全球凍結があった古原生代。
過酷な地球環境の変化があった後、地球はどうなったのでしょうか。
それまでとは違った状態への大きな変革、発展の時代でもある中原生代。
まずは大陸の変化とそのメカニズムを中心にみていきましょう。
中原生代の概要
中原生代は、16億年前~10億年前。原生代の中で古原生代の後、新原生代の前という半ばの時代を指します。
この時代の大きな出来事は大きく2つ。
1つが地球環境に関するもので、コロンビア大陸の崩壊とロディニア超大陸の形成。
そして、もう1つが地球に住む生命体の変化である有性生殖の発生です。
コロンビア大陸
コロンビア大陸は、約18億年前から15億年前に存在していたと考えられている超大陸であり、ハドソンランドとも呼ばれています。
コロンビア大陸はローレンシア大陸、バルディカ大陸、ウクライナ大陸、アマゾニア大陸、オーストラリア大陸などのクラトンで構成されています。これに加えてシベリア大陸、北部中国大陸、カラハリ大陸などのクラトンで構成されていたとする考えもあります。
ちなみに、大陸地殻(地球化学的に深さごとに分けたときの最外側)のうちクラトンはカンブリア紀以前に安定した部分を指します。
ローレンシア大陸は、約19億年前に形成されたとされる最古の超大陸で、現在のグリーンランドを含む北アメリカ大陸の主要部分と、スカンジナビア半島を中心とするヨーロッパ大陸の一部に相当します。
バルディカ大陸は、現在はユーラシア大陸の北西部を構成している東ヨーロッパクラトンに含まれます。18億年前にはコロンビア大陸の一部でしたが、15億年前にはアークティカ大陸や東南極クラトンとともにヌーナ大陸と呼ばれる小さな超大陸を構成していたとされています。その後、今から11億年前には超大陸ロディニアの一部であったといわれ、その後もいろいろな歴史をたどり、現在はやや小さな超大陸であるアフロ・ユーラシア大陸の一部を成しています。
つまり、当時の地球の大陸は今のように6つの大陸に分かれていたわけではなく、1つの陸塊として存在しているという今とは全く違う様相を呈していたということです。
コロンビア大陸の存在を裏付けるようにオーストラリアの北東部の小さな町、ジョージタウンから17億年前のものとされるカナダの一部とみられる岩石がみつかっています。
これはおそらくカナダ楯状地の岩石とのことですが、これがオーストラリアにあるということは17億年前にはカナダとオーストラリアがつながっていたということになります。
パノティア大陸とプレートテクトニクス
パノティア大陸は、約15億年前~10億年前に存在していたとされる超大陸です。
この大陸が存在した根拠というのが、プレートテクトニクスです。
プレートテクトニクスとは、プレート理論とも呼ばれ、1960年代後半以降に発展した地球科学の学説です。
大陸移動説
プレートテクトニクスの理論の元になったものが、1912年にドイツのアルフレート・ヴェーゲナーが提唱した大陸移動説です。
これは、かつて地球上にはパンゲア大陸と呼ばれる1つの超大陸のみが存在していて、これが中生代末より分離・移動して、現在のような大陸の分布になったというものです。
ヴェーゲナーがこの考えを思いついたのは、大西洋両岸の大陸の形状(特にアフリカと南アメリカ)が一致していたことによります。
彼が大陸移動説の根拠として挙げているのが、以下のものになります
・大西洋両岸の大陸を、海岸線ではなく大陸棚の端を使ってつなぎ合わせるとうまく一致する。
・地殻表面の高さの頻度曲線をとると陸地と海底によって代表される2つのピークが存在する。つまり、大陸地殻と海洋地殻が2つの異なった層であり、もとから成り立ちが違う。
・アフリカ、南アメリカ両大陸の大西洋両岸における地質構造が一致する
・古生物の化石の分布。グロッソプテリスの化石は南アメリカ、アフリカ、インド、南極、オーストラリアから発見されている
・ある種の生物が非生息地を挟んで、飛び離れた生息分布息を持っている(隔離分布)
・南アメリカ東部の氷河の擦痕の方向が、現在は大西洋があるところから氷河が流れてきていることを示している
プレートテクトニクス理論
では、プレートテクトニクスとは、いったい何なのでしょうか?
