誰にだって許せない人のひとりやふたりはいるのではないでしょうか。
父親、母親等の親族や、夫、妻、子供等の家族、職場の上司、同僚等の仕事関係等が思い当たるかもしれません。
そんな許せない人に対してあなたはどう対処しているでしょうか?
全くもって許せないから距離を置いている、という人もいるでしょう。
また、相手を許した方が自分にとっても良いという話を聞いて試してみたけどダメだった、という人もいるでしょう。
もしくは、相手を許したいと思ったけれど、そもそもどうやって許したらいいのかさっぱりわからない、という人もいるでしょう。
今回は、許したくても許せないあの人を許していきたい人に向けて、どうやったら許すことができるのかを両親を題材にしてお伝えします。
1.なぜ許す事が良いとされるのか?
冒頭でも触れましたが、なぜ許す事が良いとされるのでしょうか?
それは、相手を許さない事で自分が不自由になるからです。
例えば、いい年にもなって病気でもないのに仕事もせず、親のすねをかじって生きている人を見かけたことがあるかと思います。
彼らは両親に迷惑を掛ける事で復讐しているのです。
(両親もそんな子供に対して負い目を感じているため放り出す事ができず、世話し続けるのです。)
そんな人がビジネスで成功しよう、結婚しようと考えて行動しても上手くいきません。
両親に復讐する事が生きがいになっている以上、復讐を辞めない限り自由に豊かな人生を送ろうと努力しても無理なのです。
今のは極端な例だったかもしれませんが、他にも恋愛やビジネス等で、目の前に理想のパートナーが現れたとしましょう。
その人へアプローチをしたとしても、どこか両親に似た性質(例えば、仕草とか言葉使いとか雰囲気とか)を見つけてしまうと途端に幻滅したり感情が波立ったりします。
これを心理学の用語で「投影」と言いますが、両親を許せない、という事は両親だけではなくそこの周りにいる人全てが許せなくなってしまうのです。
特にビジネスをやろうと思っている人にとっては最初からパイが減った状態でビジネスをやる訳ですから、当然商品やサービスを買ってくれるお客さんも減ります。
そのため、あなたがより自由で豊かな人生を過ごしたいと願うならば、「許す」事は不可欠なのです。
2.許すとは何か?
あなたはどうなったら相手を許したと断言できるでしょうか?
例えば、両親を許すと決めたらそれで許した事になるでしょうか?
それとも、他にも何かやらないと許した事にはならないのでしょうか?
何をもって「許した」とするのかは当然、人によって異なりますので、ここでは私なりの解釈で話します。
「許す」とは、許さないと心の底に誓った決定的な瞬間が起きなかったのと同じ心理状態でいる事です。
少し漠然としているので言い換えると、相手がいてもいなくても心理的には何も変わらない、もしくは気にならない状態を指します。
究極を言うと、空気みたいな存在に感じるのかもしれません。
そのため、両親を例に考えると、あなたが両親を許すと決めただけでは許したことにはならないのです。
では、どうすれば良いのかというと、例えば
・親戚など大勢がいる前で両親に恥をかかされた
・父親から暴力を受けた
・両親とけんかして父親からも母親からも見放された
・何度ねだっても両親が欲しい物を買ってくれなかった
・母親に無視された
・自分がやりたい事をやろうとした時に両親が足を引っ張ってきた 等
両親を許せないとあなたが感じた出来事全てを心の底から水に流して、何のわだかまりもない状態にならないと許した事にはならないのです。
それは思考だけでなんとかできるものではなく、感覚を変えていかないと成しえない事なのです。
3.許すための心構え
許すための方法へ行く前に、許すための心構えを先にお伝えします。
先程の項で、許せない相手に対する感覚を変えていかないと、許した事にはならないと話しました。
これは、はっきり言って、相当難易度が高いです。
例えば、売られた喧嘩を必ず買うほど気性の荒いチンピラが、喧嘩を売られても素通りするぐらい変わらないといけないのです。
何度トライしても上手くいかないことがざらでしょう。
そんな時、大概の人は「自分はダメな奴なんだ」と自分を責めてしまいます。
ですが、自分を責めてしまうと、自己否定を抱えた上に許す事を諦めてしまうので注意が必要です。
さらに厄介な事に、自分を責めている時は自主選択的に責めているのではなくて、反応的または感情的になって自分を責めてしまうので、自分を責めている事すら気付かない事が圧倒的に多いです。
今までの人生を大変革させる程の難易度にあなたはチャレンジしするのですから、できなくて当然、上手く言ったらラッキーというスタンスで開き直りましょう。
そのくらいリラックスして心理的な負担を軽くする必要があります。
また、相手を許せない気持ちであなたの心の中がいっぱいになってしまったら、無理に許さなくていいです。
逆説的に聞こえるかもしれませんが、無理はせず、自分に嘘をつかず、起きる出来事を受け止め否定しない、そんな大自然のようなおおらかな気持ちでいる事が許すための心構えになります。
4.許すための方法
相手を「許した」状態に移行するには感覚を変える必要があると話しました。
では、どうしたら感覚を変える事ができるのでしょうか?
