はじめに
社会人にとって、集中力が続かないことは大きな悩みのひとつでしょう。集中できないことで自信を無くし、さらに集中力が下がるという自己嫌悪のループに陥ってしまうことは少なくありません。
集中できない悩みを持つ人の多くは、集中力が高まる仕組みを知らずに、精神論に持ち込んでなんとか集中しようとします。しかし、こうした方法だけではうまくいきません。
今回は、集中力が続かない原因や集中力を維持できない人の特徴をおさえたうえで、集中力を高める方法について取り扱っていきます。自分自身が普段どのような行動をとっているのか振り返りながら、日常生活で活用してもらえたら幸いです。
集中力が続かない理由は?
集中力が必要な場面で集中力が続かない…もしくは、切れてしまう“原因”について考えていきたいと思います。
代表的な“集中力が続かない” 5つを紹介していきましょう。
睡眠が不足している
人は、睡眠不足になると、思考も働かなくなり、目の前のことに集中できなくなる側面があります。忙しい毎日を送っていると、なかなか十分な睡眠時間を確保するのは難しいことかもしれませんが、意外と睡眠不足が原因となっていることも多いようです。
休憩が不足している
どんなに集中力がある人でも、集中力の維持には限界があります。気持ちひとつで集中できるような気もするかもしれませんが、精神論でなんとかするのではなく、定期的に休憩を挟むことも重要です。
また、長時間活動した後に、まとめて休憩を取ればいいと考える人もいるようですが、肉体的にも精神的にも疲弊し切った状態で休憩に入ってしまうと、休憩後にいざ集中しようとしても集中するのは難しいといわれていることから、休憩不足が原因となっていることもあるといえるでしょう。
内容の理解が追いつかない
何か理解しようとしても理解が進まず、いたずらに時間ばかりが過ぎるなかで、考え続けてしまうことはないでしょうか。
難しいことを考え続けるにも限界があります。そして、難しいことに直面している時ほど、集中力は意外なほど早い段階で途切れてしまいます。
最悪の場合、集中力が切れていることに気が付かずに考え込んでしまうために、内容の趣旨から離れて、理解するどころか、手をつけられない状況になることがあります。
環境が整っていない
目の前のことに集中しようとしても、周囲の音や話し声…ノイズ等が気になり、うるさく感じて集中できないことがあります。例え自覚がなかったとしても、無意識に影響を受けてしまって集中できなくなることはよくあります。
体調不良や慢性的な疲労が蓄積している
集中という行為は、非常に体力を使います。頭痛などの体調不良や慢性的な疲労により、集中できる状況ではないこともあるでしょう。また、体調的な不調だけではなく、精神的な不調が原因で集中力がないこともあります。
気分が落ち込んでいたり、大きな悩み事を抱えていたりしている状況では、目の前のことに集中したくても、頭の中は悩み事でいっぱいになっていることから、注意が散漫になり、集中することが難しくなります。
以上、代表的な5つを紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。多くの人は、これらの状況や理由により集中力を維持し続けることができないと考えられます。
集中力が続かない人の特徴は?
集中力が続かない人は、無意識に集中力の維持を阻害するような行動をとっている場合があります。しかし、そのような人でも自分の癖を自覚することで、意識的に努力を重ね、集中力を発揮しやすい状況に整えることは可能です。
次は、集中力が続かない人によくある3つの特徴を紹介します。
評価を気にしすぎる
作業をしている時に人と比べたり、どうみられているか気にしたりすることは、目の前の作業ではなく、自分の評価に対して意識が向いている状態です。自分の評価を気にしすぎていると、目の前の作業内容が頭に入ってきません。
結果、集中しているつもりで、集中力不足の状態となるのです。
ながら作業をしている
ながら作業も、集中力を維持できない大きな原因のひとつです。一見すると、ながら作業をしている人は、集中力の高い人…のように映るかもしれません。
しかし、実際には複数のタスク処理を高速で切り替えているだけで、同時に複数のことに集中しているわけではありません。そのためなのか、ながら作業をしている時の生産性は、ひとつのことに集中している時よりも40%も落ちているといわれています。これでは、集中しているとは言えないことになるでしょう。
マイナス言葉を連発している
「なんだか、めんどう…」、「あ〜だるいなあ〜」等のマイナス言葉を思うだけでなく、発することで集中力は驚くほど低下します。もし、こうした言葉が口癖のように出てきてしまっているようであれば、集中力は続かない状態にあると考えた方が良いでしょう。
集中力を高めるためには?
