中学受験に合格!の裏にある親子関係「支配する愛情」

人生には受験する機会がいろいろとあります。
幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、大学院、資格取得、就職・採用…。
その中でも「お受験」といわれるのが、私立または国立の幼稚園、小学校、中学校、高校を受験することです。
お受験の合格は、今までの努力が報われ、親子で喜びを分かち合える至福の瞬間です。
でも、合格後すべての人が順調にいくわけではありません。
今回は中学受験に合格!の裏にある親子関係にフォーカスして、その問題をみていきます。

 

この記事の目次

発達と受験と親子関係と

未就園児

未就園児

受験する子どもは2歳児、3歳児。
親との愛情関係を作る大切な時期ですが、親にとっては、他の子どもと比較して身体、運動、知能、情緒、社会性などの発達の差がとても気になる時期です。
早生まれだと1年の差があり、発達の個人差も大きく、わが子の一挙一動に親の気持ちがアップダウンしがちです。
また、第一次反抗期に入り自我が芽生え、イヤイヤが出てきます。
魔の2歳児といわれる時期です。
受験するかどうかは、子どもの意志ではなく、親主導、親の意向で決まる性質があり、親が子どもにさせるものとなります。
特に母親との関係が軸となり、多くの場合、子どもは親が作った道を歩かされることになります。

幼稚園児

幼稚園児

心身の成長が進むと共に、基本的な生活習慣が整い、家族だけの生活から同年齢の仲間との集団生活へ入って社会性を学んでいきます。

母親との関係は、母子一体から子離れ親離れの第一歩を踏み出す時期となりますが、子どもとの心理的距離が近いと子どもの成長に気づかないまま、あれこれと世話を焼き過干渉をしてしまいます。
小学校受験も幼稚園受験と同様、親主導で進められる性質があります。

小学生

集団や社会のルールを守ることを学びます。
同年齢、または学年の離れた子どもとの関わりが活発になります。

高学年になると自分の意見を持てるようになり、責任ということも学びます。
また、自己肯定感を持ち始める時期になりますが、反面、成長や発達の個人差も大きく劣等感を持ちやすくもあります。

中学受験では、この時期の親との関わりが重要です。
幼児期に引き続き、後で述べる「支配する愛情」で親との関わりがなされると、合格という結果は得られても、その後の人生に様々な問題を抱える可能性があります。

中学生

中学生

思春期前半は、第二次性徴期に入り男女の違いがはっきりしてきます。
第二反抗期が重なりますが、今までの親子関係で心理的癒着が非常に強い場合は、反抗らしい反抗もなく過ぎ去ってしまう場合があります。
子どもが思春期の母親のNGはこちらを参考にしてご覧ください。

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高校受験は、お受験をしてこなかった子どもにとっては義務教育が終わり、初めて受験する機会となります。
志望校の決定は成績が大きくものを言い、学歴社会の洗礼を浴び、合格への不安を抱えます。
子どもも自分の意見をしっかり言うようになってきており、親子のコミュニケーションが不可欠です。

高校生

思春期後半に入り、大人としての自立、社会への展望を意識するようになります。
思春期全般を通して、親子関係は親に反抗しながらも親に甘えるという複雑な心理状態が目につきます。
人間関係は友人が中心となり、悩みの相談相手も友人が上位にきます。
自分とは何者かを探求し、自身の能力も客観的に把握できるため、周囲からの期待と挫折の間で悩みを深くしていきます。
心身共に不安定な時期です。
受験、進路、生き方を主体的に考え、自分なりに選択しようとするので、子どもの意見に耳を傾け、尊重しようとする姿勢が親子間の信頼に大きく貢献します。

 

中学受験のメリット・デメリット

中学受験をするメリット・デメリットを挙げてみました。

メリット

・高校受験がないので、心理的な余裕ができる。
・大学附属の中高一貫校なら大学受験もないかもしれない。
・親子二人三脚で目標に向かう一体感を味わえる。
・勉強する習慣が身につき、学力が向上する。
・私学にとって親は「お客様」なので、カリキュラムや生徒への対応が細やかになる。
・教育環境が整っている。
・生育環境、学力レベルが似た生徒が集まるので安心できる。
・物事を成し遂げた達成感、満足感が自己肯定に繋がる。

 

デメリット

・小学校の同級生とのつながりや子どもらしく遊ぶ時間が減る。
・勉強に追われ、睡眠時間が少なくなり体への負担が大きくなる。
・受験に必要な学力にするまでの教育費(塾、家庭教師、講習会など)が高い。
・入学後も学費、修学旅行、同窓会などの経済的負担が大きい。
・親、子ども各々に合格への不安や焦りなど精神的負担がかかる。
・受験がゴールだと合格と共に燃え尽き症候群に陥り、また、入学した学校が合わないと不登校、退学することになるかもしれない。
・受験の反動や高校受験がないことから勉強に対してのモチベーションが維持できない。
・小学校ではよくできた子どもが成績不振に陥ると、自信を失う度合いが大きい。