地球の表面では、地震や火山の噴火をはじめとするいろいろな変動が起きています。このような変動がなぜ起きるのかを研究する学問分野をテクトニスといいます。
つまり、プレートテクトニスは,そのような変動を説明する学説の一つなのです。
具体的には、地球の表面には,厚さ100 km程度のリソスフェアと呼ばれる堅い層があり、その下には軟らかいアセノスフェアという層があります。
リソスフェアの広がりをプレートといい、プレートはアセノスフェアの上を運動しています。
地球の表面は一枚の岩層でできているのではなく、10数枚のプレートでおおわれています。
プレートとプレートが接するプレート境界で地震や火山など地学的変動は起きます。
リソスフェアとアセノスフェア
地球の内部構造を分けるのには、2種類の方法があります。
一つはどんな物質でできているかという岩質 (組成) による分け方、そしてもう一つは、剛体であるかないかという力学的な違い (流動しやすさ) による分け方です。
リソスフェアとアセノスフェアは地球の表層を流動性を基準にして分けたときの呼び方です。
リソスフェアは、地表から上部マントルの低速度層のはじまる深さまでの比較的硬い層を指し、地殻と上部マントルの最上部で構成されています。岩石圏や岩圏と呼ばれることもあります。
プレートとほぼ同じですが、もともとプレートテクトニクスにおいて、「プレート」は剛体、つまりいかなる力が加わっても決して変形しない理想的な物体として定義されているのに対して、「リソスフェア」という言葉は地球表面で弾性体として挙動する部分を指しています。
アセノスフェアはリソスフェアの下に続く低速度層で、基本的には固体ですが流動しやすい層です。岩流圏とも呼ばれています。
プレート移動の原動力
以前は、プレートが対流するマントルの上に乗ってベルトコンベアのように移動すると考えられていました。
しかし、最近ではこの説は古く間違いであるとされています。
未だ、プレートが移動する原動力に関しては明確な答えは出ておらず、推測の域を超えてはいません。
その中で、有力となっている説は、海嶺(かいれい)で新しいプレートを生産し(発散境界)、海溝で古いプレートが沈み込み消滅する(収束境界)というサイクルです。
そしてプレートを動かす原動力は、「スラブ引張り力(海溝でのプレートの沈み込みによりプレート全体を引っ張る力)」が約95%で、残り約5%が「海嶺の押し力」とされています。
では、海嶺とはなんでしょう。
海洋プレートが両側に引っ張られてできた地表の割れ目をそのすぐ下のマントルが上昇して埋めます。岩石は浅いところでは圧力が低くなるため融点が低く、低温でも溶けやすい状態になります。
そのため、初めは固体だったマントルに部分融解が起こり、マグマが発生し、火山活動が起こります。海底までやってきたマグマは、冷え固まって、新しいプレートと海洋地殻が生成されます。そうしてできた大規模な海底山脈のことを海嶺と呼びます。
プレートの境界の種類
プレートの境界は、大きく 発散境界、横ずれ境界、 収束境界の3種類に分けられます。そして、これらのプレート境界では、それぞれ性質の違う特徴的な変動が起きています。
発散境界
プレートの発散境界は、プレートが誕生し、二つに分かれて遠ざかって行く境界です。その典型的な場所が大西洋、インド洋などの大洋底の中央海嶺です。
中央海嶺という海底の大山脈は、地下深部からのマグマの突き上げによって盛り上がったものです。海嶺の中軸部では、押し曲げに伴う引っ張り力によって裂け目が生じます。その真下では、地震活動が活発に起こります。
横ずれ境界
プレートの横ずれ境界では、2つのプレートが水平方向にずれ動きます。
その最も大規模な境界は、アメリカのカリフォルニア州西部を南北に貫くサンアンドレアス断層です。ここでは太平洋・北米の両プレートがこすれ合い、1906年のサンフランシスコ地震など、大地震を繰り返し発生させています。
収束境界
地球の表面積は一定なので、中央海嶺で次々に生産されるプレートはどこかで消費されていなければ収支勘定が合いません。その消費場所がプレートの収束境界です。
収束の形態によって、沈み込み境界と衝突境界に分けられます。
沈み込み境界
沈み込み境界では、海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込むかたちで余剰の体積を処理しています。これに伴って沈み込み口に大規模な沈下が生じ、海溝が形成されます。
ここは、地震活動も火山活動も地球上で最も活発な地帯であり、日本列島はまさにそのような場所に位置しています。
衝突境界
衝突境界の典型的な場所は、ヒマラヤ−チベット高原です。ここでは、ユーラシアプレートに対してインド半島を乗せたインド・オーストラリアプレートが北進し、両プレートが正面から衝突しています。
プレートの余った体積は、上にはみ出して世界の屋根といわれる大山塊を造るとともに、下方にもはみ出して山地の下に巨大な根を形成しました。そのため、この地域では地殻が非常に厚くなっています。
まとめ
中原生代でおきた大陸の変化について、そのメカニズムを中心にまとめてみました。
1つの大陸だったものが、いくつかに分かれることにより、それぞれの地球環境に適応した種の進化や多様性をもたらし、生物の生き残りにつながっていったような気がします。
それを考えるとこの大陸の移動というものは、地球に住む生物にとっても重要なできごとだったのかもしれません。