私たちの住む星「地球」。数えきれないほどの多くの惑星が存在する中でも生物が誕生する環境が整った珍しい、幸運な惑星だといわれています。
この地球は、どのようにして誕生したのでしょうか、地球誕生の謎についてまとめてみました。
地球の元、原始地球誕生まで
宇宙誕生のきっかけとなるビックバンが起きたのが今から約138億年前。
参考)宇宙誕生の謎―ビッグバンー
その後、宇宙は拡大を続け、約46億年前に太陽系が形成され始めました。
参考)宇宙の神秘―太陽系ー
また、太陽が生まれた後に残ったガスやチリなどは、次第に太陽の周りを回り始めます。
そして、これらが衝突しあうことで、微惑星という直径数kmほどの小さな惑星が形成されました。
これが地球誕生の始まりです。
微惑星は、衝突・合体を繰り返し、小さいものは大きいものに吸収されていき、徐々に1つの惑星へとまとまっていきました。
地球の元である原始地球の誕生です。
原始地球から地球へ
原始大気誕生
原始地球の半径が今の地球の約2割、1500kmくらいになると、衝突脱ガスを起こすようになりました。
衝突脱ガスというのは、微惑星が1~2km/秒の速さで衝突するときに高温・高圧状態になって、中に含まれていた二酸化炭素や水、窒素などのガス成分が分離・蒸発し、放出される現象のことです。
衝突脱ガスという概念は、ある種の隕石(炭素質コンドライト)が惑星の素材であることから生まれたものです。
ちなみに、炭素質コンドライトとは、石質隕石のうち、いろいろな化合物や有機物の形で炭素原子を含むもののことをいい、気化しやすい成分を多量に含んでいるという特徴があります。
その隕石の中に含まれる揮発成分(ガスの成分)が大気になったという考えです。
隕石を熱くすると、二酸化炭素、窒素、水蒸気を主体とするガスの成分が出てきます。
原始地球が惑星の軌道上にあった隕石をすべて寄せ集めていくとき、隕石はまるで雨あられのように降ってきたはずです。
それら無数の衝突の際、隕石の中に含まれていた二酸化炭素や水、窒素などのガス成分は放出され、原始地球の周りを覆いました。
原始大気の誕生です。
原始大気は水蒸気を主成分とし、二酸化炭素や窒素、一酸化炭素を含んでいたと考えられています。
原始大気は、太陽組成原始大気(一次大気)に対し、二次大気とも呼ばれています。
ちなみに、太陽組成原始大気は水素とヘリウムを主成分とするガスです。
その名残は今もなお木星や土星などの大気でみられます。
これらの惑星の大気は、水素、ヘリウム、少しのメタンからなっています。
同じように原始地球も誕生のころには、このような大気で覆われていた可能性があるのです。
太陽組成原始大気の特徴は、水素の還元的性質が強い、つまりほかの物質があったときにその物質から酸素を奪う力が強いことです。
いっぽう、原始大気は酸化的であり、酸化物や酸素を奪う力がない状態です。
原始地球の大気がどちらからスタートするかは、地球の表面を考えるうえで重要な条件となります。
地球の核(コア)形成
微惑星が衝突して生じたエネルギーは、熱エネルギーに変換され、地球を加熱していきました。原始地球が大きくなるほど、衝突速度も速くなり、原始地球の半径が今の地球の4割程度になると、この衝突のエネルギーと原始大気中の水蒸気の保温効果によって原始地球の表面温度は上昇を始めました。
その結果、原始地球の半径が現在の半径が今の半分程度の大きさになったとき、地表の温度は岩石を溶かすほどに高温にまでなりました。そのため、原始地表が溶け出し、マグマ・オーシャンと呼ばれるマグマの海と化したのです。このときの原始地球の表面温度は1500~4700 度もあったとされています。
マグマ・オーシャンの深さは原始大気中の水蒸気量で決まるとされています。地球のマグマ・オーシャンの深さは表面から3~4割ほどの深さ、1000~2000kmもあったとされています。このマグマ・オーシャンの中では物体の重力分離が簡単なため、密度の大きな金属は地球中心部へと沈んでいきました。こうして地球の核(コア)が作られたのです。
海ができるまで
このように原始地球の表面がマグマ・オーシャンに覆われている間もその上空、大気の上層300kmくらいのところでは水蒸気が凝結し、雲となり雨が降っていました。とはいっても、そのときの地表の温度は非常に高く、その雨は地表に届くことなく蒸発していたのです。
しかし、地球の大きさが今の9割ほどにまで大きくなったころには、微惑星の衝突もおさまり地表の温度がさがってきました。それで、ようやくその雨が地表へ届くようになったのです。そして、その雨は地表を急速に冷やし、固めていきました。それにより、今まで大気中にあった水蒸気が一気に雨となり、地上に降り注ぐことになったのです。これが海の成り立ちです。およそ数百年~千年で海が出来上がったとされています。
このように海ができたことで、それまで大気中にあった二酸化炭素などの水に溶けやすい成分は海の中へと溶け込んでいきました。そして、二酸化炭素は、海水中にあったカルシウムやマグネシウムと反応して、石灰岩となり地殻に固定されたのです。結果として、今まで大気中で二番目に多かった二酸化炭素は奪われ、地球の大気の成分は水に溶けにくい窒素が主体となりました。これが、水を持たない地球型惑星の大気との違いの理由です。
ちなみに、現在の地球の大気中で二番目に多い酸素は、生命が生まれてからその光合成によって作られ、たまったものとされています。
地球誕生の新説―本当はもっと若かった―
通説では、地球は45億4000万年前に誕生したとされています。ところが、最近になって「若い地球説」というものが出てきました。これによると地球はまだ若く、6000年ほどしか経過していないというのです。
では、なぜこんなにも地球誕生の年に違いがあるのでしょうか?
そもそも地球が生まれたのが45億4000万年前だという説は、ダーウィンの進化論が大きく関係しています。地球ができて数億年後に海で生物が生まれ、長い年月をかけて単細胞生物→多細胞生物→魚類→両生類→爬虫類→鳥類→哺乳類という説です。つまり、この説が正しいとするなら人類がこの地球上に存在するためには数億年単位という年数が必要ということです。
では、新説はというと、これは年々衰退している地球磁場の衰退率、宇宙塵の堆積量、地球から年々遠ざかっていく月の距離から導き出されたものです。地球の磁場は大洪水の乱れによって一時的に反転や多極化などの変動を起こしましたが、全体の磁場エネルギーは減ってきています。その地球の磁場から考えると地球が生まれたのは最大で8700年前。それよりも前に地球が存在していたとすると地球磁場はあり得ないほど大きくなってしまうのだそうです。
ちなみに、地球6000歳説を最初にいったのはマルティン・ルター。とはいっても科学的根拠からというのではなく、聖書に書かれていることは正しいという理由からですが。そのころは6000年ほど前に地球が誕生したというのが主流の考えだったようです。
そして、その説を覆したのがダーウィンの進化論であり、隕石の放射線年代測定と地質学上の時間尺度がその説を支持したというわけです。もっとも、ダーウィンの進化論を根拠とするなら地球の年齢は46億年では多様な生物の進化を説明するには全然足りず、一説には3兆年必要だとか。
まとめ
地球の誕生についてまとめてみました。
技術の発達によりいろいろ明らかにはなってきていますが、地球が誕生した時期すらいまだ議論の余地が残されているなど、未だに多くの謎が残されています。
もしかすると今後も今の常識を覆すような新たな発見があるかもしれません。