前編では、幸せを望んでいるにもかかわらず、なぜほとんどの人が不幸になってしまうのか、その不幸の方程式というものを解き明かしました。
そして、幸せにシフトするにはどうすればよいかを5つのステップで説明しました。
まずは、①自分が感じていることに気づく、そして、②望んでいないもの、③望んだものを明確にする、④望んでいることと同じ波動になるというプロセスを経て、⑤幸せの流れにつながるということでしたね。
後編では、④のステップに取り組みやすいよう、上記の手順が有効である根拠の一つを示すとともに、考え方について具体例を挙げて説明していきます。
1.幸せの5つのステップの有効性
それでは、「苦しみの鎖」から解放され、幸せになれるソロモンの考え方を説明しましょう。(物語中では少女サラに説明)
わたしたちに向かっていつも流れ続けている混じり気のない「至福のエネルギーの流れ」が存在すると、ソロモンは言います。
それは宇宙に遍在する「生命の力」のようなもの。
地球を創り出したのも、美しい地球を存続させているのも、
他の惑星との間に完璧な距離を保ちながら軌道に乗って公転しているのも、
微生物の完璧なバランスを保っているのも、
地球の水循環を完璧なバランスに保っているのも、
眠っている間も心臓に鼓動を打たせているのも、すべてがそうです。
素晴らしい「オールイズウェル(すべてはうまくいっている)の流れ」があるのです。
普段気にも留めずに見過ごしていますが、改めて考えてみれば、その精妙で調和した働きは驚嘆すべきものです。
自分の内なる心に問いかけたなら、天然自然の調和の裏側にある目に見えない大いなる存在の意志の働きを感じられるように思います。
そして、その「オールイズウェルの流れ」は、毎日、毎晩、毎分、片時も休まずに私たち一人ひとりの中に流れ込んでいるといいます。
それはそうです。私たちも宇宙の一部なのですから、その偉大な秩序の例外であるはずがありません。
この流れを受け入れ、流れ込せたままにしておくことで「幸せの流れ」につながることができます。
ありがたいことに、必要なことは、ただ「心の扉を開く」だけでよいのですです。
「心の扉を開く」とは、「オールイズウェルの流れ」に共鳴共振する状態でいる、同じ波動でいるということです。
むずかしそうに聞こえるかも知れませんが、要するに「いい気持ち」でいることです。
具体的にやることは、「いい気持ちでいられるような考えを選択する」ということです。
ずい分と話がシンプルになりましたね。
【オールイズウェル(万事良好)の流れの存在】
2.幸せの5つのステップ 実践方法と具体例
(1)実践方法
おさらいすると、いい気持ちがしているときは心の扉が開いている状態であり、反対にいやな気持ちがしている時は扉が閉まっている状態です。
それを決めているのは、私たち自身がどのようなものの見方、考え方に注意を向けるのかです。
周囲の状況によってそう仕向けられるのではなく、自分でどちらを選ぶかを決めるのです。【自由意志による選択の法則】
もし誰かの言葉や周りの条件でいやな気持ちがしてきて抜け出せなくなったら、ソロモンがサラに向けて言った次の言葉を思い出してみてください。
「君の幸せが他の誰かがやったりやらなかったりすることにかかっている時、君は罠にはまっているんだ。
なぜなら、他人が考えることや行うことを、君がコントロールすることはできないからさ。
自分の喜びは他人にかかっているのではないということがわかったら、その時には、本当に自由になれるんだ。
【出したものを受け取る法則】
それは、君が夢見たことのあるどんな途方もない夢よりも素晴らしい自由だ。
そして、君が喜びを感じられるかどうかは、君自身が何に対して自分の注意を向けることを選ぶか、ということだけにかかっているんだよ。」
そして、ソロモンはサラに、どんな状況でも自分が選ぶことができることを思い出したら、「味わい愛でる」気持ちを感じさせてくれるようなことを考えることを勧めています。
「味わい愛でる」とは、対象である物事や人々に対して優しい気持ちを向け、最高の気分を感じさせてくれるような考えを見つけるということです。
しかし、怒りや恐れなど否定的な思いがあるものに対しては、なかなかむずかしく感じるのが普通ですよね。
イメージしやすいようにあとで具体例を紹介しますのでご安心を。
あと、誰かからネガティブなことを言われたりされたり、突発的なことが起きた時の対処について。
思わずむっとしたり、腹が立ったり、悲しくなったり、嫌な気持ちになったりするのは、今の時点では仕方がありません。
自動的に反応してしまうことなので、それ自体はいいのです。ただ、マイナスの連鎖、循環が進むのを止めることが、肝心です。
まずは、自分が反応したことを認識します。
そして、望まないことを素早く突き止めてから、すぐに自分が望むことに注意を向け直して、それに対して「これがいい!これを望む!」と思うことです。
先ほどの第③ステップから第④ステップへの流れを素早くやる感じですね。
(2)具体例
「サラとソロモン」には、サラがしてしまった嫌な気持ちになる考え方を、ソロモンがいい気持ちのする考え方に切り替えるよう指導する場面がいくつか出てきます。
◇足のわるいゾーイーお婆さん
最初は、近所に住む足の悪いゾーイーお婆さんについてです。
階段を上がるのにも苦労するお婆さんを見て、サラは幸せの流れを使ってなんとか助けたいと思いますがうまくいかず、残念な気持ちになります。
