人に合わせすぎて疲れることはありませんか?
たとえば職場でのランチ。
本当は和食が食べたいのに、同僚から「新しくオープンしたイタリアンに行かない?」と誘われ、つい「いいよ」と答えてしまう。その場は楽しく過ごせるのに、何となく疲れが残る。
たとえば会社の飲み会。
本当は嫌なのに断りづらくてつい参加してしまう。飲み会の席でも、上司や同僚の話に合わせて相づちをうち、帰りの電車でぐったり…。
こんなことないでしょうか。
「空気を読む」という言葉があるぐらい、日本人は「相手に合わせる」のがあたりまえになっています。でも疲れきるまで人に合わせる必要は本当はないはずです。
そこで、人に合わせすぎる原因とその対策についてまとめてみました。
・人に合わせてしまうのはなぜ?
なぜ人につい合わせてしまうのでしょうか。
最初の例えの場合、和食が食べたいとあらかじめ言えれば、和食を食べる確率は上がったでしょう。
イタリアンに行きたいと言われても、イタリアンに行くか、1人で和食に行くか選択すればいいだけ。和食に行く場合は「最近パスタばかりだから、私は和食に行くね。後でお店の感想を聞かせて!」とサラッと言えれば問題なく過ごせるはずです。
しかし実際には上記のように上手に振る舞えず、気がついたときには合わせていて、疲れてから後悔するの繰り返しになることが多そうです。
私も同じような悩みに苦しんだので、その気持ちもよくわかります。
当時、心の中で起きていたことを思い起こすと、まず自分の意見を言う癖がありませんでした。
相手に合わせなきゃいけない、相手が他のものを食べたがっていたら悪いし…と意見を言うことで関係が気まづくなるのを避けていました。自分の意見より相手と一緒にいることを選んでいたんですね。
また自分の意見を言って嫌われることも怖れていました。
さらに、自分の食べたいものがすぐに浮かばない状態でした。
子どもの頃はもう少し浮かんでいたと思うのですが、最終的には相手に合わせることになるので、自分の意見を持つ方が厄介です。「絶対、和食以外食べたくない」と思っていたら、自分の気持ちを押し殺すことになります。
それはとても辛いので、気持ちが見えかないよう心に蓋をし、そのうち自分の欲しいものややりたいことがわからなくなり、「何でもいいよ。合わせるよ。」が普通になってしまったように思います。
このように流れを追ってみると人につい合わせてしまう原因として
A.人に嫌われたくない
B.自分の意見が言えない
C.やりたいことや好きなことがわからない
ということがあったように思います。
あなたの場合はいかがでしょうか。
・人に合わせてしまう根本原因は?
それではなぜ
A.人に嫌われたくない
B.自分の意見が言えない
C.やりたいことや好きなことがわからない
となってしまうのでしょうか。
この根本原因には、乳幼児期の親との関係 が影響しています。
Aの人に嫌われたくないという思いは、乳幼児期の愛情不足からきています。安心感が十分に育っていないのが原因ですす。
親から愛されていれば生きていけるので、友達から嫌われても生存を脅かされることはありません。たまたまその子とは気が合わなかっただけと他の子と新たな関係を築くことができます。
一方、親から愛されてないと感じていると、生きていけるか不安になり、親以外の人の愛情を求めたり、周りに安心を求めようとします。
人が離れていくことが生存の危機と感じられるため、人に嫌われることを必要以上に恐れるようになるのです。
Bの自分の意見が言えないはどうでしょうか。
幼い頃に自分の話を聞いてもらえる環境があれば、安心して話すことができます。自然と気持ちや考えを伝える力がつきます。
もし意見に意を唱えられたとしても、その理由を説明してもらえれば、人には色んな意見があるとわかるので、意見を伝えあうメリットも知ることができます。
一方で意見を受けとめてもらえず頭ごなしに否定されたり、「わがままを言うんじゃない!」と叱られれば、言えば怒られると思い、意見を言わなく(言えなく)なります。
また叱られた時の傷が深ければ、インナーチャイルド(幼い時の満たされない想いや心の傷)となり、両親に叱られないよう親の顔色を見て過ごすようになります。これが人に合わせる原型となります。
両親との関係は人間関係のベースとなるため、他の大人や友達にも意見を言うことをためらい、傷つかないように合わせるようになるのです。
Cも同様です。
欲しいものをおねだりしていつも得られなかったり、やりたいことにNO!と言われ続けていると、自分の欲求を出さないようになります。
欲求を叶えられないのは悲しく辛いことです。
その辛さから「両親に自分は愛されていないのではないか」、「否定されるのは自分がいけないからではないか」と思うようになり、また傷つくことを怖れて欲求を見ない(出さない)ようにしてしまうのです。