これまで、集中力が続かない理由や、集中力が続かない人の特徴を考えてきました。では、集中力を高めて維持するためには、どのようなことを具体的に意識する必要があるでしょう。
集中力を高めたり、集中力を維持したりするための方法は、数多く紹介されていますが、ここでは、日常生活の中にある行動をもとに、特に集中力を高める方法を5つ紹介します。
睡眠時間を確保する
集中力を維持させるためには、しっかりと睡眠を取ることが重要です。
集中力が切れてしまう原因となるストレスや疲労も、眠ることで少なからず解消する事ができるでしょう。しかし、わかっていても確保することが難しいのも睡眠時間…かもしれません。
人によって適した睡眠時間は違います。短時間が適切な人もいれば、長時間睡眠が必要な人もいると思いますが、日常生活の中で工夫を重ねながら、意識的に睡眠時間の確保を目指してみてはいかがでしょうか。
もし、難しければ、15分程度の仮眠や目をつぶる時間を作るだけでも違うので、試してみてはいかがでしょう
。
ひとつにしぼる
集中力を十分に発揮するために、作業はひとつに絞って行うようにすることが大切です。ながら作業やマルチタスクは、注意力や意識が散漫になりやすく、集中力を阻害する原因となります。
そのため、作業に集中したい時には、ひとつのことだけに集中し、集中力が切れた時の気分転換として、他の作業を組み込むような方法で取り組むのがオススメです。
小さな目標を設定する方法で、集中力を育てる
集中力を高めたい時には、いきなり最終目標を目指すのではなく、その手前の段階である”小さな目標”を設定する方法で作業をすると、意外と集中力を発揮することができます。さらに、それらの設定した小さな目標を達成した際のご褒美を準備するようにすれば、達成感も同時に得ることができます。
日常にある当たり前と思っていることにも小さな目標を設け、目標達成する癖をつけることで、少しずつ“自信”がついていきます。小さなことと感じるかもしれませんが、小さな積み重ねを通して、やる気と集中力を育ててみてはいかがでしょう。
メリハリをつける
人が集中して作業できるのは、長くても90分程度といわれています。集中力が続かないままダラダラと作業を続けるよりも、適度な休憩を挟みながらメリハリをつけることで、集中力を維持した状態で作業を進めることができます。これは作業効率を上げるだけでなく生産性も向上していきます。
集中力が途中で切れる前に、時間の区切りをつけるようにして、メリハリある作業時間を確立してみてはいかがでしょう。
適度に身体を動かす
集中力を維持するためには、一定以上の体力が必要になります。日常から適度な運動を習慣にすることで、集中しやすい身体を作る事ができます。
また、長時間の座りっぱなし(デスクワーク等)による不具合には、腰痛やむくみが考えられます。こうしたことも集中力を阻害する原因となります。
定期的に席を立ち、ストレッチや気分転換をする工夫をしてみてはいかがでしょう。
さいごに
今回は、集中力が続かない原因、集中力が続かない人の特徴、集中力を高める方法について考えてきました。取り上げてきた内容は、すでにご存じのものだったかもしれませんが、無意識にやっている場合もあるので、たまに振り返ってみると良いと思います。
そもそも集中力は、やる気の有無で発揮されるようなものではありません。集中力が続かない原因を少しずつ減らしながら、集中できるように環境を整える工夫をしていくことが大切です。
また、集中力が必要になるのは、仕事だけでなく、プライベートや家族での人間関係や生活環境でも同じことかと思います。今回取り上げた集中力を高める方法は、目の前のやる事の成果をあげるコツともいえるものです。
まずは、試しに一歩動いてみるところから始めてみてはいかがでしょうか。試行錯誤を重ねながら、自分なりの“集中力向上・維持の方法”を見つけていただければ本望です。