そこで、ソロモンがその場面での考え方を、具体的にいくつか示してくれます。
「あのかわいそうな老女を見てごらん。ほとんど歩くことさえできゃしない」
「お婆さんに、いったい何が起こるかわからない。階段をひとりで登ることだって、もう今はできない。もっとひどくなったら、彼女はどうするのだろう?」
「彼女のひどい子供たちは、いったいどこにいるんだろう。どうして、彼女のところにきて、世話をしてあげないんだろう?」
「お婆さんはしっかりしたお年寄りだ。独立していることが好きな人だと思う」
「誰かが彼女の世話をしてあげようとしたとしても、たぶん彼女はそれを望まないだろう」
「この素敵なお年寄りは、長い充実した人生を送ってきた。彼女が不幸せだということを示す根拠は全くない」
「彼女はたぶん自分が生きたいと思っている通りに生きているのだろう」
「彼女は今まで見てきたいろいろなことについて、面白い話をたくさんすることができる
にちがいない。私は時々彼女を訪ねて、何か聞いてみたい」
もちろん後になるほど、いい気持ちがする考え方の例になります。
大切なことは、お婆さん自身がどう思っているか、それが事実かどうかではありません。
今の時点で取りうる選択肢の中で、自分自身が「オールイズウェルの流れ」につながり続けられる選択をするかどうかが重要なのです。
もしこの先サラがお婆さんと話して、新たな事実が判明したとしたら、その時はまた、その時に取りうる選択肢からいい気持ちのする考え方を選べばいいのです。
◇大きなヘビ
次は、サラが道に横たわっている大きなヘビを踏みそうになる場面です。
もし踏んでいたらいったいどうなっていたのかと、想像で恐れをどんどん膨らませるサラに、ソロモンは次のようにさとします。
もし、ヘビを避けようとするあまり、すべてのヘビが隠れている場所を知らなきゃと考えたり、毒のあるヘビを見分けられるようにすべてのヘビの種類を覚えようとしたら、ひどい気持ちになるだろうと。
それよりも大切なのは、サラ自身がいい気持ちを感じること。
その考え方の例を教えてくれます。
「この長生きしている大きなヘビは、ただそこに横たわって日向ぼっこしている。冬が終わって、ヘビもうれしいのだ。日光はヘビにとっても気持ちがいい。ちょうど私にとっても気持ちがいいのと同じように」
「この長生きしている大きなへビは、私には全く関心がない。私がそばを走っていった時、ヘビは見上げることさえしなかった。ヘビには、小さな女の子に噛みつくことなんかより、他にもっとやるべきことがたくさんある。」
「私は実によく気がつく。私はヘビを見つけて、それを飛び越えてよかった。私がヘビの邪魔をせずにすんだから。ヘビも私に対して同じことをしてくれるだろう」
最後の考え方については、ヘビにも心の扉があること、それは常に開いていること(ヘビは天然自然の法則に則って生きているから)を追加で説明しています。
◇病気の人
最後に、サラは次のように質問します。
「でも、ソロモン、病気の人たちをわたしたちは助けなければならないでしょう? 病気の人たちに注意を向けることをしないで、どうやってその人たちを助けられるの?」
私たちの住む世界でも、実際に困っている人がいるのはたしかですから(本当はそのように見えるだけですが)、どう対処するのがいいのか、気になるところです。
それについて、ソロモンは次のように答えます。
「彼らを見ること自体はかまわないんだ。」
「彼らを病気の人だと思って見ないようにすること。」
「彼らを、健康を回復しつつある人として見るんだ。」
「それよりもっといいのは、彼らを健康な人として見ること。」
「あるいは、彼らが健康だった時のことを思い出すことだ。」
そうすれば、病気の人々を口実として、《万事良好》の流れが君の中に流れ込んでくるのを止めてしまうことがなくなるのだと。
かなり難易度は高めですが、高次意識からの視点で出来事を見るとこういう解釈も可能かもしれません。
まずは仮説として受け入れ、いい気持ちになることで、「オールイズウェルの流れ」とつながり、生命力が流入した状態でより実感を持って感じます。
このよい循環を働かせることで、「幸せの流れ」とのつながりをますます強固にすることができると思います。
3.まとめ
この記事を通して伝えたかった一番のこと、それは「幸せになるのに条件はいらない」ということです。
環境が整ったら幸せになれるのでもありません。
他人がどうあろうと、自分の力で幸せになれるということです。
すばらしい自由ですね。
まずは自分が注意を向ける方向、考え方を選択し、幸せになると決めることです。
ぜひわかってほしいのは、この方法が、単なる気休めや現実逃避などではないということです。
エイブラハムという意識体が言う通り、「波動共鳴の法則」「引き寄せの法則」をはじめ、この世界に例外なく作用している法則や、「オールイズウェル(万事良好)の流れ」が実際に存在します。
もちろん一朝一夕にそれらの法則やソロモンの5つのステップを、自由自在に使いこなすわけにはいかないでしょう。
しかし、筋トレのように焦らず、弛まず、あきらめずに、続けることで実力がつきます。
考え方への確信が高まり、どんどんやりやすくなって、難しい状況にも対処できるようになります。
いつでも自分で自分を幸せにできるという最高の自由を楽しんでくださいね。
(参考文献・「サラとソロモン」エスター&ジェリー・ヒックス著)
以上