そして欲求が見えなくなり、意見を言うのも苦手なので、ますます人に合わせるようになってしまうのです。
・人に合わせるのをやめるには?<対策>
それでは、人に合わせるのをやめるにはどうしたらよいでしょうか。
1.インナーチャイルドを癒す
その根本原因がインナーチャイルドであるため、子どもの頃の心の傷を癒すことが根本解決になります。
ただ、心の傷は下手に触るとさらに傷をつけてしまう可能性も高いため、しかるべき専門家に相談しながら行う方がよいでしょう。
2.愛されていた証拠を見つける
まずは、心の中の安心要素を育てていきましょう。というのも、本当は親や周りの人から愛されている部分もあるのに、見えなくなっていることも多いからです。
成人になるまでには、たくさんの人の手を借りています。お乳を飲むのも、オシメを替えてもらうのも、寝かしつけてくれるのも愛情です。ご飯や洋服を与えてくれたり、洗濯や掃除をしてくれたり、しつけや礼儀を教えてくれたり、危ない時に注意してくれるのも愛情なのです。
親だけでなく、幼稚園・保育園の先生が一緒に歌をうたってくれたり、学校の先生が字や足し算・引き算を教えてくれるのも愛情です。
兄弟姉妹、友達と一緒に遊んだり、内緒話をしたりして、楽しい時間を過ごしたこともあるでしょう。これらも全て愛情なのです。
愛されていたことをたくさん認めていくと、自然と安心感が増し、自分は大丈夫と思えるようになっていきます。
3.1人でいる時間を作る
人に合わせて疲れてしまう原因が、相手に嫌われないためだとしたら、人に嫌われても平気なように1人で楽しめるようになることです。
週に1度は時間を決めて、1人でいる時間を作りましょう。1人での時間を確保するために、その時はスマートフォンや携帯、PCなどを使うのは控えるようにしてください。
公園に散歩に行ったり、本を読んだり、絵を描いたりetc、直接人と関わらないことで、やりたいことをやってみるとよいでしょう。
少し時間はかかるかもしれませんが、1人でいることが平気になれれば、例え相手に嫌われても「まっいいか」と思えるようになっていきます。
4.今何をやりたいか、何が欲しいかを自分に尋ねるクセをつける
インナーチャイルドの影響で、自分のやりたいことを我慢するクセがついているので、その抑圧を少しずつ解いてあげましょう。これも1人だけの時で練習してみてください。
例えば、麺類が食べたいと思ったとき、ラーメン、焼きそば、蕎麦、うどん、冷麦、素麺、パスタetc なるべく沢山想像して、その中から本当に欲しいもはどれか自分に聞いてから選択する。
または、今日は家で過ごしたいか、外に出かけたいか。出かけるとしたら、静かなところがいいか、賑やかなところがいいか。静かなところならカフェがいいか、図書館がいいか…etc。細かく自分の望みを聞いて、できるだけその願いを叶えてあげましょう。
1日1回でも、欲しいもの、やりたいことを見つけて、それを得られるだけで、心が満たされていきます。続けることで、今の自分とのつながりが増していきますよ。
5.やりたいことに友人を誘う練習をする
自分のやりたいことが見えて、1人でもやれるようになったら、友人を誘う練習をしてみましょう。
例えば、「〇〇という映画に行きたいのだけど、興味があれば一緒にいかない?」という具合に。興味がなければ相手も断れるので、友情にヒビが入ることもないでしょう。
慣れてきたら複数の人に呼びかけたり、趣味のサークルなどに入り、そこで友人を作るのもありです。
まずやりたいことがあり、次に人に声をかけるようにすると、やりたいことがやれない…というストレスから解放されていきます。
・まとめ
まとめると、つい人に合わせてしまう原因には
A.人に嫌われたくない
B.自分の意見が言えない
C.やりたいことや好きなことがわからない
があり、
その根本原因には幼少期の親子関係により生じた安心感の不足やインナーチャイルド(幼い時の満たされない想いや心の傷)があること。
また、つい人に合わせることを減らすために、
1.インナーチャイルドを癒す
2.愛されていた証拠を見つける
3.1人でいる時間を作る
4.今何をやりたいか、何が欲しいかを自分に尋ねるクセをつける
5.やりたいことに友人を誘う練習をする
等の方法があることを紹介させていただきました。
最初は孤独を感じたり、やりたいことがわからなくて悩むことがあるかもしれませんが、慣れれば1人でいられる良さもわかり、自分を知る喜びも出てくるでしょう。
1人で自分を満たせるようになれば、無理して人に合わせる必要もなくなってきます。
相手にとっても無理に合わせてもらうより、お互いに興味の合うところで楽しめた方が心地いいに違いありません。
よかったら、ぜひ試してみてください。
人間関係のストレスが少しでも減って、自分らしい人生を歩む一助となれましたら幸いです。