自分のことがよく分からない人は自己評価が低いのかもしれません。
自己評価が低いことと自分のことがよく分からなくなるのは一見関係のないことかもしれませんが、実は自己評価が低くなる原因と自分のことがよく分からなくなる原因は共通しています。
原因となるのは「抑圧」です。
例えば幼い頃に
- したくもない習い事をしていた
- やりたくない勉強を頑張っていた
- よく親に怒られた
- なにかと注意されていた
- 学校があんまり好きではなかった
- やりたいことが思い切りできなかった
などの経験が抑圧になります。
自分を抑圧する環境で育つと自己評価が低くなる傾向があり、自己評価が低い人の特徴のひとつが自分のことがよく分からないというものです。
- 必要以上に「やらなきゃ!」と感じている人
- 「やってもやっても足りない気がする」
- 「なかなか満足できない」
- 「自分なんて大したことない気がする」
- 「人に意見を言うのは苦手で人前で自分らしく振る舞えない」
…そんな人も多そうです。
自己評価が低い人の特徴と原因の抑圧、改善方法についてまとめました。
自己評価が変わると見える世界が変わります。
自分に対する評価や見方が変われば、世界の見方も変わるからです。
新しい世界に行ってみたい人はぜひ読んでみてください。
自己評価が低い人の特徴
1.自分のことがよく分からない
自分が何をしたいか、どんな人間かが分からなくなる傾向があります。
自分の感覚や価値観を育む前に、別のものを植え付けられてしまうからです。傷つくと分かっていても「自分のことを教えてほしい」とあえて自分の欠点を知りたがったり、他人からみてどう思われるかを聞きたがることもあります。
2.自分の意見を言わない
自分の判断軸を持つことができないまま成長する傾向があります。
自分と他人の意見の境界線がはっきりしないため、自分の意見がよくわからなくなってしまいます。
また、仮に自分の意見があったとしても否定されることを恐れて中立を守ろうとします。幼い頃に自分の意見を否定されたり、意見を押し付けられたりすることが原因です。
3.自分に厳しい
自己評価が低い人は自分に対して厳しい見方をしています。自己評価が低いのはその結果です。
ちゃんと仕事をしているのに「やっている仕事量が少ない」と感じたり、「本当はもっとできるはず」と感じてしまいます。
本人の感覚とは違い、周りからはまじめに仕事をしているように見えてるか、よくできる人だと思われていることがあります。そんな意見を聞いても信じない人も多いです。
4.人の批判をする
自分に厳しい人は他人にも厳しくなります。
「これだけやるのが当たり前」という感覚なのでその基準を他人にも当てはめてしまいます。
自分にも他人にも厳しい人ということです。無意識に「やらなきゃ」「こうせねば」が原動力になるので、無理をしているのが他人への批判として現れます。
「なんでこんなに簡単なことができないの?」なんて思うこともあるかもしれません。
5.否定的な言葉を使う
自分に満足することが難しいので改善点や反省点をいつも探しています。
ネガティブなところばかりに目がいくため否定的な言葉を使うことが多くなります。「でも」「どうせ」「自分なんて」などです。
6.褒められると居心地が悪くなる
自分の評価が低いので、褒められるとどうしたらいいか分からなくなることがあります。
「こんな褒め言葉をもらっていいのだろうか」と考えて受け取れなかったり、相手が嘘をついているような感じがして褒めてくれた相手を疑ったりします。
一方で自己評価が低いので自分を大きく見せようとしたり、自慢話をしがち、自分の悪いところを認められないという傾向も持ち合わせています。
原因
1.抑圧(間接的な否定)
自己評価が低くなる原因は抑圧された環境にあると書きました。
原因についてもう少し詳しく書いてみようと思います。抑圧された環境というのは間接的なものと直接的なものがあります。
間接的なものは一見分かりずらいですがやりたくないのにやっていたことがある場合です。
具体的には本人は習いたくない習い事をしていたとか、行きたくないけど塾に行って勉強していたとかです。
やりたくないことをやると自己評価が低くなるのはなぜでしょうか?
