この記事の概要
・「許せない」と感じる相手にあなたが奪われたもの
・相手を許したとき得られるものはあるのか?〜私の体験から〜
・許さないことで失うもの
・「許す」「許さない」から心を解放する方法
・どうしても許すことができないときは
あなたの人生には、どうしても許せない人はいますか?
あなたがその人を許せない理由は、どんなものでしょう?
誰かを許せないと思うのは
その人に自分の大事なものを奪われた
そんな風に感じているときかもしれません。
あなたが奪われたもの
それはあなたの「尊厳」とも言えるもの。
自分の尊厳を奪われるような出来事にあなたは深く傷つき、’加害者’である相手を絶対に許したくない
そう思っているかもしれません。
では、「許せない」と思っている相手を許す必要は果たしてあるのでしょうか?
結論から言うと、許すことも許さないことも
あなたの自由です。
許すことは、相手と和解することではありません。
相手とは関係なく
あなたがあなたの心の中で出来事の捉え方を変化させることです。
相手を許せない、と思っているとき
もしその思いを手放してしまったら
仕返しができない
自分を苦しめた相手に罰を与えることができない
相手に自分の苦しみをわからせることができない
つまり、「相手を無罪放免にしてしまう」
もしかしたら、そんな風に感じているかもしれません。
でも実際には
あなたが相手を許しても許さなくても
残念ながら相手には何の影響もないのです。
許すことは、自分の感情の混乱を終わらせること。
シンプルにそれだけのことです。
許すことも許さないこともあなたの自由。
ただ
許すことで人生で思ってもいないものが手に入り
許さないでいることで、気づかないうちにあなたが失っているものは大きい
それは確かなようです。
少し詳しく見ていきましょう。
相手を許すことで得られる重要な4つのもの
私自身「どうしても許せない」と何十年も強く感じている相手がいました。
その思いを持っていること自体が苦しくなり、手放したいと様々な取り組みを始め
本当に気持ちが楽になるまで
なんと10年以上の歳月がかかってしまいました。
(もちろん投資金額も相当のものです・・^^;)
そして今、その人のことをどう思っているか?
「私はあなたを許します」
とは全く思っていません。
今私の人生にとってそれは
「どうでもいいこと」
そんな表現がぴったりな感じです。
あんなに苦しかったことが信じられないくらい
その人のことを考えても「何もない」、つまり心が揺さぶられないのです。
許すことで得られるものの筆頭に挙げられるのは
「自由な心」だと思います。
心の中で重たくてビクともしない岩のように存在していたものが
空気のように存在感のないものに変化したことで
心は軽く、平和で穏やかな状態となります。
この状態になると、何かに縛られることなく自由に人生の選択がしやすくなります。
得られるものの二つ目は、「心身の健康」です。
「許さない」と言う思いが作り出す体への悪影響は後述しますが、
許せない相手を「許す」ことができたら
より生命力が強い状態
つまり、心身ともに本質的に健康な方向に向かいます。
その理由となるのが、三つ目の「自己肯定感」
そして四つ目の「(魂レベルの)自己成長」とも関連しています。
得られるものの三つ目は
「自己肯定感が格段に上がる」です。
人として間違ったことをした相手をもし許せたとしたら
あなたの自己イメージは良い方向に大きく変わります。
誰しも完璧ではありません。
誰しも過ちをおかすものです。
人の過ちをいつまでも責め続ける人と
過ちを許してその人の幸せを願える人がいたとしたら
どちらを尊敬できるでしょうか?
つらい体験を越えて、あんな酷いことをした人でも自分は許すことができた
その自信と自分に対する信頼は、確実にあなたの幸せな未来につながっていきます。
そして最後は「魂レベルの自己成長」です。
スピリチュアルな見方をすると
「許し」は魂の「宿題・課題」とも言えます。
課題に向き合うか向き合わないかはもちろん個人の自由だと思いますが
もしこの少々大変な宿題をクリアできたら
魂レベルでの成長は大きく進みます。
相手を「許す」ことは
過去を手放すこと以上に
未来をも変化させることでもあるのです。
相手を許さないことで失うもの
「絶対許さない」という思いを持つことのデメリットとしては
体への悪影響が挙げられるでしょう。
あなたが強い怒りや恨みを感じているとき
体はどんな状態でしょう?