 

支配する愛情の落とし穴

中学受験は親子の二人三脚

中学受験は親子の二人三脚

中学受験は親と子の共同作業という面が外せません。
子どもは勉強に勤しみ、学力の向上に生活の大半を割きます。
親はスケジュール管理、プリント管理、塾との懇談、塾の送り迎え、塾弁作り、志望校選び、睡眠時間、食事などの体調管理などを通して子どものサポートをします。
まさに子どもと二人三脚で乗り越えるのが中学受験なのです。

 

親子の心理的癒着

親子の心理的距離が近ければ近いほど、目標に向かって頑張る親子の一体感は増し、受験のプロセスにおいては追い風、後押しにもなり得ます。
しかし、忘れてはならないのが、親の心に「支配するのが愛情」という思い込みが忍び込んでくることです。
子どものためにサポートをしているのはもちろんですが、いつの間にか、子どもの成績が芳しくないと自分が否定されているように感じたり、子どもの成績が上がると自分が認められているように感じたりと、子どもへの評価が自分の存在価値と結びついてしまいます。
子どもと自分との境界がなくなってしまい、子どものこと=私のことになってしまいます。
これが、子どもを自分の思い通りに支配しよう、コントロールしようとする理由です。

 

支配する愛情

支配する愛情

こうなってくると、子どもの自主性を尊重するよりも親の考えややり方を押し付けるようになってきます。
課題が進んでいない、模擬試験の成績が上がらない、ぐずぐずして勉強しない、あれもこれもと子どもにガミガミ言ってしまい、子どもが思う通りに行動しないとイライラしたり、怒ったりします。

そして、不機嫌さを見せることで無意識に子どもを支配しようとしてしまいます。

また、時には、親が転ばぬ先の杖となって、子どもがやりたいと思っていることにあれこれ禁止や制限をして、子どもの行動を狭めてしまいます。
そんなことをしててはダメ!こうしなさい!と。
失敗を含め経験から何かを学ぶ機会を奪ってしまうのです。

子どもにとって親の不機嫌な顔を見るのはとても嫌なことです。
見たくないがために、親の顔色をうかがい、親の期待に応えようとして、親に従う術を覚えていきます。
子どもにも親にもその自覚がないまま、子どもはいつの間にか自分らしさを失っていくことでしょう。

 

そして、入学後

そして、入学後

合格して順調な学校生活が送ることができれば、何事もないように時間は進んでいき、大学受験もうまくいくかもしれません。
でも、成績不振に陥ったり、同級生との関係で悩みを抱えたり、何らかの挫折を味わった時、「親が勝手にレールを決めた」「親の言う通りやったのに」「受験なんてしたくなかったのに」と支配する愛情に反旗を翻し、不平不満が爆発する可能性が出てきます。
もしくは、あらゆることにおいて無気力になり、喜びを見いだせない学校生活を送ることになるかもしれません。
中学受験の精神的心理的なデメリットが表面化してきます。
中高一貫の6年間をこのような状態で過ごせば、次の大学受験の準備はもちろん、一個の人としての自立が遅れることになります。

 

尊重する愛情への脱出

尊重する愛情への脱出

中学受験のプロセスを振り返って思い当たる節があるとしたら、これからは子どもをいかに自立させるかという点にサポートポイントを切り替えていきましょう。
親としては寂しいでしょうが、親子の二人三脚からたった一人でも走れるように。
サポートポイントは次の通りです。

・子どもは自分と同じ一人の人間として尊重し、信頼する。
・子どもの意見に耳を傾け、途中で遮ることなく最後まで聴く。
・子どもがやりたいことを経験させてみる。
・失敗を責めず、そこから得られることにフォーカスする。
・子どもに意見する時は、感情的にならず、押し付けず、子どもの答えを待つ。

まとめ

受験での親子関係は、子どもの成長段階に応じて異なります。
どの時期を通しても適切な心理的距離を取ることが望ましいですが、中学受験は親子二人三脚という性質から心理的癒着が強くなりがちです。
気づいたら、子どもを自立させる方向にサポートポイントを変えていきましょう。

 

 

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この記事を書いた人

真に人間らしく健康に生きる方法を追求する実践家
カウンセラー/ヒーラー/リーダー/薬剤師

包丁を握りしめた夫婦関係の暗黒時代も「いつの間にか人間関係が楽になる3つのツール」で乗り越えました。
セカンドライフは夫婦円満、好きなことを仕事にして大阪と地方の二拠点生活を送っています。
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