「エンパス」という言葉を聞いたことはありますか?
エンパスとは、目に見えないエネルギーに敏感で、5感を通してキャッチする以上の情報、例えば他者の感情などを自然と捉えてしまう人や体質のことで「超・共感体質」とも呼ばれます。
一言にエンパスと言っても、人だけでなく動物や植物の感覚が自然とわかるなど、様々なタイプがあるようですが(それぞれの特徴については後述します)、例えば人間社会でいうと、自分と他者との境界線が曖昧であるがために周囲に飲み込まれやすいなど、そのエンパス能力が「生きづらさ」にもなってしまいがちです。
周囲の人の感情を、ネガティブなものであってもポジティブなものであってもスポンジのように吸収してしまうために疲弊しやすいのがエンパスの特徴ですが、自分が周囲の影響を受けていることには自覚がない場合の方が多いかもしれません。
(私自身もエンパスですが、自分がそういう体質だと認識がなかった頃には、無自覚にさまざまな影響を受けてしまっていました)
他者の感情を理解して共感する、これは日本人が得意とするところで、それ自体は決して悪いイメージはありません。
エンパスの場合は、他者への共感を超えて「同調」、つまり他者とエネルギー的に繋がり混ざり合ってしまう傾向があり、その結果「自分軸」を見失いやすく、知らず知らずのうちに周囲の人に自分のエネルギーを明け渡してしまうリスクもあります。
自分がエンパスの傾向を持っているか興味がある方は、インターネットで検索するとセルフで診断できるサイトがいくつもありますので、そちらを参考にしてみて下さい。
ここでは、一般的に言われている以外での、私自身やエンパス相談に来られるクライアントさんを見ていて共通すると思われる傾向をいくつか挙げておきます。
- 人が好き(だけど一人でいるのが落ち着く)
- 論理的処理より感覚的処理が得意
- なぜか方向音痴の方が多い
- SNSが本当は苦手
- シンプルなデザインを好む
- 憑依体質の傾向あり
この記事では、「私ってもしかしてエンパス?」という方のために、エンパスについての基本情報とエンパスさんのタイプ別の特徴について書いています。
エンパスとHSP
エンパスと似た概念に、HSP(highly Sensitive Personの略で、人一倍敏感な人と訳されます)というものがあります。
HSPは主に心理学の世界で使われる用語です。
HSPの方は匂いや音、光や触感など五感でキャッチする刺激に対してとても敏感で、普通の人に平気なレベルの刺激でもHSPの方とっては堪え難く感じてしまいます。
また、HSPの方の中にも「他人の感情」を察しすぎるがために、学校や会社などの集団生活の中では疲弊しやすいという方も少なくありません。
HSPに対して、エンパスはどちらかというとスピリチュアルな世界で使われることが多い用語です。
エンパスの特質の中にはHSPの「五感が繊細で感じやすい」部分はたいてい含まれると言われますが、エンパスでフォーカスされるのは、どちらかというと「他者への共感能力」の方です。
個人的な印象ですが、HSPと言われる方の中には「五感を通してキャッチする刺激に敏感+共感体質」という方もいれば、匂いや味覚、光や触感には敏感だけど、生きづらさに繋がるほどの他者への共感体質ではないという方も。
両方のタイプがいるようです。
一方エンパスについては、「他者への共感(同調)体質」がまずあって、それ以外にも、土地や場所のエネルギー、霊などの目には見えない存在、動物や植物の感情?への知覚などなど、五感を超えた第六感や霊感と呼ばれるようなものを生まれつきの性質として持っています。
初めてお会いする方に「私はエンパスでしょうか?」という質問をよく受けますが、エンパス体質かそうでないかという区分けは明確にあるわけではないので、あくまでも「エンパス傾向が強い、弱い」というぐらいで捉えてもらえればと思います。
エンパスとHSPの違いについてはこちらの記事にも書いていますので、参考にしてください。
エンパスの種類
自らもエンパスで、エンパスについて研究している米国の心理学者Judith Orloff,MDによると、エンパスの種類には以下のようなものがあります。
1、フィジカル(身体)エンパス
特に周囲の人々の身体的症状に同調し、自身の身体に同様の痛みや症状を感じたり、逆に健康な人に同調し自然と良いエネルギーを受け取ったりする。