きっとリラックスとは真逆の、緊張状態にあると思います。
たとえ負の感情を普段は感じないようにして
心の深いところにしまいこんでいる場合でも
フタをされた強い感情は、心の中にできた腫瘍のように、あなたの心身を蝕み(むしばみ)ます。
抑圧されたまま固着してしまった感情は
体の中を生命エネルギーが循環することを妨げ
健康な状態を維持するのを阻害します。
「許さない」と言う思いを持ち続けることで、結局は自分自身を傷つけてしまっているのです。
また、他の視点で見ると
相手を心の中で裁き続けるということは
あなたを傷つけたその相手に、自分のエネルギーを奪われ続けることとも言えます。
現実的には相手は無関係ですが、エネルギーをその人に対して使い続けているという意味では、あなたの人生が相手によって縛られている状態です。
許さない、という選択は
相手に執着し続けるということ
つまり自分の貴重なエネルギーを許せない相手のために使い、自分自身を苦しめてしまっています。
尊厳を奪われた「被害者」としての立場に自分を縛りつけているだけでなく、被害者になった自分のこともまた心のどこかで責め続けているかもしれません。
気づいておきたいのは、「許せない」思いで苦しみ続けてしまうのは、あなたにひどいことをした相手ではなく、あなた自身だということです。
「許す、許さない」から自分を解放する方法
『許さないという思いに縛られて、自分自身を傷つけたり苦しめるのはもうやめよう』
そう思えるタイミングがきたときに
試してみる価値のある、いくつかのことを紹介しておきますね。
許すことは、相手の行為を受け入れようとすることでも、肯定することでもありません。
相手の行為や出来事に対する自分の見方を変えて、長い間あなたを縛っているものから自分を解放することです。
・相手と同じ土俵で戦うことをやめる
自分を傷つけた相手を「哀れな人」「未熟な人」として、幼いこどものやっていることというような見方がもしできれば、未熟さゆえの過ちと、寛大な気持ちにほんの少し近づくことができるかもしれません。
・相手の行動の背景にある「苦しみ」に目を向ける
もし相手が愛する人や大切な人だった場合は
「哀れな人」「未熟な人」という見方は難しい場合もあるでしょう。
その場合には、相手の行動の背景にある苦しみや痛みを想像してみるという方法もあります。
完全な悪人というのはいません。
誰もが痛みを抱えており、それが決断を左右しています。
分別のなさ、無神経、利己的な決断を大めに見ろと言っているのではありません。
しかし、そう考えると相手のことを理解しやすくなります。
出典 「許すための6つのプロセス」ライフハッカー
許すのは、自分のためであり相手のためではありません。
ただ
相手の痛みに少しでも共感できたとしたら、よりスムースに許しのプロセスを進めることができるかもしれません。
・「許せない」思いの周辺にあるすべての感情を認めて、感じる
多くの人は、ネガティブな感情を感じることは避けがちです。
本当の感情をなかったことにすることは、「許せない」という思いを永遠に生み出し続けることにつながっています。
本当は感じていたけど押し込めてしまった「悲しみ」「怒り」「絶望」などの苦しい感情に向き合うことは、出来事から受けたショックが大きければ大きいほど難しいものです。
辛い感情にフタをして、感じないようにしていればしているほど、外からのちょっとした刺激によって、強い感情が突然顔を出すようなことを、もしかしたらあなたも経験したことがあるかもしれません。
あなたが感じることを避けているのは、どんな感情でしょうか?
感情はちゃんと向き合い感じきって流ことができれば、やがてゆるみ穏やかなものに変わります。
逆に言うと、感情は向き合うことでしか本当には癒すことができません。
怖れを超えて向き合って感じつくし感情が緩んだとき、初めて相手を許す準備が整います。
許せない出来事にまつわる自分の感情をちゃんと見ることは、最も重要なプロセスです。
時間はそれなりにかかるかもしれませんが、少しずつでもやってみることオススメします。
過去の感情を癒す具体的な方法については、こちらの記事もぜひ参考にしてください。
・傷ついた出来事から受け取ったもの(ギフト)に気づく
(このプロセスに進む前に、ある程度感情を感じつくすことができているとよりスムースです)
どれだけ酷い思いをした体験だったとしても、そのことによって、人生において得られたものが必ずあります。
一般的なものでいうと
傷ついた経験があるからこそ人に優しくできたり、同じ体験をした人の痛みがわかる、などがそうですよ
あの体験があったから、今の自分がある。
もしそう思えるようになったとしたら、「許し」のプロセスも自然と完了に向かっています。
傷ついた出来事に隠された「ポジティブな側面を見る」ことは、慣れていないと難しく、最初は無理にひねり出す感じになるかもしれませんが
もしその出来事に内包された「ギフト」を掘り起こし、意識の光を当てることができたら
「許せない」という思いに長い間せき止められていた生命エネルギーが、一気に体の中を流れ始めるような、大きな体験となるかもしれません。
「許すこと」がどうしても難しいと感じるときは
許すことで得られるもの、許さないことで失うものが頭でわかっても、それでも許すことが難しい・・
そんな時は、許せない自分を許しましょう。
「今は許さなくていい」と、自分に宣言しましょう。
相手を許すことができない自分を責めることも
何をやっても気持ちが変化しないことに焦ることも、必要ありません。
「許す、許さない」という課題から一旦離れて、
自分を幸せにしてくれる身近なものに心を向けましょう。
日常の些細なこと、小さなことからで大丈夫です。
無駄かなと思えるようなことでも好きなことを素直にやってみたり、自分を元気にしてくれるものや気持ちを上げてくれる大好きなものに囲まれたり、一緒にいると心が和む誰かに会いに行ったり、やってみたいと思っていたことにチャレンジしてみるなどなど・・
そうやって自分を幸せにしてくれるものにフォーカスしましょう。
自分が満たされて小さな幸せを感じられることを積み重ねることで、自然と人を許す気持ちの余裕が生まれると思います。
焦らず、その時が訪れるのを待ちましょう。
終わりに
許すというのは、心の中にある自分の中の’負の感情’の存在を承認して許すことなのかもしれません。
ネガティブな感情でいっぱいの自分をも承認し受け容れて、自分を縛り続けているものから解放することです。
自分の尊厳を奪われたような体験をしたとき、傷つけた相手を許せないと感じるのと同時に
「自分は大事にされる価値のない存在なんだ」
「自分は愛されない存在なんだ」
そんな思いが自分の中に深く根を張ってしまうかもしれません。
たとえ相手を「一生許さない」選択をしたとしても、奪われた尊厳が戻ってくることはありません。
自分を傷つけた相手を許すという難しい課題にチャレンジできたとき
「自分は愛される価値の存在である」という尊厳を、自分自身で自らの手に取り戻すことが可能になると思います。