新型コロナウイルスによる新型肺炎の影響が大きく報じられています。
この記事を書いているのは2020年2月末ですが、今週に入ってから
アメリカのダウ平均株価、日本の日経平均株価は大きく値下がりし、世界同時株安の様相を呈してきました。
新型コロナウイルスによる新型肺炎に対する不安と同時に、世界経済の減速への不安感も出てきています。
まさに不安が連鎖しているような状況に感じます。
そのような状況下にあっても企業は事業を継続し、お客様を確保し、利益を出し続けなければなりません。
しかし、今までのような事業の仕組みが通じなくなったことで、世の中が大きく変わるきっかけにもなっています。
今回の新型コロナウイルスによる新型肺炎をきっかけに世の中がどのように変わるのか?
そして、私たちはどのように変化していく必要があるのかを解説します。
今までの安心・安全が変わる
今回のコロナウィルの感染拡大により、今までの日本で安心・安全であると思われていたものの認識が大きく変わりつつあります。
ニュースでは「銀行の行員がコロナウィルスに感染」という記事が出ていました。
濃厚接触の可能性のある行員約10人に自宅待機を命じ、接触した顧客についても調査を進める。
という内容です。
今ではほとんどの機能・サービスをスマートフォンやパソコンを使ってインターネットで手続きができるようになっています。
そういった状況にあるにもかかわらず、銀行というサービスでは、多くの人が窓口に並び、ATMに列を作ります。
それは、
- ネットは何となく不安
- 詐欺に合いそう
- 信頼できない
- 使い方が分からない
- 窓口の方が安心できる
といったように、ネット上で決済される「数字だけ」の取引よりも
人と人が関わる取引の方に安心・安全を感じやすかったということがあるのではないでしょうか。
取引の内容によっては、銀行に行かないとできないこともあるとは思いますが、
銀行に行かなくてもスマホやPCを使ってできることを
わざわざ銀行に行くことによって安心感を得ているという方も多いように思います。
ところが、
今回のコロナウィルスによって状況が一変しました。
人が集まるところにわざわざ出かける方がリスクがある。
ということに人々の認識が大きく書き換えられ始めているのです。
目の前の危険回避には敏感
一般的には目の前に迫っている危険を回避することに対して人は敏感に反応します。
上記のケースで考えれば
今までは、
ネットの銀行取引は何となく危険・よく分からない
↓
最近では、
人が集まる場所に行くことが危険
↓
何とかしてネットで取引ができるようになろう
というように、
人の思考と行動がパターンが大きく変わるキッカケになります。
目の前に自分自身に関わるような危機が訪れると人は危険回避の方法を早急に考え、行動しようとします。
今回のコロナウィルをキッカケとして、
今まで、ネットで取引をしてこなかった人たちが大きくネットの世界へと移動するタイミングになるかもしれません。
当たり前と思っていたことが変わる
今までは、銀行に行くこと当たり前。
銀行に行って取引をする方が安心・安全にできた。
という認識が大きく変わる可能性があるということを書きました。
他にも
店舗に行ったり、人と会って取引をする、相談をするといったことを
世の中の人々は敬遠し始める可能性が出てきています。
例えば、小売業であれば
今までは
- お店に行って試着をして、実際に手に触れてみないと自分に合った服を選ぶことができない
- 商品を手に取って見比べてみないと安心して買うことができない
- 店員さんの説明をしっかり聞いてから買いたい
といった人々が
電車に乗って、お店に行くことはしたくない。
というように、外に出ること自体を自粛してしまう可能性がでてきています。
そうなっても、購買活動自体が止まることはありませんので、
実際にはネット通販へと大きくシフトするという可能性がでてきます。
働き方も大きく変わる
消費者の行動が大きく変わると同時に、会社員・従業員の働き方にも大きな変化が訪れ始めています。
大企業では感染者が出たことによって
オフィスでの仕事を自粛して在宅ワーク(テレワーク)へと切替え始めたり
インターネットビジネスを展開する企業からはオフィスの必要性を疑問視するような発言も出始めました。
今までの日本の従業員は
- 決められた時間に
- 決められた場所に行き
- 決められた労働をして
- 決められた時間に帰る
- 決められた日に給与を受け取る
というのが当たり前になっていました。
基本的には時間拘束を労働に対する対価として評価し、支払われています。
ところが、
今回のコロナウィルの影響によって
多くの人々が利用している公共交通機関を利用して
多くの人々が集まるオフィス、店舗(商業施設)、工場等に
従業員を集めて仕事をしてもらうことが機能しなくなってきたのです。
企業としては
従業員が特定の場所に集まらないから事業を止めるというわけにはいきません。
そうなると
必然的に在宅ワーク(テレワーク)へと働き方は大きくシフトすることになります。
会社、経営者は今までも在宅ワークでの働き方を考えてきたことと思います。
しかし、
なかなか始めることができなかった。
会社は働き方を変えざるを得ない状況に追い込まれてきているのではないでしょうか。
時間拘束では評価できない
働き方を在宅ワークに切り替えることができなかった原因はいくつか考えられます。
- 在宅ワークでどのように仕事をしてもらったいいか分からない
- 在宅ワークの仕組み、システムを導入するのにお金がかかる
- 従業員を遠隔では管理できなさそう
- 目の前で働かないとサボるのではないか
- 成果がでないのではないか
といったように、様々な不安要素、不確定要素があり在宅ワークに切り替えることができなかった企業も多いでしょう。
そんな中でも最も大きな要因として
時間拘束で評価できない
ということが考えられます。
今まで従業員には、決められた場所で決められた時間を働いてもらうことで
給与を払ってきました。
時間拘束への対価としてお金を払っていたのです。
ところが、在宅ワークになるとそれができなくなります。
実際には
「9~17時はパソコンの前に座って仕事をしてください」
という業務内容であったとしても、
実際にパソコンの前で仕事をしているかどうかを監視することは難しく、
従業員の監視をする仕事。なんてのは意味がありません。
そうなると、どのように従業員を評価し、給与を払うことになるのでしょうか?
完全な成果主義、実力主義が主流に
時間拘束による対価、時給で給与を支払うということができなくなると
在宅ワークで
- どれだけの仕事をしてくれたのか?
- クオリティの高い仕事をしているか?
- レスポンスの速さはどうか?
といったことが評価基準になってきます。
要は、
どれだけの時間、会社のために時間を使ってくれたか?ではなくて
どれたけの成果を会社に出してくれたのか?
ということでしか評価ができないのです。
今までの
年齢が高くて、在職期間の長い人の方が給与が高く
能力があっても年齢が低い人は給与が低い。
というのは通じなくなります。
年齢が若くても、実力があれば正当に評価としての対価(給与)を受け取れるようになる可能性が高まります。
会社の求める成果に対して価値提供ができない従業員は評価が低くなる可能性が高まります。
在宅ワークが日本の会社に浸透するようになれば、
成果主義による評価がスタンダードになる可能性が高まるのではないでしょうか。
個人の価値を高める時代に
今まではどのような会社・組織に所属しているのか?
ということが、評価基準の大きな要因でした。
しかし、
コロナウィルスの影響によって働き方が変われば、
どのような会社、組織に所属しているかではなく
どのような価値を提供できるのか?
「個人」としての評価が重要な社会へと変化していくことでしょう。
そうなると
私たち個人が考えなければならないのは
個人としての能力、魅力、価値といったものをどれだけ高めることができるのか?
そして社会に対して
どのようにして提供することができるのか?
ということを真剣に考え、行動に移していく必要があります。