自分のために頑張ることができるのです。
今が苦しくて、将来「幸せ」は本当か?
では、「いま」自己犠牲の上に苦しい人生を送っている人は、将来(老後)は不安を感じることのない安心できる人生を送っているのでしょうか?
わたしはまだ「老後」といわれる年齢に達していませんので正解は分かりません。
しかしながら、「いま」を楽しめていない人が、老後の世代になった時に幸せを感じることができるとは思えません。
長年にわたって積上げられてきた習慣や観念はそう簡単には切り替わりません。
わたしの経験上ですが、現役時代に老後のためにとお金を貯め続けている人は定年後の「老後」と言われる年代になっても「不安」から解放されることはなく、さらに先の老後に向けてお金を貯めている方が多いです。受け取った年金で、また年金を作っているのです。
「不安」をベースに人生を生きてきた人は、ある程度の資産ができても、その資産を生かして人生を「楽しむ」ことに「不安」を感じてしまうのです。
先の見えない不安を楽しむ
誰もが未来を見ることはできません。人生は先が見えないものなのです。
先が見えないということは不安要素でもありますが、楽しみもあります。
見えないからこそ、その先にどんなことが待っているのかを楽しむことができるからです。
すべてが分かってしまったら楽しむことはできません。
正解が完全に分かっているパズルやクイズを解いてもまったく面白くないのと同様です。先が見えないからこそ、その過程も含めて楽しむことができるのです。
お金よりも大切なコト
お金は、現代社会を生きていく上では欠かすことのできない大切な要素の一つです。
しかし、「要素の一つ」であって「すべて」ではありません。
お金という「モノ」だけの存在では人は幸せを感じ、豊かさを感じることはできないのです。
お金よりも大切なのは、人や社会との関わり、そしてなによりも自分自身が幸せや豊かさを感じ取れる感性、感受性を持つことです。
疲弊し続ける人生をやめる
そんなことは分かっている。でも、なかなか「不安」から抜け出すことができない。と誰もが悩んでいます。
そこでまずは将来に対する漠然とした「不安」を手放すことから始めてみましょう。将来への不安はあなた自身を疲れさせるだけです。
そして意識を「いま」に持ってくることです。
ニュースでもネットでも、親でも家族でもなく、あなた自身が「いま」何を感じているのかを大切にしてください。
「いま」のあなたを大切にするだけで、あなたという存在が輝き始めることでしょう。
「どうしよう、どうしよう」と思い悩んでばかりいる人よりも、現時点に存在する自分を大切にして生きている人の方に人は魅力を感じます。
いまできることをやる
そこで提案したいのは、将来に対する不安を軽減するための施策を取るのではなく、未来がどうなっても対応できるような自分になっていく。という方法です。
老後への投資ではなく、いまのあなたへの自己投資です。
自己投資は自分にお金を使うということだけではありません。
今よりもっと「いま」を楽しむことを受け入れ、地に足のついた自分になることです。
今の自分がちゃんと繋がっていることができれば、そのずっと先でも人生を楽しむことができます。
誰も見ることのできない未来を心配し、不安になる必要はありません。
そのためには「いまできること」を少しずつ始めることが、
より豊かな未来へ繋がっていると信じることで、本当の安心を手に入れられるのではないでしょうか。