転職で「逃げる」のがありかどうかは結局自分次第

転職を考える際には、多かれ少なかれ今の仕事や職場に不満があるものです。給料、人間関係、仕事内容、経営者の資質、会社のカルチャー、勤務時間、通勤時間等々、理由は人それぞれですね。

そうした原因による転職という選択が、不満からの「逃げ」なのか、そうでないのかで悩むケースをよく耳にします。

ネット上では「逃げるのもあり」との意見が多く見受けられる一方で、軽々に転職という結論を下すことに釘を刺し、再考を促す意見も目に付きます。

自分ではどうしようもない職場の環境に身を置いて毎日のストレスに晒された上、転職を考えて逃げかそうでないかで葛藤するなんて、さらにたいへんですね。

なかなか決断が下せなくて疲労困憊しては仕事にも影響が出て悪循環ですし、冷静な判断もくだせません。

転職と逃げることについての考え方、対処法をまとめてみたので、参考にしてください。

 

この記事の目次

1.なぜ葛藤してしまうのか

転職が逃げなのかそうでないか、それが大きな問題となる原因は、「逃げ」という言葉、概念自体にくっついているネガティブイメージです。

あなたは、「逃げる」と聞いて、どんなことを連想しますか?

卑怯、ずるい、臆病、根気がない、恥ずかしい、みっともない、心が弱い、打たれ弱い、男らしくない、、、

人によって様々ですが、もっとたくさんあることでしょう。

ところで、これは親の考え方から来ているケースが少なくありません。習い事が続かない、勉強など嫌なことを避けることで、叱られたりがっかりされたりした経験のある人は少なくないと思います。

いずれにしても、このネガティブイメージのせいで、「逃げるのはいけないこと」「(とにかく)逃げてはいけない」という固定観念が生まれます。

こうなると、もし現在考えている転職が逃げであったら、よくないことをすることになってしまいます。

このため、本来考えるべきことがおろそかになってしまうのです。

 

現在考えている転職が逃げであったら、よくないことをすることになってしまいます

2.逃げに関する堂々巡りを脱する

では、逃げなのかそうでないのかという葛藤を解決し、堂々巡りを脱するにはどうしたらいいのでしょう。

「逃げ」に関するネガティブイメージを払拭することが有効です。

逃げることは必ずしも悪いことばかりではありません。

ここで、「逃げる」を辞書で調べるとこんなふうに出ています。

逃げる

1.(捕らえられない、または捕らえられたままでいないように)危険を避けて、相手の力の及ばない所へ去る、また身を隠す。 「敵前から―」

2.避けて、不利な情況に陥らないようにする。「責任から―」

これを元に、逃げることのポジティブな意味づけを考えてみましょう。

危険を避ける、自分の身を守る、(一旦引いて)タイミングを計る、体勢を立て直す、力を養うなどが出てくるでしょう。

「逃げるが勝ち」、「三十六計逃げるに如かず」、「戦略的撤退」なんていう言葉もありますね。

逃げることの本質には、自分を守り、大切にするという目的があります。そうだとしたら、一概に悪いこととは言えないはずですよね。

もしまだ腑に落ちないようなら、自分なりにポジティブな理由をもう少し付け足して補強して欲しいと思います。

逃げるに与える自分の意味づけがネガティブでなくなると、転職そのものに対する自分の考えがよりフラットなものになることでしょう。

 

3.今いる場所で最大限に受け取る

1)受け取っているかどうかのチェックポイント

転職と逃げに関する堂々巡りがなくなったところで、一気に転職に走るのではなく、ぜひやってもらいたいことがあります。

それは自分の人生にとって役に立つものを、今の職場で受け取り損ねていないかというチェックです。

去りたいと思っている職場なのですから、もらえるものはもらっておこうということに異存はないと思います。

そのチェックポイントは、「今の会社や経営者、上司、同僚などに心から感謝できるか」です。

起きることに偶然はないと言いますが、どんなに不満がある職場だとしても、深いところで自分が同意していないと、ご縁ができることは絶対にありません。

そこには、自分が成長できる要素が必ずあるので、それを完全に受け取ったなら、感謝が湧くのを止めることはできないでしょう。

 

最大限に受け取る方法

2)最大限に受け取る方法

もしそうでないとしたら、自分が相手の何かを咎めているということです。

なぜ咎めるのかいうと、自分が正しいと思っているからです。

しかしながら、それは見方が偏っているからに他なりません。

相手のどんな言動や特性も、本質的にはニュートラルなのです。

例をあげましょう。

上司があなたを「見下し」たり、「馬鹿にし」たりして、それが許せないと思ったとします。

さて、見下すことや、馬鹿にすることは、悪いことでしょうか?

