感情の「アップダウン」に振り回されていませんか?
「アップ」のときは、なにもかもうまくいっているようないい感じなのに、
「ダウン」のときは、誰もかれもが自分を責めているような気持ちになる。
なぜ「アップダウン」は起きるのでしょう。
どうやったら「アップダウン」から抜け出せるのでしょう。
「アップダウン」のしくみにせまりながら、
「アップダウン」から抜け出すコツをお話しします。
アップダウンと私
本題に入る前に、私の「アップダウン」の歴史について少しお話ししましょう。
私にとっては「アップダウン」は物心がついたときからの人生のテーマでした。
「アップ」のときはすごく楽しいし、人付き合いもうまくやれるのに、
「ダウン」のときは落ち込んだり、イライラしたり、人が自分のことをどう思ってるのか気になってどうしていいのかわからなくなる。
なんで「アップ」のときがずっと続かないんだろう、
なんで「ダウン」のときはこんなに辛くて苦しい感じなんだろう、
とずっと悩んできました。
人の目を気にするような日本の環境が「アップダウン」を生じさせるのかもと、アメリカやスペインに留学してみたことがあります。
でも環境を変えても「アップダウン」なくなりませんでした。
環境のせいじゃないと気づいた私は、体調が「アップダウン」を生じさせるのかもと、薬学部に編入して体のしくみを学んでみました。
でも体のしくみを学んでも、体調はよくならず、「アップダウン」は続きました。
結局、色々試した結果、自分のこころの奥深くに根本原因があるのではと、こころの世界に入っていきました。
そしてバーストラウマとインナーチャイルドを取り扱うヒーリングと出会い、落ち着いて自分を見つめることができるベースが整うと、感情の「アップダウン」を研究する日々が始まり、今に至ります。
もともと人間は揺れ動く存在
感情には色々な種類があります。
ネガティブなものは、怖れ、不安、悲しみ、寂しさ、心配、など
ポジティブなものは、喜び、楽しさ、嬉しさ、など
ネガティブなものは感じたくないのにやってくるし、
ポジティブなものは放したくないのに、いつの間にか過ぎ去ってる。
どうして自分が感じておきたい同じ感情のまま、ずっととどまっておけないのでしょうか。
「感情の取扱説明書」谷孝祐著によると、感情には元となる二つの感情があるそうです。
それが、「喜び」と「不安」
どんなに安定している人でも、微細に「喜び」と「不安」の間で常に揺れ動いています。
どうして「アップダウン」が起こるのか。
本当に安定している人は「不安」や「喜び」をキャッチしても、「アップダウン」という大きな揺れまではいかず、「フラット」でいることができます。
では大きな揺れの「アップダウン」がある人と、「フラット」でいられる人の違いは何なのでしょうか。
「不安」な状態をベースに、それが「ダウン」と感じられるほどネガティブに偏らせてしまう大きな要因の一つがバーストラウマとインナーチャイルドにあります。
バーストラウマは胎児期から新生児期にかけて生じた心の傷、満たされなかった想いのことを指し、
インナーチャイルドは幼児期から成人するまでの間に生じた心の傷、満たされなかった想いのことを指します。
バーストラウマは自分は存在してはいけない人間だ、というような自分の存在を揺るがすようなネガティブな情報で、感情を刺激し続けます。
そして、幼少期にネガティブな感情を表現して、親に嫌がられたり怒られたりして、ますます、自分はダメな人間だ、というような想いを強くしていきます。
そういったこころの傷や想いが固着化するとインナーチャイルドになり、どんどん感情を大きく揺らすようになります。
バーストラウマとインナーチャイルドの影響下、一度「ダウン」の状態になると、普段は抑えるようにしているネガティブな感情や自己否定などが一気に出てきて、コントロールが効かなくなるのです。
「アップダウン」を感じない人の危険性
では「アップダウン」が少ない人はバーストラウマやインナーチャイルドが少ないのか、と言えばそうでもありません。
あまりにネガティブな感情を抑圧しすぎて、「アップ」も「ダウン」も感じられなくなってしまったケースも多々あります。
特に日本の男性は感情を抑圧している傾向が強いです。
