「期待していたのに」いつも、期待通りにならない。期待通りの結果が得られない。
期待してもムダなのではないか。あの人には期待できない。
「期待」をしていたのに、期待を裏切られて、いつも落胆している自分がイヤになる。
そんな経験はありませんか?
期待を「裏切られる」とは
期待を「裏切られる」というのは、あなた自身が得たいと思っている結果(期待)が得られなかったときに、あなたの判断として「裏切られた」と感じることによって生じます。
逆に、
期待をしていたことが、結果的に思った通りの結果が得られたという時は当然ながら「裏切られた」と感じることにはなりません。
また、期待をして得たい結果を得られなかったけれど、あなた自身の評価として「十分にやってくれた」と感じたときも「裏切られた」と感じることはないでしょう。
期待と自分との距離
「期待」として得られる結果と自分自身との距離感が遠いほど、期待が裏切られたとしても「裏切られた」とは感じにくいことがあります。
期待と自分との距離が遠い事例
- 宝くじを買って「3億円当たって!」と期待
- サッカー日本代表戦を応援して絶対勝って!と期待
- オリンピックにでメダルを期待
- 米国の大統領選で●●さんに勝って欲しいと期待
この場合、あなたのコントロールが及ぶ影響は少ないか、無いに近い状態だからです。
期待通りの結果が得られなかったとしても「裏切られた」と感じることはありません。
- 残念~
- やっぱ今回は無理だったか~
- 相手が強かったよね
というように、結果を他人事である別の世界のことのようにとらえています。
自分との距離が遠い期待に対して「裏切られた」と感じるのは集団での心理が働いているときです。
例えば、サッカー日本代表の観戦時に応援団を組んでみんなで一団となって応援しているとき。
独りで応援しているときに比べると、よりたくさんの人と組んで応援することにより期待に対するエネルギーは高まります。結果として期待通りにならなかった時の落胆のエネルギーも集団で行動しているときの方が大きくなりますので、集団として「裏切られた」というような感想を持ちやすくなります。
期待と自分との距離がやや近い事例
- 人事異動で係長に昇進を期待
- お客さんに今日、契約をもえると期待
- こどもが大学に合格すると期待
自分自身との関わりがあるため、最も「裏切られた」と感じやすい距離感です。
結果として得られるものとしては自分自身の人生、社会的地位、生活、収入等に影響を与えますが、期待をしている対象は自分ではコントロールできない場所にある場合です。
例えば、人事異動であれば自分自身の頑張りや成果等、人間関係等が総合的に判断され結果として発表されます。
結果として得られるものは「期待している」その人自身に大きな影響を与えますが、結果そのものにはその人が影響を与えることができません。その人の上司や人事部の人が決めるからです。
「お客さんに今日、契約をもえると期待」も同じです。その日に契約をもらえることで、売上やボーナスに大きな影響を与えるかもしれませんが、契約をするかどうかを決めるのは「お客さん」であって、あなた自身ではありません。
期待と自分との距離が近い事例
- 夕飯までには帰って来てほしいと期待
- 合コンで新しい出会いを期待
- 家事をして欲しいなと期待
よくある日常的な期待ですが、この場合はどうでしょうか?
相手に情報が伝わっていない
「期待」するということの性質の一つに「自分自身の勝手な思い込み」が期待を作っているということがあります。
期待はしているのに、期待している内容や状況等の情報が相手に伝わっていない。ということはありませんか?