2、エモーショル(感情)エンパス
主に他の人々の感情をピックアップして、喜びなどポジティブなものであっても悲しみなどのネガティブなものであってもその両方を自分のもののように感じてしまう。
3、直感エンパス
高次からの直感やテレパシーを感じたり、夢の中でメッセージを受け取ったり、動物や植物とコミュニケーションができたり、いわゆる「あの世」とコンタクトができたりする。
直感エンパスは、機能的な側面から下記のような分類をすることもあります。
テレパシックエンパス
目の前の人から、直感的な情報を受け取る。
プレコグニティブ(未来予知)エンパス
起きているとき又は眠っているときに未来についての情報を受け取る。
ドリームエンパス
夢から直感的な情報を得て、誰かを助けたりアドバイスをする。
ミディアムシップ(霊媒)エンパス
「あの世」のスピリットから情報を受け取る。
植物エンパス
植物のニーズを感じたり、そのエネルギーと繋がることができる
地球エンパス
地球や太陽系、気候の変動に同調する
動物エンパス
動物にチューニングし、コミュニケーションする
参考「The Empath’s Survival Guide – Life Strategies for Sensitive People」 Judith Orloff,MD
もちろん一人のエンパスさんが上記の一つに当てはまる場合もあれば、複数に当てはまるという場合もあります。
自分がどんなタイプのエンパスかということを認識することで、自分の人生をより豊かにしたり、他の人のためにその資質を活かすこともできるとDr.Judithは提案しています。
また上記のようなタイプとは別に、自分の外側に対する関わり方の傾向性を捉えて「内向的エンパス」と「外向的エンパス」という分け方をすることもあります。
多くのエンパスは「内向的エンパス」の傾向が強く、一人でいるのを好み、コミュニケーションも一度に多くの人と話すことは好みません。
「外向的エンパス」は、比べると社交性があり、多くの人が集うような場所にいることも嫌いではありません。
また、比較的大きなグループの中でのコミュニケーションもできますが、そういった機会の後には、自分を一旦リセットするための長時間の「一人の時間」や睡眠を必要とします。
エンパスの困りごと
エネルギー的に「自分」という境界線が曖昧なエンパスは、自然と周囲の人や土地、ときには動物や植物に自然に同調してしまうため、その能力がときに「生きづらさ」となってしまいます。
情報や強い刺激に溢れた現代社会は、エンパスやHSPなどの人一倍敏感な人にとっては、本人に自覚がなくても大きなストレスを日々抱えることを余儀なくされる環境とも言えるでしょう。
エンパスが現代社会で直面する典型的な悩みには、以下のようなものがあると考えられます。
・多くの人がいるような場所で、頭痛や吐き気など体調を崩しやすい
・周囲のネガテイブなエネルギーをもらったり、逆に自分のエネルギーを吸い取られやすく疲弊しやすい
・相手の気持ちを察するがゆえに、自分の本音や本当の感情を抑圧してしまう
・人に合わせて生きているうちに、「自分らしさ」がわからなくなる
・調和を乱すことや嫌われることを怖れて、自分を犠牲にしがち
・親子関係やパートナーシップなどの深い関係では、自分を保つことに苦労する
まとめ
「自分がエンパスだとわかって、ラクになりました」
ブログを読んだりセッションでお会いした方などから、こういったメッセージをもらうことがあります。
エンパスは単なる一つの個性ですが、自分のエンパス的な性質をちゃんと認識していれば、不要に他者から影響を受けることを避けられたり、人とは違う自分の感覚を信頼して、それを活かすこともしやすくなっていくと思います。
もっとも大事なことは「自分は自分のままでいい」という自然な感覚で生きられることです。
エンパス的な傾向を持つ人は日本人に特に多く、5人に1人以上の割合でいるとも言われます。
何も言わなくても相手の気持ちがわかったり、周囲との調和をはかることに長けたエンパスが、その能力に翻弄されるのではなく、自分と大切な人のためにその能力を活かせるようになることで、社会全体にも癒しと調和のエネルギーを少しずつでも増やしていくことができるのかもしれません。
エンパスに関する記事は、こちらのサイトにも載せています。