地球の歴史 顕生代でおきたビッグファイブ

冥王代、始生代、原生代と約40億年もの間続いた先カンブリア時代。

先カンブリア時代は、隠生代とも呼ばれることがあるように地質学的証拠がほとんどない時代でした。

それに対して、それ以降の地質時代は化石の証拠などが豊富にあることから顕生代と呼ばれています。この肉眼で見える生物が生息している時代、約5億4200万年前から現代までの顕生代の概略について、顕生代に5回起こったとされる大量絶滅(ビッグファイブ)をそのときに絶滅した生物を中心にみていきましょう。

 

この記事の目次

顕生代の区分

顕生代の区分

40億年も続いた先カンブリア時代からみると7分の1にも満たない時間の中で、生物は急激な進化を遂げ、地球環境も大きく変化していきました。

この顕生代の歴史はその地層から発掘される生物化石(主に動物化石)によって分類され、古い時代から古生代、中生代、新生代の3つの時代に分けられます。

古生代は、先カンブリア時代の後の無脊椎動物の繁栄から恐竜が繁栄し始める中生代の手前までの約5億4200万円前~約2億5100万年前までをいいます。

古生代の初期には、すでに様々な種類の生物が誕生し、その数は急激に増えていったとされており、カンブリア現象といわれています。

 

それに続く中生代は、恐竜が生息していた時期にほぼ対応しており、約2億5217万年前~約6600万年前までを指し、現代につながる時代ともいわれています。

そして、その後の現代まで続く新生代は恐竜やアンモナイト、海中爬虫類が絶滅した後の哺乳類と鳥類が繁栄したことで特徴づけられます。

 

古生代は、さらにカンブリア紀、オルドビス紀、シルル紀、デボン紀、石炭紀、ペルム紀(二畳紀)の6つに、中生代は三畳紀(さんじょうき)、ジュラ紀、白亜紀の3つに、そして新生代は古第三紀、新第三紀、第四紀の3つに分けられています。

 

顕生代のビッグファイブ

顕生代のビッグファイブ

発見された動物相の違いにより分けられた3つの代は、大量絶滅により従来の多くの動物が絶滅し、新たな動物が発生したことをも意味しています。

顕生代では、今までに5回の大量絶滅があったとされ、ビッグファイブと呼ばれています。

オルドビス紀末

オルドビス紀末

最初が、4億4400万年前のオルドビス紀末に起きた大量絶滅(O-S境界)です。

それまで生息していた三葉虫(さんようちゅう)、腕足類(わんそくるい)、ウミリンゴ、サンゴ類、筆石(ふでいし)、コノドントの大半が絶滅したとされ、当時生息していた全ての生物種の85%が絶滅したと考えられています。

三葉虫は、多数の体節を持つ節足動物で、各体節に一対の付属肢を持っています。甲羅の特徴は、縦割りに中央部の中葉とそれを左右対になって挟む側葉からなり、三葉虫の名前の由来ともなっています。

腕足類は、体は2枚の殻でおおわれ、一見すると二枚貝のように見えます。ただ、二枚貝では体の左右に貝殻があるのに対し、腕足類では体の背腹に貝殻を持っています。

ウミリンゴは、ウニやヒトデなどの仲間(棘皮動物)で、茎のような柄とリンゴのように膨らんだ包、触手のようn付属機関(指枝)を持っており、柄を他の生物に絡みつけて体を固定し、海水中の有機物を触手を使って食べていたと考えられています。

サンゴは、刺胞(しほう)と呼ばれる毒液を注入する針を備えた細胞内小器官をもつ細胞がある刺胞動物の一種です。オルドビス紀には、隔壁が4を基数とする四射(ししゃ)サンゴや方解石の骨格で分けられたポリプとして知られる六角形の細胞が蜂の巣に似たコロニーを形成している床板(しょうばん)サンゴが存在していました。

