警察官や金融機関職員が暗証番号を聞いたり、キャッシュカードを封筒に入れさせることは絶対にありません!
キャッシュカードは渡さない!暗証番号は教えない!
身近で起こり得る特殊詐欺。
特殊詐欺には、オレオレ詐欺、預貯金詐欺、キャッシュカード詐欺盗、架空料金請求詐欺、還付金詐欺、融資保証金詐欺、金融商品詐欺、ギャンブル詐欺、交際あっせん詐欺などがあります。
大阪府警によると2020年の大阪府内の特殊詐欺被害のうち、65歳以上の高齢者が8割以上を占めています。
離れて住む親、祖父母は大丈夫ですか?
今回は、警察をかたったキャッシュカード詐欺盗の被害者(K子さん、高齢者ひとり暮らし)と関わった体験から気づいた落とし穴をご紹介します。
キャッシュカード詐欺盗とは
警察官や金融機関職員になりすまして、キャッシュカードをだまし取る詐欺盗(さぎとう)。
詐欺盗はグループ犯行で行われることが多いく次のような役割分担で犯行が行われます。
高齢者宅に警察官や金融機関職員をかたって「あなたの口座があぶない。今から人を向かわせる」と電話をしてくる「かけ子」。
実際に家に来て、キャッシュカードをすり替えてだまし取る「受け子」。
手に入れたキャッシュカードを使ってATMから現金を引き出す「出し子」。
最近では、「闇バイト」「高収入」をうたって受け子や出し子に若者を集め、犯罪に手を染めさせています。
手っ取り早く稼げるといううまい話は、人生が終わってしまう非常にヤバい話です。
孫世代の若者よ。じいちゃん、ばあちゃんを泣かせたらアカン。
高齢者をだます憎っくき手口(リンク)
手口はこちらがわかりやすいので、どうぞご覧ください。
警視庁・SOS47特殊詐欺対策ページ「特殊詐欺の手口と対策」
知っておいて損はない注意点
これから書くことは、被害者K子さんの事件顛末からの教訓的なことです。
実体験からの学びは知っておいて損はないと思います。
どうぞ参考になさってください。
1.警察署の電話番号は0110!?
電話をかけてくる「かけ子」は用意周到で言葉巧みに信じさせようとしてきます。
言葉も丁寧に、それらしく。
詐欺だと看破できたらめでたしめでたしなのですが、「この話、怪しい」と思いつつ相手の電話番号を尋ねて確かめようという意識がはたらくことがあります。
かけ子もそこは心得ていて、警察官をかたるならそれらしい役職、しかも、警察署によく使われる番号が入った電話番号を言います。
全国区的には警察署の電話番号の末尾の多くが0110もしくは〇110なんです。
大阪府は1234です。
例えば、
北海道警察本部 011-251-0110
札幌方面中央警察署 011-242-0110
警視庁本部 03-3581-4321
警視庁新宿警察署 03-3346-0110
大阪府警本部 06-6943-1234
大阪府曽根崎警察署 06-6315-1234
ミニ知識みたいで得意顔になりそうですが。。。
でも、これを知っていることが仇になり、末尾にこの番号を付いていたら警察からだと思ってしまいます。
かけ子に言われた電話番号が〇110、1234であっても信じてはいけません。
信じていいのは、確かな情報源から自分で調べた番号。
緊急時は110番。
そうでない時は所轄の警察署にかけるといいです。
私は、何かあった時にすぐにかけられるように住所地の警察署の電話番号をスマホの連絡先に登録しています。
そして、この番号以外は疑って調べることにしています。
かけ子が言う電話番号はつながらないと思いますが、もしつながれば、さらにだまされることになります。
怪しいなと思ったら、かけ子の電話番号にかけ直すのではなく、所轄警察署に問い合わせましょう。
警察署の電話番号は、ご自分で一度調べてみてください!