「男の子なんだから泣かないの」などと感情を抑圧するように育てられてきた場合が多いからかもしれません。
感情を抑圧しすぎる人は、「アップダウン」はあまり感じないものの、人生に面白みや彩りが感じにくかったりします。
なぜなら、ネガティブな感情を感じることを抑圧することは、ポジティブな感情を感じることも抑圧してしまうからです。
そうすると、ネガティブな感情もポジティブな感情も素直に感じるけれども、それによって自分自身が振り回されることがない「フラット」な状態が理想と言えるかもしれません。
「アップダウン」から一歩抜け出すには
「アップダウン」に振り回されることから一歩抜け出す一つの方法を提案します。
①メリットデメリットを書く。
「アップダウン」に振り回されるメリットデメリットをそれぞれ3つ以上書いてください。
メリットもデメリットも同じ数だけ書くのがコツです。
例として、過去の私のメリット・デメリットを以下に挙げます。
「アップダウン」に翻弄されるメリット
・生きている実感がある。
・ダウンしているときに人から同情してもらえる
・辛い思いがあってこその人生だ
「アップダウン」に翻弄されるデメリット
・自分じゃないものに振り回されているようで疲れる
・「ダウン」のときに人間関係がこじれやすい
・いつ「ダウン」になるかという不安がいつもつきまとい、心からリラックスできない
最初はメリットを出すのは難しいかもしれませんが、実感があまりなくてもいいのでとりあえず出してみてください。
本質的には、人はメリットがあるからこそ、その状態を選択するのです。
もしかして、山あり谷あり感動あり、アップダウンが満載のハリウッド映画が人気になるのも、無意識に人はその状態にメリットを感じているからかもしれません。
②「アップダウン」から抜け出すと決める。
メリットデメリットを両方見たうえで、「アップダウン」から抜け出すと本気で決めてください。
本気で決めることが重要です。
何事も本気で決めることで、決めた方向に力がかかり、次のステップが見えてきます。
決めたらリラックスして待ちましょう。
なかなか見えてこないときは、まだ本気で決め切れていないかもしれないので、メリット・デメリットを引き続き書いてみてください。
「アップダウン」から抜けるプロセス
本気で「アップダウン」から抜け出すと決めた後、その次のステップとして必ず通るであろうプロセスの一つは、
「ダウン」の状態の自分も認めることです。
「アップ」の状態が自然な状態、「ダウン」の状態が不自然な状態で、なんとか「ダウン」の状態をなくしたい、と願っている人も多いかもしれません、
しかし特にバーストラウマ・インナーチャイルドの影響下では、「ダウン」の状態がある方が普通な状態とも言えます。
そして「ダウン」の状態を無くそうとするから、かえって「ダウン」の状態が強くなる、という構造もあります。
だから、まず、「ダウン」の状態の自分も自分で、そういう自分であってもいい、と認める。
それはありのままの自分を認めることにもつながります。
焦らず、一歩ずつ、着実に進んでいきましょう。
もっと効率的に「フラット」な方向へ進んでいきたい、という方には、バーストラウマ・インナーチャイルドを取り扱うのもおすすめです。
バーストラウマ・インナーチャイルドは「アップダウン」を加速する大きな要因のひとつなので、それらが解消されるだけで、自然と「アップダウン」が穏やかになっていくでしょう。
「アップダウン」が「フラット」になると、人生はどう変化するのか
常に疲労感やだるさを感じていたような人は、子どものような活力を取り戻すでしょう。
「アップダウン」は想像以上にエネルギーを消耗するからです。
そして不自然に「アップ」していることや「ダウン」していることに気づきやすくなり、より「フラット」な状態へエネルギーを向けられるようになります。
さらには、「フラット」な状態で、本当は自分はどうしていきたいのか、に繊細に気づけるようになっていきます。
そして「アップダウン」を繰り返すネガティブスパイラルから抜け出し、魂が喜ぶ生き方に向かっていくポジティブスパイラルに入っていくでしょう。
そういう人生を生きることこそ、私たちがここに生まれてきた目的のひとつなのかもしれません。