やりたくないことやらされるのが否定されるのと同じことだからです。
例えば私は書道教室に通っていました。
本当は行きたくなかったです。わざわざ書道セットを準備して、書きたくもない文字を書いて苦痛で仕方ありませんでした。本当は家にいたかったです。冬なんて寒いし、なかなか支度も進みません。気分もどんよりしていました。
でも、行けば親が認めてくれるのでそれと引き換えという心境でした。そのうち自分が本当は何をやりたいのかわからなくなりました。
書道教室に通いたくて通うと純粋に書道を楽しめるかもしれませんが、無理やり通わされた場合はいろんなことが否定されます。
その時間にやりたいことがあったとしたら、その気持ちは否定されますし、書道に行きたくない自分も無理に行くことでないがしろにされて否定されます。
否定され続けることで自分の価値を低く感じます。その結果、認められるためにやらなきゃいけないことをやるようになります。
そうやって否定を積み重ねて自分のことがよくわからなくなっていきます。
分からないと主体性・自分軸がなくなり周りにも振り回されます。
自分のことがよく分からないと自分と他人の境界線が曖昧になるので自分の意見と他人の意見の違いがよく分からなくなるり、意見が言えなくなります。
さらに自分の本音で選択する機会が少なくなってくると、自分で考え、失敗を学びにかえる機会も少なくなります。これは自分への信頼を育む機会を逃していることです。
こうやって否定の産む悪循環へと突入します。
2.抑圧(直接的な否定)
直接的に否定された場合も同じことです。
間接的な否定よりもわかりやすいかもしれません。親によく怒られたり、否定されたりすることによって自己評価が下がります。
威圧的な態度を取る大人が身近にいた場合も同じことです。よく怒る母親、厳しく威圧的な父親などです。先生が怖かった人もいるでしょうか。否定の産む悪循環は間接的な否定と同じです。
自己評価が低い原因は直接的、もしくは間接的(抑圧された環境)に否定されることで自分への肯定的な感覚を育むことができなかったからだと考えられます。
改善方法
肯定的な感覚を成長過程で育むことができなかった場合はどうやって育めばいいのでしょうか。いくつか自己評価が低いことの改善方法をご紹介します。
自己評価が低いことを認める
自己評価が低いことに対してネガティブな印象はありますか?
自己評価が低いことが生きづらさの原因になるのは事実ではありますが、それ自体はネガティブでもポジティブでもありません。「自己評価が低い」という事実と「それが生きづらい」という事実があるだけです。
「自己評価が低いことをダメだ」とネガティブに思ってしまう場合はまずは何よりも先に「今はこれでいい」「自己評価が低いのは仕方がない」と現状をあきらめたり開き直ったりすることをするのが重要です。
自分のことを改善していい状態になっていくのは望ましいことですが、改善しようとすることが自分への否定を含んでいることは多いです。
今の状態じゃだめだから(←自分への否定)改善するのではなく、別に今のままでもいいけど(←自分を否定していない)望ましい方向に変化しようとするのが重要なことです。
自己評価が低いのは自分への否定感が大きな原因なのでそこに否定を重ねるのは改善を妨げてしまいます。
「今はこれでいい」は魔法の言葉です。ぜひ使ってみてください。
嫌なことをしない
自分を否定しないように注意した上で嫌なことをしない、というのをやってみて下さい。
やりたくないこと、嫌なことをするというのは自分を否定することになります。
まずは、ずっと重ねてきた否定を少しでも軽くしていくことを優先します。
自分のことを知るのに嫌いなことを知るのは案外有効です。
どんなことはやりたくないか、一度考えてみてください。
それが思いついたら、なるべく嫌なことをしないですむように考えてみましょう。
素直な気持ちで過ごす
抑圧された環境で自分の素直な感覚をキャッチすることをなかなかできずに過ごしてきた可能性が高いので素直な感覚に耳を傾けることは大きな癒しになる可能性があります。
日々食べるものを自分の本当に食べたいものにする、寝たい時間に寝るようにするなどは比較的やりやすいのではないかと思います。
難しく感じる場合は身体の感覚をキャッチするのがオススメです。
たくさん歩いて疲れたとか、肩が凝っているとか、伸びをしたら心地いいとか、とらえやすいところから素直にとらえることに慣れていきます。
今まで蓋をしてきた感覚を大切にすることで否定感の軽減と自分に対して肯定的な感覚が育まれることが期待されます。
まとめ
抑圧的な環境で育つことは、否定を積み重ねて肯定感を育むことを妨げてしまいます。
その結果が自己評価の低さとして表れて、自分のことがよく分からない、自分に満足することができないとか、もっとやらなきゃいけないんじゃないかという感覚につながります。
積み重ねた否定を少しづつ少なくしていくこと、素直な感覚を大切に肯定感を育んでいくことを続けるうちに自分を評価するという感覚も和らいでくるかもしれません。
自己評価が低いって、自分の本当の姿を認めていないことです。
否定の重しを重ねて自分を小さくしてしまっているだけで、本当はもっと別の姿なのかもしれません。
重しがなくなれば、自然と本当の姿が見えてきます。
まずは否定という重しを軽くすること、試してみてください。