ものごとを成し遂げる条件は、書店やネット上に数多く並んでいます。さらに多くのセミナーでも、紹介されていることでしょう。そうしたひとつひとつを見ていく時にどうしても重なってくる言葉があります。
それは“信念”という言葉です。昔から「信ずる者は救われる」と言われていますが、軽々しい言葉ではなく、我々の実際生活の中でとても重要なものであり、必要不可欠な心の姿勢を説いていると捉えることができます。
始めたら止めずに続けることにも、不動の信念が重要です。不動の信念とは、思うこと、願うこと、または目標、目的、そうしたいこと、成りたいことを、練り上げ固め、やり抜き、じっと動かぬものにすることです。迷いなり、混ざり気を取り去り、ひとつのことに統一して、強く太く、育てていくことが大切です。
今回は、ものごとを成し遂げる条件のひとつである「信念」を取り上げてみたいと思います。
1、目標の自覚
1)はっきりとさせることが大切
目的地があやふやでは、その場所にたどり着くことは難しいものです。まずそのことをはっきり見定めなければ、信念を持ちたくとも持ちようがないわけです。
借金の返済でも、貯金をする場合でも、いついつまでにいくら…というように、ハッキリと自覚しておかなくては、的を見ずに弓矢を射るようなものです。
子供を良くしようと願う場合も同様であって、ただ良くしたいでは的が大雑把
すぎていて、的がハッキリとしないのと同じことなのです。サッと動く子供にしたい、喜んで家事を手伝う子供にしたい、勉強する子供にしたい、とにかく信念は具体的であればあるほど、その威厳は見事で、的確なものなのです。
2)不可能と思われるものこそ、信じるのです。
特に意識せずとも叶ってしまうようなものに対しては『信じる』までもありません。すぐに手がとどく願い事や、小さい目標では、信念を練り上げ固め、貫き通さなくても、時間の経過と共に成就してしまうからです。
「不可能かも知れない」と思われるほどに目標は高く、大きく、手の届かないことこそ、目標を明確に定めると良いとされているようです。しかし、全く現実味のないものを打ち立ててしまっては、取り組む意思が希薄になってしまうので気をつけなければならないポイントとも言えるでしょう。
ここで、先述した“具体的な目標設定”が重要なものになってくるわけですが、目標を高く設定することによって、大目標達成するための中目標を立てることが可能となります。さらに、中目標達成のために日常身近な視点から目標設定をすることが可能と成るのです。
大目標、中目標、身近な目標を設定することは、日々の心の状態を整えるだけではありません。自分自身に自信を身につけ、信念へと変貌していくのです。すると、貫き通したその信念がこれまでにないような出来事を引き寄せる力を持つようになってきます。
日常生活の中で現象化する“小さな幸運”は、もしかしたら私たちがもった信念の強さによって引き寄せているのかもしれないことに気がつくことになります。つまりは、不可能と思われる物事さえも具体的な目標設定を積み重ねることで不可能が可能となる力を秘めていると信じることに繋がってくるわけです。
2、自信はモーターの馬力
信念というと、理屈を超えた次元にある強く固い想いというように解釈できるようです。しかし、信念も己の中にある自信がなくては確立できないものではないでしょうか。
自信は、そのものごとを間違いのないようにうまくやることができる自己評価のことであり、この自信をつけることが動かぬ信念に繋がってくると考えられます。ここでは、その自信のつけ方について考えを深めていこうと思います。
自信はモーターの馬力と言われるように、仕事を進めていく上での、推進力に匹敵するものです。自分を信じることを、自信というのですから、心の底から自分に惚れ込むことになるわけです。裏返していうのであれば、自信のない人は、自分自身をたいしたことの出来ない人間で、長所を持ち合わしておらずに、自らを嫌な人間と嫌っている人ということになるようです。
そもそも、人というのは生まれた時から完璧に出来上がっているのではありません。日々努めて努めて、一歩ずつ出来上がっていくものです。自ら立つときに、自らの生命(いのち)は輝きを放ち、人を惹きつけるものです。反対に、自らを断ち切るように退けてしまっては、自らの生命(いのち)は消滅してしまうでしょう。自らの生命を絶つわけですから、生きながら自殺していることと同様と言えるでしょう。
そうはいっても色々とある人生、様々と起きる出来事に一喜一憂するのが人間です。しかし、己に失望し、腰を抜かし続けていてはとても立ち上がれません。
そうした時にはまず、自らを信頼することから始めてみてはいかがでしょうか。
自らを信頼することは、自己肯定感を強めることになります。すなわち“自信”をつけることになるのです。
1)自信をつけるために
他の人から「自信を持ちなさい」と言われたところで、簡単に自信が持てたら苦労することはありません。どのように“自己肯定感”を強くすることができるのか、自分を信頼することができるのか、自信を持つことができるのか…考え込んだら出ることのできない大迷宮に迷い込んだようになってしまうことがあります。
