地球の歴史 カンブリア紀の不思議な生物、カンブリアンモンスター

デボン紀後期

顕生代の最初の時代、古生代のもっとも古いカンブリア紀。

先カンブリア時代から続くこの時代には、現在の生物と比べ、非常に奇異な姿をした生物が多く見られました。

そのため、この時代の生物を総称してカンブリアンモンスターと呼んでいます。

カンブリア紀をその時代を生きたカンブリアンモンスターとともにみていきましょう 。

 

この記事の目次

カンブリア紀とは

カンブリア紀とは

カンブリア紀は、約5億4200万年前から約4億8830万年前までとされています。

この時までは、地質学的証拠がほとんどありませんでした。

そのため、この時代より前の先カンブリア時代のことが分かってきたのは、比較的最近のことです。

それまでは、このカンブリア紀が地球の状態を推測できる最初の時代でした。

カンブリア紀の岩石が出土し研究された最初の地は、グレートブリテン島の南西にあるウェールズです。そのラテン語名「カンブリア」から、アダム・セジウィックによって命名されました。

 

カンブリア紀の地球環境

カンブリア紀の地球環境

この時代の地球の気候については、あまり分かってはいませんが、氷河期も終わり、温暖で湿潤だったのではないかと考えられています。

先カンブリア時代に形成された海洋が地球のほぼすべてを覆いつくし、南半球にゴンドワナ、ローレンシア、バルチカ、シベリアの陸地が存在したとされています。

 

ただ、このころはまだオゾン層が形成されていなかったため、有害な紫外線が多く、生物が陸上で生活するには過酷な環境であったと考えられています。

そのため、この当時は生物のほとんどが水の中で生活していたそうです。

海の植物性プランクトンにより形成された酸素が大気上で増え、オゾン層ができてきたのが約4億4370万年前に始まったシルル紀。その頃からようやく陸上で生活する動物が増え始めます。

 

カンブリア紀の生物

カンブリア紀の生物

カンブリア紀は生物の進化の上で、非常に重要な時代です。

それまでは地球上に存在しなかった多様性を持つさまざまな生物が誕生しました。

 

突如として今日みられる動物の全ての門(ボディプラン)が見られるようになった現象は、カンブリア大爆発とも呼ばれています。

とはいっても、最近になってカンブリア大爆発以前の先カンブリア時代、6億年~5億5千万年前にはすでに38の動物門すべてが誕生していたらしいことがわかってきました。

 

カンブリア紀の生物の特徴

カンブリア紀の生物の特徴

では、カンブリア大爆発での生物相の大きな変化は何だったのでしょう。

5億4300万年前~5億3800万年前までに突如として当時存在していたほとんどすべての動物門が、身体を覆う硬い殻を獲得したことだといいます。

それまで、つまり先カンブリア時代までは生物はどれも似たような形をしていました。

それが、それぞれの動物門に特徴的な多彩で複雑な形状を持つ、つまり見た目にも多様性のある生物が突如として現れたということです。

その時代の生物たちは、今の時代からだと奇妙奇天烈に思えるものも多く、さながら地球上が生命の大実験場のようだったともいわれています。

 

一説に、生物が外見的な多様性を持つきっかけとなったとも考えられているのが、重要な感覚器官である「眼」の獲得です。外の世界を見ることができるようになったことで、食物連鎖の流れが加速したと考えられています。

つまり、別の視点からみると食べられてしまう危険が増えたということです。

そのため、硬い殻をまとい、そして淘汰の結果、多様な外観を持つようになりました。

そして、この背景には、真核生物が誕生し、遺伝情報を多く蓄えられるようになったこと、有性生殖を行うことで少しずつ環境に適した形に変わっていけたことという今まで獲得した生物の進化があります。

更には酸素濃度の急激な上昇二酸化炭素の減少利用可能なリンの増加大陸棚面積の増大といった地球環境の変化が加わったことで複雑な生物が生き残りやすくなったことがあります。

満を持して、カンブリア大爆発が起こったというわけです。

次に、当時、実在していた不思議な生物についてみていきましょう。

 

アノマロカリス

アノマロカリス

カンブリア紀を代表する生物で、最大最強の捕食者と言われています。

その部分化石がエビの仲間の腹部と考えられたことから「anomalo-(奇妙な)+caris(エビ)」という意味でアノマロカリスと名付けられました。

 

体長は約2メートル、1対の飛び出した目を持っていました。

平らで楕円形の身体にはヒレのようなものがたくさんついており、丸い口には歯があり、エビの胴体のような触角を使って獲物を口に運んでいたそうです。

 

アノマロカリスはカンブリア紀からオルドビス紀、シルル紀を経て、デボン紀の前期まで生き残っていたことが分かっていますが、大型のアノマロカリスはオルドビス紀後半に起こった大量絶滅によって地球上から姿を消したとされています。

ちなみに、そのときの大量絶滅の原因は諸説あるものの地球近くでの超新星爆発によるガンマ線バーストだとされています。

 