電話の近くに貼っておきましょう。
参考)緊急を要しない警察への相談は
警察相談専用電話(プッシュ回線専用) ♯9110
・ダイヤル回線及び一部のIP電話からは「#9110」番につながりません。
・発信地を管轄する各都道府県警察本部等の総合窓口に直接つながります。
・相談は無料ですが、通話料は発生します。
緊急の事件・事故以外の相談については、「#9110」番を利用してください。
事件、事故など緊急の場合は、110番を利用してください。
2.急げ!口座ストップ
あっ!もしや!と思ったら警察への通報も大切ですが、口座凍結をしましょう。
受け子がだまし取ったキャッシュカードは出し子の手に渡り、コンビニなどのATMで現金を引き出そうとします。
やつらは連携プレーです。
受け子が被害者宅を訪問しキャッシュカードを手に入れても、かけ子は電話をつないで、被害者の足止めをすることがあります。
時間の猶予はありません。
やつらにとっても、こちらにとっても時間との勝負なのです。
K子さんの場合、電話がかかってきて現金が引き出されるまで1時間くらいでした。
大切な預金を守るためには、警察が先か銀行が先か。
悩ましいところです。
実際はどうなんでしょうか。。。
ところで、銀行の通帳には口座のある支店の電話番号が書かれてありますね。
ここへ電話すればよいと思うでしょう?
ただ、営業時間内なら支店にすぐにつながりますが、営業時間外だと音声ガイダンスで銀行の総合窓口に回されたりします。
そこから支店へ振り分けられるので時間がかかります。
つながらない電話、音声ガイダンスの操作にイライラします。
できれば、手分けして警察への通報、銀行への連絡をした方がいいですね。
ひとり暮らしの場合、ご近所さんが頼りとなります。
被害者K子さんは、キャッシュカードを渡してしまった後、この時はまだ特殊詐欺とは気づかないまま日頃から交流があるご近所さんに「今、こんなことがあったの」と話をしに行きました。
話を聞いたご近所さんが、それはおかしいよということで警察への通報、銀行への連絡をしてくれたのです。
ありがたい限りですね。
日頃のご近所さんとのお付き合いも大切です。
耳が痛いですが、遠くの親戚より近くの他人。
初動が遅れれば、あっという間に預貯金すべてが引き出されることになりかねません。
被害は、ATMの1日の引き出し限度額50万円×気づかない日数ですよ。
1日で50万、2日で100万、3日で150万を盗られます。
被害は膨れ上がっていきます。
3.まさかのローン機能
K子さんのまさかは、犯人は暗証番号を使って預金を引き出した上に、キャッシュカードのローン機能を使って現金を引き出していたことです。
そもそもローンを組んだこともないK子さんですが、キャッシュカードにその機能がついていたのです。
銀行のATMで操作すると、最後の方に「ローン機能をつけませんか?」みたいな画面が出ますよね。
おそらく、それをよくわからないまま「はい」ってしちゃったのじゃないかと。。。
ご家族の方!キャッシュカードにローン機能が付帯しているか一度確認しておいた方がいいと思います。
K子さんの家族も「なんでやねん!」でした。
さて、話を戻します。
預貯金は銀行に言えば凍結できますが、ローンは返済しないと終わらないんです。
返済義務が残るのです。
犯人グループが捕まってもローン返済してくれる見込みはほぼなし。
じゃあ、誰が返済するって?
被害者であるK子さん。。。
またしても「なんでやねん!」ですが、ローンを返済しないと利子が計算され続けます。
例えば、ローン機能で30万円を引き出されたら被害は「30万円+利子」?
いえいえ、ローン返済のために「30万円+利子」を自腹で払うので、実質被害は倍返しだ!!になります。
これは痛い!
泣くに泣けない。笑えない。
私は問いたいです。
キャッシュカード、もしもの時は大丈夫ですか?
まとめ
今回は、キャッシュカード詐欺盗の実体験から学ぶ点を3つご紹介しました。
特殊詐欺に遭わないには越したことはありません。
ひとり暮らしされている親、祖父母をお持ちなら、良い機会と思って先手必勝の対策を考えてみませんか。
特殊詐欺への注意喚起、もしもの時の連絡方法、警察署や取引銀行、暗証番号の管理…気になるところを確認しましょう。
遠方ですぐに駆けつけられないなら、常からご近所さんへご挨拶されてもいいと思います。
被害はお金だけじゃないありません。
心も傷つけます。
高齢で心傷つく姿は胸が痛いですよ。
続きはこちら。
最後にもう一度。
警察官や金融機関職員が暗証番号を聞いたり、キャッシュカードを封筒に入れさせることは絶対にありません!
キャッシュカードは渡さない!暗証番号は教えない!
参考リンク
警視庁・SOS47特殊詐欺対策ページ「家族の絆で勝つ!ストップ、オレオレ詐欺」
一般社団法人全国銀行協会 金融犯罪の手口