相手には何も伝えていない
↓
期待する
↓
得たい結果が得られなかった
↓
落胆する
この一連の流れのすべての主体は「自分」です。
自分自身が勝手に思い込んでいることであって、相手は一切関係が無いことなのですが、「期待」はいつの間にか「相手の問題」としてすり替わっている性質があります。
結果をコントロールする
そもそも「期待」している状態は相手とは関係が無い自分自身の勝手な思い込みであることが多いのです。
ところが、期待する結果を得るために人は相手に「干渉」することで結果をコントロールしようとします。
得たい結果を得るために相手をコントロールしているのです。
ビジネスの世界では「見込み客を囲い込み」といった言葉が使われることもあります。まさにこれは期待に対する結果をコントロールしようとしている象徴的な言葉の一つです。
商品やサービスを買うかどうか、契約をするかどうかを決めるのは、お客さん自身です。
買ってもらう、契約を取るためにセールスをする側からできることは情報提供であって、買うかどうかを決めてもらうための判断基準を情報として提供しているに過ぎません。
例えば、セールスの担当者自身に価値を持たせ「買わないことは私を裏切ることだ」と、商品やサービスとはまったく別の要素を入れることで、相手の購買意欲をコントロールしようとします。
コントロールの方法はたくさんあります。
先ほどのように相手を追い詰めるような方法もあれば、相手が判断できないような状況にする方法、コントロールすることで買わせようとするテクニックのようなものが存在するのは事実です。
コントロールすることの悪影響
コントロールすることで得られた結果は、最終的に本当に良かったと思えるような結果が得られないことがあります。
今回、ご紹介したビジネスの事例で言えば、コントロールすることで得られた結果は「期待通りの結果が得られた」ということになるかもしれませんが、継続的に発展するビジネスの成功が得られるとは限りません。
リスクとしては
- お客様の満足度が低くなる
- 無意識的にお客様の不満が残っている
お客様が本当に欲しいと思って購入した商品ではなく、コントロールの結果として購入してもらった場合は、上記のようなことが考えられます。
お客様の満足度が低く、不満も溜まりやすくなることで、購入後のクレームが増えます。また購入者からの紹介が出にくいという可能性もあります。
また、同じやり方を同業他社に簡単に真似されるというリスクがあります。
子供への教育という場合、
親が希望する学校への進学、希望する職業や企業に勤めるということが、結果として子供自身にとって最良とは限りません。場合によっては、親が希望する学校には入ったものの学校を続けることができなかったり、仕事が合わないと感じて退職したりということが起こります。
どちらの事例も共通するのは、
結果を決め、結果に影響を及ぼすのはお客さんであり、子供であるのに、「期待」をしている本人が結果に影響を与えていることです。
期待に対する結果に執着しない
「期待」をしたが、思った通りの結果を得ることができなかった。という一連の流れから「裏切られた」という思いが生まれることを解説してきました。
「期待」をすることはダメなことのように思われたかもしれませんが、「期待」をすること自体は悪いことではありません。
「期待」に対する結果に執着するということが問題なのです。
「期待」は自分のもの
「結果」は相手のもの
それぞれを別々のものとしてとらえること。
そして結果よりも、結果に至るプロセスをちゃんと評価することの方が大切です。
結果は変わらないがプロセスを変えると未来が変わる
期待に対する「結果」を変えることはできません。
既に過去に起こった「結果」は、事実として受け入れるしかないからです。
しかし、結果に至るまでの「プロセス」を変えることで、未来に起こる「結果」は変えることができます。
A→B→Cというプロセスを経て「G」という結果が得られたが、それは期待した結果とは違った。という場合。
いくら結果の「G」を見つめても結果は変わりません。
実はよくやりがちなことで、期待通りの結果を得られず「裏切られた」と感じたときには「結果」ばかりを責めてしまいます。
そうではなく、「G」に至るプロセスである「A→B→C」を検証し直すことの方が重要なのです。
期待通りになる確率を上げる方法
期待通りの結果を得られる場合と、得られない場合があります。
期待通りの結果を得るために相手をコントロールすることで得る結果は、本質的な結果とは異なることは解説してきました。
コントロールではなく、
自然な状態で得られた結果が「期待する結果になる確率」を高める方法をお伝えします。
それは、
より良い結果を得られた時の「自分の状態を把握する」という方法です。
期待に対する結果を自分でコントロールすることはできません。
自分以外の人の中で起こり、決められていることです。
自分自身は結果に対して関与することができません。
できることは
「期待通りの結果を得る」ことができた時の状況や状態を把握しておくことです。
そうすることで
次に「期待」することが起きたときには
過去、期待通りの結果を得られたのと同じ状態に自分を置いておくことができれば、期待通りの結果を得られる確率が高まります。
自分の状態を把握する
期待通りにうまくいった時の「特長・習性」のようなものはないでしょうか?
期待通りにうまくいった時の「心理状態」に共通のものはないでしょうか?
- 子供が期待通りの結果を出してくれた時
- 部下が期待以上の結果を出してくれた時
- パートナーが期待以上の働きをしてくれた時
あなたの心の状態はどうだったでしょうか?
リラックスしていた、相手を信頼していた、結果に固執していなかった、そのことを忘れていた。
このような、期待に対する結果を手放し、あなたがあなたらしく生きている状態のときに思った通り、思っている以上の結果が得られることが多くあります。
「期待を裏切られた」と感じたとき、相手を責めるのではなく、その結果を得られるまでの自分の状態を振り返ることで、得たい結果を得ることができるようになってきます。