筆石は、その名前からも分かるように最初は石の一形態と考えられていました。それが1970年代になって電子顕微鏡が発達したことで口盲管(半索)という脊索に似た構造を持つ半索生物の一種である翼鰓綱(よくさいこう)に近い生物だと考えられています。

コノドントは、歯状の微化石で大きさはわずか0.2~1mm。その正体は長い間、謎に包まれていましたが、今はクリダグナサスなどの原始的脊椎動物の歯であると考えられています。

デボン紀後期

デボン紀後期

2回目の大量絶滅は、3億7400万年前のデボン紀後期、フラスニアン期とファメニアン期の境(F-F境界)に起きたとされています。

ダンクルオステウスなどの板皮類(ばんぴるい)や甲冑魚(かっちゅうぎょ)をはじめとした多くの海生生物を含む、全ての生物種の82%が絶滅したといわれています。

板皮類は、脊椎動物亜門の下位分類群の一つ、板皮綱に所属する魚類の総称です。海で多様な種分化を遂げ、ほぼ全世界の海域に分布していたそうですが、その仲間のほとんどはデボン期末までに姿を消してしまいました。

甲冑魚は、現生の魚類と比較すると体表がやや骨格化(あるいは無脊椎動物の外骨格の残滓)しており、特に頭部は堅い骨質板でおおわれ、甲冑をつけたように見えます。

ちなみに、ダンクルオステウスは、体長は6~9メートルもあり、最大級の個体では10メートルに達したと考えられている大型の生物です。しかも、積極的に獲物を捕食する獰猛な肉食魚であったと考えられています。

ペルム紀末

ペルム紀末

3回目は、2億5100万年前のペルム紀末(P-T境界)

地球の歴史上最大の絶滅ともいわれ、全ての生物種でみても90%~95%が絶滅したと考えられています。

すでに絶滅に近い状態まで数を減らしていた三葉虫はこのときにとどめをさされる形で絶滅しました。

古生代に繁栄した単弓類(たんきゅうるい)も多くが死に絶え、この時代を生き延びて三畳紀に繁栄した主竜類(しゅりゅうるい)の中で、気嚢(鳥類が備えている呼吸器官)により低酸素環境への適応度を先に身につけていた恐竜が後の時代に繁栄していく基礎となったとされています。

なお、単弓類の中で横隔膜を生じて腹式呼吸を身につけたグループは低酸素時代の危機を乗り越え、哺乳類の先祖となりました。

 

ちなみに、単弓類とは、脊椎動物のうち、陸上に上がった四肢動物のグループ(分類群)の一つで、哺乳類及び、古くは哺乳類型爬虫類(哺乳類の祖先で爬虫類に似た身体的特徴を多く持つ)とも呼ばれたその祖となる生物の総称です。

共通する特徴としては、頭蓋骨の左右、眼窩後方に「側頭窓」と呼ばれる穴がそれぞれ1つずつあり、その下側の骨が細いアーチ状となっています。

 

主竜類は、現生ではワニ、鳥類、過去においては恐竜に代表される爬虫類の分類群です。

一本ずつソケットに収まった歯(歯の安定性が増す)、二心室・二心房の心臓(体循環、肺循環を分離し酸素運搬能力が向上)、斜め下か真下から生えている四肢(他の爬虫類は体の真横から)、頭骨の眼窩(目の入る穴)の前方にあるもう一つ穴(前眼窩窓)、顎の筋肉のつくスペースの増大(咬む力の増強)といった特徴があります。

 

三畳紀末

三畳紀末

4回目は、1億9960万年前の三畳紀末(T-J境界)

アンモナイトの多くの種を始め、爬虫類や単弓類も大型動物を中心に多くの系統が絶え、全ての生物の76%が絶滅したといわれています。

その結果、当時はまだ比較的小型だった恐竜が以降、急速に発展していくことになりました。

アンモナイトは、海洋に広く分布し繁栄した、頭足類の分類群の一つ。全ての種が平らな巻き貝の形をした殻を持っているのが特徴です。

ちなみに、頭足類とは、軟体動物門 頭足綱に属する動物の総称です。
イカ、タコ、オウムガイ、コウモリダコもこの頭足類に含まれます。
体は胴・頭・足に分かれていて、足も多数に分かれています。触角はありませんが、軟体動物の中でも特に目や神経系、筋肉が発達していて、運動能力にすぐれています。

