はじめに
仕事やプライベートにおいて、人間関係は切り離すことのできない大切なものです。また、少し視点を変えてみると、人間関係は「繋がり」や「しがらみ」といったイメージを持つ人もいるようです。
「繋がり」というイメージであれば、それは人と人の温かい支え合いを連想していることが多いでしょう。一方で、「しがらみ」となると、自分の行動や意思などを縛り付けるようなネガティブな連想をしていることになるでしょう。
こうして考えてみると、私たちが日常的に発生する人間関係には、「温かな支え合い」とともに、「自分の行動や意思が、何かしらに縛り付けられている」との相反する要素を併せ持っていることになります。
私たちは、いくつもの出会いや別れを繰り返しながら、様々な人間関係を構築しつつ、生活を送っています。そうした中では、性格的に合う人もいれば、合わない人もいます。意見の相違なども、当然、発生していることでしょう。
しかし、それでも「出来ることなら、人間関係を円満にしたい」、「人間関係に疲れる毎日から、脱出したい…逃げたい」と願う人が多いのではないでしょうか。
今回は、人間関係に疲れてしまう人の共通点や原因、そして対処法までを考えていきます。自分の生活をより快適なものにしていくためにも、生きていくうえで、避けることができない人間関係をできるだけ“ストレスフリー”にして、楽しい日常を模索してはいかがでしょうか。
1、人間関係に疲れやすい人の特徴は?
私たちは仕事やプライベートにおいて、自分の中にある感情と折り合いを付けながら生活をしています。しかし、中には折り合いをつけることができず、感情的な行動を起こしてしまったり、体調を崩してしまったりと、知らず知らずのうちに心身的な疲労とストレスを溜め込んでいることがよくあります。では、人間関係に疲れやすい人には、どのような特徴があるのか考えてみたいと思います。
1)自己主張が苦手なタイプ
何かを決断するとき、自分の意見と他の人の意見を照らし合わせながら、自分にとって最善なものを掴み取ることができれば理想的といえるでしょう。中には、他人の話を聞き入れたために、自分の思っていることとは違う方向に進むこともあるかもしれませんが、最終的に自分自身で納得することができれば、心身的な苦しみは一時的なものとなり、不快な気持ちを溜め込まずに済むでしょう。
しかしながら、自己主張が苦手な人の場合、自分の意見と他人の意見のすり合わせができず、自分の意見を無視するような形で、他人の言われるままの状態になってしまうことがよくあります。上下関係の厳しい職場や、対等になれない恋愛関係などでよくみられるケースです。
周囲からすると、「聞き分けがいい人」のように見えますが、実のところは、本人は人の意見を受け入れるたびに、ちょっとした心の歪みが生じ、それがつもり積もって人間関係に疲れを感じるようになるのです。
2)陰口や不満を言ってしまうタイプ
人はそれぞれ自分の意見を持っているものです。しかし、自分の意見を主張することができない立場や雰囲気の中で、日常のほとんどを過ごしていることが多いようにも感じます。
自己主張できないことを、当たり前のように思う人も多いかもしれませんが、我慢しすぎると、当事者のいないところで発した言葉が陰口や悪口になってしまうようなことが起きます。
職場の上司の悪口を言っている場面や、女性同士・男性同士で陰口や悪口を言い合うという場面が、それにあたるでしょう。陰口や悪口を言うことに何の抵抗もない人もいますが、中には、周囲の意見に同調して発した悪口や陰口に対して、自己嫌悪に陥るといったことも起きます。そうしたことから人間関係に疲れを感じ、ストレスを抱え込むようになるのです。
3)自分に自信が持てないタイプ
自分の意見と他の人の意見が違っていても納得のいく形で収まれば、人間関係の疲れを引きずるようなことも少ないでしょう。しかし、自分に自信が持てない人の場合、自分の意見や考えを自ら軽視してしまい、納得できなくても他の人の意見を受け入れてしまうことが多くあります。
例えば、ついつい好きな相手の言いなりになったり、気が強い人物の言うことに逆らえなかったりなどが考えられます。しかし、当事者である本人(自分)が納得できていなければ、いずれは心の中でモヤモヤとした感情が渦巻いていることに気がつくことでしょう。
しかし、せっかく気がつくことができても、なかなか取り扱うことができず、ただただ「辛い」と言う気持ちだけが残り、思考を支配してしまうので、結果的に、ストレスが膨らみ続けて、どうにも行動することができなくなるのです。
2、人間関係に疲れたと感じやすい原因は?
人間関係に疲れやすい人の特徴をいくつか紹介しましたが、そもそも、どんな原因で疲れやすくなっていると思いますか?
人間関係の問題解決には、まず、原因を掴むことが大切です。原因を考えず、掴むことなく行動すると、関係が悪化してしまうことがあるので気をつけたいところです。そうしたことを防ぐために、「人間関係の“何に”疲れたと感じているのか」という点を明確にすることが大切です。
次は、具体的な原因を探っていくことを目的として、考えられるケースを一部取り上げてみます。
1)同じコミュニティに属している?