そんなこと、「当たり前だよ」「常識じゃない」と思うかもしれません。

しかし、これは一般論や常識論ではありません。

例えば、見下されたあなたが、自分で自分を卑下して、否定していたことに気づき、それを改めようと決意したとします。

そうすると、上司の言葉はあなたにとって「役に立つものであった」ということになります。

もしあなたが深いところで、もっと自分の価値を認めて、価値ある自分にふさわしい生き方をしたいと願っていたら、その言葉をどうしても誰かに言ってもらう必要があったのです。

経営コンサルタントの船井幸雄さんの言葉に「起きることは必要、必然、ベスト」というものがあります。

「見下す」「馬鹿にする」という例だけでなく、どんな性質も言動も、それが表現された具体的な場面から切り離して善悪、正邪のレッテルを貼ることは無意味なのです。

このように、もし咎めているものがあったなら、「自分の中にあるどんな考えがこの現実を引き寄せているのか」、「この現実を経験することで自分にどんな利益があるのか」と問いかけることです。

潜在意識が起こしていることなので、答えはすぐに出ないかもしれませんが、自分の中にある何らかの考えがその現実を起こしているのに違いはありません。

見えてくるのは、「そうすればそうなる」といったシンプルな公式みたいなものです。

目の前の気に入らない現実の原因が自分であるからといって、落ち込む必要も自己嫌悪する必要もありません。

現実が気に入らないなら、考え方を変えればいいだけのことです。

 

次のステップを考える

4.次のステップを考える

今いる場所で最大限受け取ることができたら、次のステップに進むことができます。

そこでは今の職場にとどまるも、転職するも、どちらでもいいと思います。

自分が考え方を変えることで周りの現実が変わるかもしれません。

であれば、転職する理由もなくなることもあるでしょう。

もしかすると、周りは変わらないかもしれません。

それなら、今の職場に感謝しつつ別れを告げて、新しい職場に移るのもいいでしょう。

また、もう少し今の環境からの学びを深めるのもいいでしょう。

いずれにしても問題が問題でなくなるからです。

このように見てくると、転職するしない、逃げかそうでないかは、あまり問題ではないとさえ言えるかもしれません。

状況がどんなだったとしても、結局は自分がどう向き合うか次第だからです。

最後に、今の職場で受け取るものを受け取らないとどうなるかについて触れておきましょう。

つまり、相手を咎めたままそこを去るという場合についてです。

その場合、考え方が変わらないといずれ同じような状況が起きてきます。

見ないことにして蓋をするようなものなので、その結果、圧力が高まります。

そうなると、早く気づけるように、起きてくることはよりシビアになる傾向があります。

 

5.まとめ

逃げるか逃げないかはもちろんのこと、転職するもしないも、実はどっちでもよいと言えます。

肝心なのは、どんな状況にあっても、自分がどのような立ち位置でいるかということです。

自分が置かれた状況から、成長し前に進むためのエッセンスを汲み上げる姿勢は大切です。

そして、もっと大切なのが、どんな状況にあったとしても、自分を責めたり否定するのではなく、よくやっていると肯定し労わることです。

そんなあなたの明日はきっと明るいに違いありません。

 

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

京都市出身。
京都大学法学部卒業。
大学卒業後、現在のメガバンクに入社、26年間勤務。

ビジネスの現場で産業調査や大企業の事業再生、富裕層取引等を担当、多くの企業経営者、富裕層顧客と接する中で、世の中の流れ、リーダーシップ、お金の本質等について考察を深める。

少年期より「人はなんのために生きるのか」「人はどこから来てどこへ行くのか」を自らに問いかけてきた。バブル世代でいったんは世の中の価値観に染まるが、会社オンリーの人生に生きる意味を見失って挫折を味わう。

魂が震える生き方を追求する中でエネルギーヒーリングに出会い、自身や周りの体験から、自己成長の最高のツールという確信に至り、独立起業を果たし、誰もが物心共に幸せになれる方法として「悟りを目指す生き方」を伝えている。

豊富な社会経験、懐の深さから、経営者、投資家、コンサルタント、カウンセラー、コーチ、医師、作家、セミナー講師、会社員、主婦など、多くのクライアントから支持されている。

著書「先行きの不安から自由になる『お金と心の法則』」(フォレスト出版)

HP:https://fillz.biz

この記事の目次