オパビニア

オパビニア

5つの目と鋏をそなえた吻、両側にヒレが並ぶ胴体という独特の見た目をしています。

5つも目があった理由に関しては、当時の生物の目は非常に原始的で数で補っていたのではないかと考えられています。

体長は4~7cm。そのあまりに変わった姿から復元されたものを公開したときには爆笑が起こったそうです。

発見されたオハラ湖近くにあるオパビン峠から名づけられました。

海底に生息し、やわらかいものを食べていたと考えられています。

 

三葉虫

三葉虫

三葉虫は、カンブリア紀からペルム紀まで古生代を通して、約3億年もの長い間、地球上に生息していました。

発見された化石の数も多く、三葉虫を基準に年代を特定する示準化石としての役割も果たしています。

多数の体節を持ち、各体節に1対の付属肢があったと考えられています。

甲羅の特徴は縦割りに中央部の中葉とそれを左右対になって挟む側葉となっており、この縦に三つに分けられた構造が三葉虫という名前の由来です。

節足動物に分類され、一見すると昆虫のようですが、海底を這ったり泳いだりして生活していたと考えられています。

体調は小さいものだと1cm。大きなものだと60㎝。ちなみに発見された三葉虫の最小は0.2mmだそうです。

 

三葉虫の中に眼を持っている種類と眼を持たない種類がいることから、眼を持った最初の生物ではないかとの説もあります。

この三葉虫の絶滅の原因がペルム紀の大量絶滅です。
これは、「スーパープルーム」という火山の異常な活性化で噴出した多量の溶岩によって、陸上はマグマで覆われ、地球の至るところで異常気象が発生したせいではないかとされています。

 

ハルキゲニア

ハルキゲニア

細長い体にたくさんの脚、背中にはたくさんのトゲトゲがついています。

全長は0.5cm~3cm。脚は7~8対。脚の対数に応じたトゲを持っています。

脚の先には1対の爪があり、構造は現存するカギムシのものに似ているそうです。

 

この奇妙な形から化石発見当初は「他の生物の破片」だとか「上下と前後をまったく逆の姿」で考えられたりしました。

なんとハルキゲニアの本当の頭がみつかったのは、2015年。

ケンブリッジ大学の研究者により発見され、新しい再現図を公表しています。

今まで頭だと思われていたところは単なるごみで、その下から小さな口と2つの目を持った細い頭部が見つかったのだとか。

 

ピカイア

ピカイア

ピカイアはカンブリア紀中期の海に生息していた原始的脊索動物です。

ピカ山のふもとから発見されたことからこの名前が付けられました。

このピカイアの存在が、他の多くの動物門と同じくカンブリア爆発のときに脊索動物が登場したことを示しています。

 

体長は4cm弱。ナメクジウオに似ていますが、呼吸器や摂食器官はナメクジウオに比べると原始的です。

眼を持たず、筋節を持ち、体をくねらせて泳いでいたのではないかと考えられています。

他の多くの生物が大量絶滅でなくなる中、弱そうなピカイアは生き残り、子孫を残していますが、その要因は未だ謎のままです。

ミロクンミンギア

ミロクンミンギアは、カンブリア紀前期中盤の海に生息していた脊索動物です。
今まで知られている中で最も古い魚類としても有名です。とはいっても、あくまで無顎類まで含めた広義の魚類の中ではということではありますが。

体長は2.5cm~5cm。エラと頭部があります。ただし。尾びれはありません。
軟骨による構造があったのではないかと推測され、眼があったと思われる化石もみつかっています。

ミロはギリシャ語で魚という意味で、クンミンは発見された昆明から名づけられています。

まとめ

カンブリア紀について、当時生息していたカンブリアモンスターとともにまとめてみました。

いろんな条件が整い、一気にすべての動物門が出そろったといわれるこの時代。

大量絶滅により、現在はその姿を見ることはできませんが、現存する生物からは想像もつかないその姿は興味を掻き立てるものがあります。

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この記事を書いた人

研修医期間終了後、神経内科医として主に急性期病院にて13年間勤務。
3年間の回復期病棟での勤務を経て、平成24年より在宅医療に従事。2018年5月ヘテロクリニック開設。

多くの患者さんにかかわる中で、より健康であるためには、病気にだけフォーカスをあてるのでは不十分なのではないかと実感し、医療の分野以外にも学んでいる。

高齢になっても若々しく元気な方たちの特徴から、自分らしく生きることが重要性を感じ、そのためのツールとして脳と心についての情報をフェイスブックページやホームページを通じて発信している。

日本内科学会 内科認定医、日本神経学会 神経内科専門医、医学博士、認定産業医、日本臨床栄養協会 サプリメントアドバイザー、感情カウンセラー協会認定 感情カウンセラー、リズ・ブルボーのからだの声を聞きなさいスクール カウンセラーコース終了、NLPプラクティショナー、著書に『クスリに頼らない免疫力向上計画』(みらいパブリッシング)、『脳の取扱説明書』(みらいパブリッシング)

HP:https://hetero-clinic.com/
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