そんな大迷宮に迷い込んだ時こそ、自分自身を客観視することから始めてみてはいかがでしょうか。さらに、自己分析を重ねていく中で自分の長所・短所をまずは知ることから始めてみましょう。そして、短所の中で未熟な部分を補う努力をしてみることです。
自分自身を冷静に見つめていくことで、自分の未熟さゆえに起こる“不安(自信のなさ)”が意外と多いことに気づくことができるでしょう。この気づきをそのままにせず、さらに一歩進めて考えを深めていくことで、そこには学ぼうとする謙虚な姿勢が生まれてきます。
その謙虚な気持ちが、これまで気がつかなかったことに気づかせてくれるだけでなく、新たなことに挑戦する気持ちにさせてくれるものです。新たなことに挑むことは、なんら恥ずかしいことではありません。何歳になっても貴重で尊い感情のひとつなのです。是非、気が付いたことから練習を重ねてみてはいかがでしょう。
2)練習を積み重ねる
未完成な自分自身を振り返ることで、完成させようと努力してみてはいかがでしょう。「よしっ!やってみよう」と気持ちが動くのが人間です。この練習も繰り返し行って、始めて身についてくることを覚えておくといいでしょう。格好や形から見れば、日常の生活や仕事に慣れて、失敗のないようにすることですが、本当は信念をつけることに繋がってくるのです。
日常生活の中でよくある「起床」と「時間」について少し取り上げていきます。誰でも決意すればすぐできる事柄です。参考にしみてはいかがでしょう。
①起きる時刻を設定して、起きてみましょう。
毎朝起きる時刻を目覚まし時計に頼る人がいますが、それはせっかくの信念づくりのチャンスを逃しています。「明日は、4時に起きよう」と、布団に入った瞬間に起床時間を自覚するだけです。4時と思えば4時、4時半と思えば4時半に、パッと眼が覚めるものです。何時に布団に入っても、念じればそうなるものです。イヤ、そのこと自体が、大小全ての信念づくりに通じることで、これの繰り返しによる自信、つまり、「眠る時に念じれば、起きられること」が成就することによって、信じれば成るものだと自覚することができるでしょう。
②時間に遅れないこと
約束の待ち合わせ時間に遅れたり、仕事の期日を守れなかったりするようでは、信念を練り上げ固める行動をしていたところで、その信念を崩しているようなものです。「時間」とは、自分の心の中に抱いた「希望」であり、「願望」です。また一種の「願掛け」とも表すことができます。
目標や目的を定める時に「このようにしよう」「あのようにしよう」と決めたことには、「○○時間までに、□□まで至る」と決めたことでありましょう。
そうして決めた行為を、たびたび破るようようでは、無意識のうちに“決めたところで、信じても、念じても、結局はそう成らない”と自分に暗示をかけることになるわけです。だからこそ“時間に遅れない”といったことに意識を向けて、行動してみてはいかがでしょうか。ひとつひとつ“時間を守る”ことで、自信がついてくることでしょう。
最後に
信念をつけるためには、自分自身に自信を持つことを提案させていただきました。さらに、自信を持つための具体的な取り組みを、日常生活の中から2例ほど紹介させていただきました。
自信を持つための取り組みには、真新しいことに取り組み学ぶこともあるでしょう。しかし、日常生活において当たり前のように行動しているひとつひとつを丁寧に、心を向けて取り組むことが重要なのです。しかも、お金を掛けずに心身を磨き高めてくれます。
始めたら止めずに続けることは、強い信念が必要になることは承知のことと思いますが、時としてその信念が欠けてしまうことがあるようです。その場面とは、頑張っても努めても状況の変化を感じることができない場合です。
そういった時には、周囲で見守る方々に、現在の状況を客観視してもらうこともひとつの打開策となるでしょう。しかしながら、他の人からの助言をもらうことが困難な場合は、自分自身で打ち立てた目的、目標をもう一度眺めてみることが大切なことになります。
迷いなく、混ざり気なく、組み立てた自分自身の目標を見返してみましょう。見返した時に必ず何かしら、気がつくようになっているものです。見えてこないのは、もしかしたら心の何処か“ゆがみ”や“ひずみ”があるのかもしれません。
改めて見直した目標を見つめたら、そのことを何遍も何遍も「必ず出来る」と念ずることです。何百回、何千回と念じているうちに、「ダメかもしれない」と思っていたことが、いつの間にか出来る、いやもうすぐ出来る…といった心持ちに変化してくるようです。
こうしたことは、目的・目標から逃避することではなく、常に頭の片隅に“目的達成”のイメージを持ち続けることになるわけですから、新しい発想や閃きも引き寄せやすくなるということなのです。
私たちの周りを見回して、ある物事に動き出している人たちは、間違いなく信念の強固な人たちです。ただ、その信念をはたして活用しきっているだろうか…という問いを常に持ち合わせることで、新しい情報や発想に柔軟な対応が可能となることでしょう。
日に一度、“信念はあるか”と自分自身にあらためて問い直してみてはいかがでしょうか。