ビジネスに関っている人にとって「価値」は非常に重要な意味を持っていることでしょう。
ビジネスにおいては、ご自身が持っておられる商品やサービスの「価値」を表現し、人に伝えることは非常に重要です。
会社やご自身が販売、提供している商品やサービスの「価値」を常に考え、価値提供することを考えながら、日々ビジネスをされているのではないでしょうか?
ところが価値を伝えることは重要だと「分かっているのに分からない」のが『価値』というものの印象でもあるのではないでしょうか?
実際に「あなたの商品の価値は?」と聞かれても、明確な答えを返せる人があまり多くいないのが実情です。
多くの人は「あなたの商品の価値は?」と聞かれても、その答えとして帰ってくるのは「価値は『商品そのもの』である」という答えをしてしまいます。
例えば、
パソコンを売っているのであれば価値は「パソコン」
旅行を売っているのであれば価値は「旅行」
鉛筆を売っているのであれば価値は「鉛筆」
というような答えになります。
では、「価値」とはいったいどこにあるのでしょうか?
今回は「価値はどこにあるのか?」ということについて書いていきます。
商品そのものに価値があるのではない
「価値」というものは、商品やサービスそのものには存在していません。
分かりにくいかもしれませんが、これが「価値」というものを考える上で非常に重要な要素です。
価値は販売をする商品やサービスにあるのではありません。
商品やサービスを購入し、受け取り、利用する側の個人や社会の中に「価値」は存在しているのです。
保有したり、利用したり、体験したりすることによって、提供される側は「価値」を認識し、感じることができます。
その時に「価値」というものが初めて発生するのです。
まず、ここで「価値」に対する大きな勘違いが生まれているのです。
商品やサービスを提供する側は「提供者側」にこそ価値があると誤解してしまいます。商品やサービスを販売することで価値があると思い込んでいるのです。
しかし、実際には価値そのものは提供した先である相手の中に存在しているという認識が重要です。
●●という商品を売っているAさんは、●●は他にはない高い価値がある。と強く認識して売り出したとします。Aさんが価値と思っていることをさかんにPRしますが、一向に売れません。
それは、Aさんが●●という商品に対して「価値」だと思っていることを周りの人は価値だとは思っていない可能性があるからです。
好きになる人はそれぞれ
恋愛に置き換えてみると分かりやすいのではないでしょうか?
好きな人、好きになる人は、人によって違います。好みがあります。
- スマートな人が好き
- ふっくらした人が好き
- メガネをかけた人が好き
- 長い髪の人が好き
- 短い髪の人が好き
- 賢い人が好き
- シャープな人が好き
- おっとりした人が好き
- 父親、母親のような人が好き
- 父親、母親のような人は嫌い
- 年上が好き、年上は苦手
- 年下が好き、年下は苦手
人が誰か他の人を好きになる。ということであれば、人によって好みがあり、好きになるタイプは異なります。
しかし、アイドルやタレントのように多くの人の共通認識として「カッコイイ、イケメン、美人、カワイイ」という人もいます。
人の好みということを考えた場合、多くの人の共通認識としての「好き」と言う場合と、あなた自身の好み(個性)としての好きがあります。
あなたが人を好きになる場合、好きになるための「価値」という要素がより高いのは、共通認識としての好きよりも、あなた自身の好みに合った「好き」な要素の方が価値は高くなります。
商品から受け取る価値も人によって違う
商品やサービスから受け取る価値も人によって異なります。同じ商品であっても受け取っている価値は人によって違うのです。
例えば、
◆炊飯器
・早く手軽にご飯が炊けることが価値
・時間がかかっても、美味しく、ふっくらご飯が炊けることが価値
・ご飯以外の調理にも使えるバリエーションがあることが価値
・小さくてスペースを取らないことが価値
・インテリアに馴染む色合いであることが価値
◆鉛筆
・すらすらときれいに書けるのが価値
・ハッキリとした字が書けるのが価値
・折れにくいことが価値
・かわいいデザインであることが価値
・筆箱に収納しやすいことが価値
・シンプルであることが価値
◆カウンセリング
・自分の話を聴いてもらえることが価値
・相手から解決策を聞きだせることが価値
・何もしない時間を作れることが価値
・カウンセラーと話せることが価値
・問題解決が進むことが価値
どのような商品・サービスであっても、様々な角度から価値を見出すことが可能です。
その中には、より多くの人に価値を認識されやすい価値もあります。
先ほどの炊飯器であれば、インテリアに馴染むデザインがより多くの人に訴えかける要素である。ということであれば、テレビCMでは「インテリアに馴染む炊飯器」という要素を強く打ち出すことで、より多くの人に価値を認識され、購買へと繋がる可能性が高まります。
小さなマーケットでは特定の個人の価値を認識
より多くの人に炊飯器を売る。というビジネスであれば、共通認識の高い価値を情報として提供することで、より多くの人に商品が売れる可能性があります。
しかし、そのようなマスマーケットでなく、小さなマーケットで商品やサービスを販売する場合には、特定の個人が認識、共感しやすい価値を伝える方が得策です。
個人事業主規模のビジネスであれば、それで十分とも言えます。
最初の例でご紹介した「恋愛」の要素と似ています。
アイドルやタレントを売り出すように、より多くの人に好かれるように価値を伝えるのではなく、特定の個人(1人)に好きになってもらうということです。
特定の個人を想定して、その人が「価値」と感じる部分に焦点を当てて、商品やサービスを紹介します。
例えば、ブログやメルマガで商品を紹介するのであれば、個人的なメッセージとして情報を発信するのです。
価値はどこにある?
今回のタイトルである「価値はどこにある?」か、答えは分かったでしょうか?
それは、相手の中にあるということです。
「価値」と感じるものは人それぞれ違います。戦後の物資不足の時代であれば、どんなものであれ、人々の生活に役立つものであれば売れたことでしょう。
ところが現代社会は「多様化」と言われるように、個々人が感じる価値を基準にして商品やサービスを選び、購入するようになりました。
人によって価値と感じることが異なるということです。
「価値」を伝えることは難しいことではありません。買って欲しいと考える相手が「価値」だと考えることを伝えればいいのです。
もし、それでも買ってくれなかったのであれば、伝えるメッセージが違っていたというだけです。相手に響くメッセージをまた考え直せばいいのです。
もし、商品やサービスを提供するあなた自身、あなた個人に価値があると考えるのであれば、相手があなたの何を価値と捉えているのかを具象化して、相手に伝わる文章や表現として伝えることです。
相手に届く、あなただけの「価値」を手に入れてみませんか?
参考
・「商品よりも、ニュースを売れ!」酒井光雄著