いろいろな人と接して、さまざまな意見に触れるというのは、自分自身の見聞を広げるためには非常に有効な手段です。しかし、継続的に同じコミュニティの中に身をおくことによって、そのコミュニティの中でしか順応できない自分というのを作ってしまう側面もあります。さらに、個人差はありますが、コミュニティ依存しやすい傾向がある人もいるようですので、思い当たる人は注意が必要です。
2)周囲に対して気を使い過ぎている?
日頃からお世話になっている職場の人達や自分が好きな人・友人知人から、嫌われるのは誰もが避けたいと考えていると思います。しかし、人に嫌われないように振る舞い過ぎて、自分の心に自分で大きなストレスをかけてしまっていることがあります。
気遣いができる人は、周囲から非常に評価されると思います。しかし、気の遣い過ぎは逆効果です。なぜなら、気遣いの効果がないと、「信用してもらえない」と寂しく感じたり、自分自身の価値観を他人の評価に依存したりしてしまうためです。
結果的に、自分から周囲との溝を作ってしまうので、人と接することが辛くて、怖いものに感じてしまう可能性があるのです。
3)人の長所ではなく、短所に目をむけている?
人は誰もが、長所と短所を合わせ持っています。複数のコミュニティを持って生活をしている私たちにとって、互いに認め合い、互いに歩み寄りながら、良好な人間関係を築いていることでしょう。
しかし、短所ばかりを見てしまうと、せっかくの長所に目を向けることができなくなります。さらに、自分自身の気に入らない部分に対して悪口や陰口を言うだけでなく、「この人とは合わない!」と自分から距離を取るようになりかねません。
距離をとる行動そのものに原因はありません。しかし、相手の短所だけをみて距離をとってしまう行為には、後々に問題を引き寄せてしまう可能性があります。
それは、短絡的な判断をしてしまった自分への自己嫌悪という気持ちが湧き上がってくる可能性です。
3、上手な付き合い方と対処法を紹介します。
多くの人と接していると、どうしても疲れを感じることがあります。そのような時は、どのように心と身体をリフレッシュすることができるでしょうか。ここでは、人間関係に関わる疲れを溜め込む前に試して欲しい対処方法を少し紹介していきます。
1)軽い運動で、心身ともにリフレッシュ
身体を動かすことは、ストレス発散に非常に有効な手段です。「最近、運動してないな…」という人には、運動不足を解消することにもなりますから、一石二鳥です。ただ、初めから張り切りすぎてしまうと続かないので、まずは、周辺の散歩から始めていくとよいでしょう。
汗とともに辛い気持ちを流してしまえば、すっきりとした気持ちでまた人とも向かい合うことができます。
「疲れた…」とのんびりと過ごす休日もいいものですが、日常にほんの少しの運動を取り入れて“心地の良い疲れ”とともに、リフレッシュしてみてはいかがでしょう。
2)人間関係を改めて整理してみる
人と人との縁は、人生における宝物といっても過言ではないでしょう。良い縁は幸せな人生を歩むためには必要不可欠であって、悪い縁はできるだけ早くに断ち切りたいと願っている人は多いと思います。
だからこそ、人間関係に疲れたと感じる今、自分の人間関係を改めて見直してみてはいかがでしょうか。誰に対して疲れを感じるのか、自分がどうしたいのかを明確にすれば、今後ともお付き合いを続けていく人と、ここで縁を切るべき人との境界線が見えてきます。
こうした人間関係の精算をすることで、自分自身を守り、心の状態もリフレッシュすることができることでしょう。
3)気心の知れた友達と遊んでストレスを発散させよう
人間関係のなかには、気を遣わずに一緒にいられるような友人知人や恋人関係にある人もいるでしょう。そうした人たちとともに一緒に過ごすことも、心や身体のリフレッシュにつながります。
こうした時間を確保することは、人間関係に疲れた心を癒すのに最適な時間となります。友人知人と遊んだり、恋人ともに有意義な時間を過ごしたりと、自分にとって一番心が落ち着く人と過ごす時間を作るようにして、自分の心と身体をリフレッシュしてみてはいかがでしょう。
まとめ
人間関係に疲れたと感じるのは、それだけ人と向き合おうとしている証拠です。自分が周りの人に対して疲れさせていないかを考えてみることも大切な要素になりますが、まずは「自分自身のことを考える」ことが何よりも大切です。
本当に今の人間関係でいいのか…悪いのか…上手に心をリフレッシュしているのか、それらを見直すだけで、自分の心の様子も変わってくるものです。疲れを感じていると自覚できた人は、先述した対処方法を参考に、自らの心と身体を労ってはいかがでしょう。
自分の心と身体、労ってあげていますか?