白亜紀末

白亜紀末

最後、5回目は、6550万年前の白亜紀末(K-Pg境界)

三畳紀後期からジュラ紀、そして白亜紀まで繁栄していた恐竜は、現生鳥類につながる種を除いて約6550万年前に突如、数日間のうちに絶滅したと考えられています。

翼竜(よくりゅう)、首長竜(くびながりゅう)、モササウルス類、アンモナイトが完全に絶滅したのもこの時期です。

全ての生物の70%が絶滅したとされています。

 

翼竜は生物史上初めて空を飛行した脊椎動物です。ちなみに、翼竜は恐竜ではありません。

同じ主竜類の別のグループになります。ただ、両者はラゴスクス類を共通祖先として持つ極めて近縁な動物群ではあります。

そして、翼竜と鳥類との関係も恐竜を介した間接的なものです。

首長竜は、中生代三畳紀後期に現れ、ジュラ紀、白亜紀を通じて栄えた水生爬虫類の一群の総称です。ワニ、トカゲ、亀のお仲間ということです。

首長流という名前の通り、ほとんどは首が長いのですが、首が短い属もあります。

水の中での生活に適するように四肢はヒレのように変化しており、尾も短かったそうです。

モササウルス類とは、白亜紀後期に繁栄した有鱗目トカゲ亜目オオトカゲ上科に属する、海生のトカゲからなるグループです。胎生であり卵を陸上に産む必要がなく、ウミガメよりも海中生活に適応していました。二列に並ぶ口蓋歯、緩く連結した二重関節の顎、短い肋骨、体をくねらせる遊泳・移動方法などといった特徴からモササウルスがヘビと共通の祖先から分化したと考えられている。

 

まとめ

大量絶滅(ビッグファイブ)について絶滅した生物を含めてまとめてみました。

大量絶滅の原因として、小惑星衝突やガス放出微生物,火山噴火などが考えられています。

世界は地球史上6回目の大量絶滅を迎えつつあり、これまでの約100倍のペースで生物種の消滅が進んでいるとした研究論文が2015年に発表されています。

その中で、人類の活動が支配的になる以前の生物種の自然な消滅ペースと現在の消滅ペースを比較し、前世紀の脊椎動物の平均消滅速度は、控えめにみても人類の活動がなかった頃の最大114倍にあたるとも述べています。

今一度、人類としての在り方を見つめなおす時期なのかもしれません。

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この記事を書いた人

研修医期間終了後、神経内科医として主に急性期病院にて13年間勤務。
3年間の回復期病棟での勤務を経て、平成24年より在宅医療に従事。2018年5月ヘテロクリニック開設。

多くの患者さんにかかわる中で、より健康であるためには、病気にだけフォーカスをあてるのでは不十分なのではないかと実感し、医療の分野以外にも学んでいる。

高齢になっても若々しく元気な方たちの特徴から、自分らしく生きることが重要性を感じ、そのためのツールとして脳と心についての情報をフェイスブックページやホームページを通じて発信している。

日本内科学会 内科認定医、日本神経学会 神経内科専門医、医学博士、認定産業医、日本臨床栄養協会 サプリメントアドバイザー、感情カウンセラー協会認定 感情カウンセラー、リズ・ブルボーのからだの声を聞きなさいスクール カウンセラーコース終了、NLPプラクティショナー、著書に『クスリに頼らない免疫力向上計画』(みらいパブリッシング)、『脳の取扱説明書』(みらいパブリッシング)

HP:https://hetero-clinic.com/
HP:https://www.harmonista.org/
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