手順は2つあります。
4-1.許せない感情を解消する
許すための前提として、許せないという感情がある程度解消されている必要があります。
ですが、そもそも感情って言われても思い出せないし心当たりもない人がほとんどかもしれません。
そのため、はじめに、「許せない」という感情を思い出して行きましょう。
あなたの身の回りで最近起きた出来事でも、あなたが許さないと心に誓った決定的瞬間でも構いませんが、最近起きた出来事の方が比較的扱いやすいでしょう。
思い出す内容を決めたら、その時どんな出来事が起きて自分自身が何を感じたのかを思い返します。
例えば、あなたが父親に説教されてカチンときた出来事を扱うとしましょう。
その場合、4/10金曜日の午後10時過ぎに、兄と両親と訪れたレストランで、優秀な兄と比較された挙句、できそこないと罵られてカチンときた、等、その場面を具体的にイメージしていきます。
そして、ざっくりでいいので、カチンときた時の心の状態を反芻します。
もし、この時、心の中で「いつまでも兄ばかりひいきして、もううんざりだ!」等と愚痴を呟いていたのなら、場面を想像しながらそっくりそのまま愚痴を呟いてみるのも有効です。
そうして、カチンときた時の許せない感情を呼び起こしましょう。
次に、許せないという感情が湧きがってきたら、それをずっと感じ続けます。
この時、感覚が掴みにくければ筋肉の硬直やハリに意識を向け続けてみましょう。
もし、感じる事ができない場合は行動で発散しましょう。
例えば、
・カラオケで父親への怒りを叫んだり
・ひたすら走ってでモヤモヤした気持ちを吹っ切ったり
・父親への恨み辛みを紙にひたすら書いてぶつけたり
・サンドバッグやぬいぐるみ等を父親に見立ててぶん殴ったり
・スポーツで行き場のない想いを発散したり
等、許せない感情を感じようと意識しつつ行動してみるのです。
行動を続けて、スッキリした感覚が得られれば感情の解消は完了です。
4-2.許せない相手の行動に納得する
ある程度感情が解消できて心に余裕が生まれたら、あなたが許せないと感じた行動をなぜ相手がとったのか、その理由を探ります。
そして、その理由に納得が行けば、許しは完了です。
先程の例で考えるのであれば、父親の立場に立って、子供のあなたをカチンとさせた言動をどうしてとったのか、その理由を推測します。
例えば、
・自分の鬱憤を晴らしたかった
・単純に自分の子供にムカついていた
・愛の鞭として子供に厳しく接した
・子供への心配性が裏目に出た
・何の意図もなかった
・自分のプライドを守るため
・言うつもりはなかったのに口が滑ってしまった
等が挙がったとしましょう。
次に、この中から一番しっくりくるものとして、例えば「自分のプライドを守るため」が当てはまったなら、父親の言動とその理由「自分のプライドを守るために、子供のあなたをできそこないと罵った」を振り返ります。
そこで、何かしょうもない理由で父親を許さないと憎んでいたのだと理解したり、実は父親が自分の劣等感を隠すためにあなたを妬んで発言したのだと悟ったりして、相手にするのもバカバカしい、とか、あれはしょうがなかったんだと思えたなら完了です。
ある程度感情が解消されていないと、相手の立場に立って考える事自体に拒否反応が起きますので、無理はしないようにしましょう。
5.まとめ
許すとは結局のところ、相手の言動は相手の問題であって、それに対してあなたは全くの無関係であったという事実に気付く事とも言えます。
要は何者からも依存されず、何者にも依存しない、真に自立した状態になるのです。
それを頭だけの知識としてではなく実感していく事が重要なのです。
そこに至るまでの道のりは非常に長いですが、相手を許す過程であなた自身もより成長し、さらには今世での生まれた目的も果たしやすくなるため、取り組む価値は十分にあります。
この記事が自由で豊かな人生を過ごしたいと願うあなたの助けになれば幸いです。